【うかつな私】 #840

突然民事訴訟されてしまった私は非常に驚いた

自分ではリップサービスのつもりで言っていた言葉
スキンシップのつもりで接していたボディータッチ

それらがどうやら相手にとっては苦痛であったらしく
不愉快で嫌な思いをさせていた

皆笑顔で

「もう〜やめて下さいよぉ〜」

的な感じだったので
受けている
喜ばれている

そんな風に思っていた

が
実際はそうでは無かったのだなぁ


根本は仲良くしていたい
受け入れられたい
そんな気持ちからの言動であった

ただ自分はウィットにとんだ会話もねきないし
若い子たちが好きな事や
流行っている物事が分からなかった

だから
これが自分としては一番あったやり方だったんだ

決してあの子たちと性的な関係になりたいとか
なろうとかそういうはしたないヨコシマナ気持ちは1ミリも無かった


分かるよセクハラ
性的虐待でしょ
MeToo運動も知ってるよ

でもあれってさぁ
完全に性対象にしてるじゃん

私のは違うんだよ

仲良くしていたかっただけなんだよ

なんの悪気も無いんだよ

頼むよ

そんな目で私を見ないでくれよ




嗚呼っ
私が君たちと同い年くらいだったら
私がもう少しいい男だったら
こんな事にはならなかったんだろうなぁ


この裁判のお陰で
会社からは解雇され
妻は恥ずかしいと言って離婚届を突き付け
娘は口を聞いてくれないどころか
目も合わしてくれなくなった

いつもと変わらず私に接してくれるのは愛犬のヨモギちゃんだけだ
彼女だけは喜んで私をペロペロしてくれる

まさか60を過ぎてこんな事になるなんて



仕事と家族とお金を失った私はローンを払い続けていた家を売り払い
小さなマンションに移り住み
警備員のアルバイトをして生活を始めた

できるだけ女の人は遠ざけ
派手な事はせずに質素に暮らした

訴えられてから丁度2年が経った

たった2年だが
私の頭の毛は抜け落ち
スッキリ老け込んでしまった

妻に会いたい
娘に会いたい
ヨモギにも会いたい

私はなんでこんな目に遭わなくちゃならないんだ
サービス精神のつもりが
こんな生活になってしまうなんて

しかし後悔していても元の生活には戻れない
前を向くしかしょうがないんだろな





ほな！