【純血日本人とは】 #871
待たしたのかもしれないし
待たされたのかもしれない
そんなタイミングで僕は生まれた
日本の少子化問題のピークに生まれたのが僕だった
どういう事?
日本は2000年代以降少子化のスピードは右肩上がりで早まり
僕が生まれる10年ほど前から
政府は日本国籍という物が消滅してしまう事を恐れ
世界中の人々を日本に取り込んだ
何人であろうとも日本で住みたいと言ったならば
簡単に日本人になれた
その代わり日本人を辞めますというのはかなりハードルが高く手続きもややこしく裁判も行われ
死にものぐるいで挑まないと日本国籍を捨てる事ができない法律に変わった
海外からの旅行者にはお試し日本人のチケットも自動的に発行され
住民票と参政権と中短期住宅を敷金礼金無しの格安家賃で借りる権利も与えられた
もちろんビザなんてな物は無い
そのような取り組みのお陰で日本人という名の元多国籍な人々が日本人となった
独身のまま30歳を越えると税金が一年毎に跳ね上がるが結婚するとその曲線は緩やかになり
子供が1人で着る毎に更に税金は安くなる
3人目からは国からの助成金が出て税金も格安になる
要は結婚して産めば産むほどに税金を支払わなくて済むようになる
独身には恐ろしい法律である
と言った世の中で
僕が結果的になのだが
純粋な日本人としての最後の人間となった
弟や妹が出来れば良かったが
僕のお母さんは僕を出産してすぐに亡くなってしまった
という訳で
僕が最後の血統書付きの日本人になった
そんな訳で
死ぬまでの生活費及び交友費
学費もろもろ全て国がまかなってくれた
欲しいものがあれば法に触れなければ何でも手に入った
常にSPが僕を警護し国の宝として敬われた
まるで天皇家の皇族のような扱いだ
まぁ僕にかかる費用は全て国民からの税金
国費を持って与えられていた
僕の誕生日は祝日となり
何故か政府や宮内庁などから電報などが届く
因みに言っておくが今はもう辞めた
というか無理矢理辞めさせられたのだが
お父さんは元々大工だった
お父さんは大工としてのプライドも高く建設業の人からも
若いのにとても人望の熱い人だった
しかし
偶々僕が最後の純血日本人になったので
お父さんも同様にお守りしないといけない存在になり仕事を辞めさせられた
今は何もしていない
僕が物心ついた時にはずっとクロスワードパズルをしている姿しか見た事がない
無口な人なのであまり会話が弾まない
お父さんは新しい結婚も許されなかった
理由はよく分からない
でも政府からの要請で固く禁じられていた
クロスワードパズルくらいしかやる事が無かったのかもしれない
可哀想なお父さん
僕が24歳の時にある大事件が起こった
なんと僕より5歳年下に純血日本人のしかも女性がこの世に存在する事が分かった
なぜ今まで分からなかったかと言うと
その女性のお母さんは今は他国から帰化した日本人男性と結婚していたのだが
若い頃に風俗店で働いており
手違いで妊娠してその後出産した
この頃はもう既に大人でも純血な日本人が殆どおらず
産婦人科のお医者さんも調べる事もせずに退院させた
今夏なぜ分かったかと言うと
たまたま新薬の治験の為に問題ないかDNAなどを調べて問題が無ければ
治験のアルバイトをする予定で調べた所この現実が分かった
これは大々的にテレビなどで報道された
と言う事で僕は最後の日本人では無くなったが
最後の日本人男性となった
政府は法律を作り上げ
強制的に僕たちは結婚させられ
子作りを強いられた
最初はそんなに好きでは無かったのだが
仕方なく結婚し
仕方なく性行為をしたところ
ポンポン子宝に恵まれ
10人の男女が生まれた
そしてこれもまた
強制的に兄妹なのに結婚させられ
子作りを強いられた
こうして僕たち夫婦が祖となり
純血日本人の人口が200年後には沢山増え
更に1000年後は日本国民の半分くらいは純血日本人になった
そうなってくると混血日本人と純血日本人との間にいさかいが起き
やがて内紛へとなり沢山の命が奪われた
結果的に国土は二つに分断され二度と合併する事は無かった
とまぁ
こう言った未来は絶対に無いとは
言えないような気がしている
ほな!
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