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政治家レイシズムデータベース2022年6月

 反レイシズム情報センター(ARIC)です。
 ARICでは、政治家はじめ公人によるヘイトスピーチやレイシズムの記録を行い、データベース化しています。

 このnoteでの「政治家レイシズムデータベース」では、毎月追加したデータの中から、特に深刻なケースをこのnote記事上でピックアップしていきます。

 今月も追加した差別事例から一部を紹介したいと思います。

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 今月の記録からは、7月の参議院議員選挙を控え、選挙に関するレイシズムの事例が散見された。今回の参議院議員選挙では、もともと在特会、日本第一党といった極右組織に参加していた人物がさらに各種の新興の政党に分かれて選挙活動を行なっていることが確認できた。選挙を通じてマイノリティに対する差別に拍車がかけられかねない極めて危険な状態にあるといえるだろう。

 今回は、選挙に絡む記録のうち、特にNHK党内で起きた公認者に対するレイシズムの問題を取り上げる。

NHK党のレイシズム

 今回取り上げるケースは、NHK党から当初公認されていた原田由美氏が、同じ党に属する政治家たちによってその民族的出自に基づき執拗な攻撃を受けていた、というものだ。具体的には下記のようなものだ。

NHK党・黒川敦彦

原田優美、出身:中国福建。最終学歴:中国厘門集美大学。
以下経歴。これだけの役職をかけ持ち。つまり中国共産党に担がれている、本人は自覚がないかもしれないけど、実質スパイ。
表に出る人間には詳細は伝えられない、巨悪は原田の周囲にいる人間。原田氏と直接やりとりして能力は低いと感じた

Twitter、2022/5/31
https://twitter.com/democracymonst/status/1531444060543541248

 帰化した議員に対してさえ、執拗にその民族的な出自を指摘して攻撃を行なっており、完全に民族差別に他ならない。また、この問題のさらに深刻な点は、他ならぬ党首がこうした民族差別を追認し、原田氏に対して公認を取り消したということだ。

NHK党党首・立花孝志

中国帰化人を公認した私の未熟さを反省しています!
原田氏とは別の中国帰化人からも、公認申請を受けていました。
参議院比例の特定枠で、その帰化人が当選したら10億円支払うと言われました。
私は汚いお金を受け取らないので、こちらはお断り致しました。
この方は自民党国会議員の紹介です!

Twitter、2022/6/11
https://twitter.com/tachibanat/status/1531811182322909184?s=20&t=_ETmhIs5aeb_P823IJocLA

誤解のないように言いますが、私が公認した原田さんは公認取り消しました。
もう1人の中国帰化人を私に紹介した自民党国会議員は実はもと民主党の国会議員でした。
私は本件で、既に中国共産党が我が国の国会に進出している事を強く感じております!
これまでの無知を反省し、今後気をつけます!

Twitter、2022/6/11
https://twitter.com/tachibanat/status/1531812855116271617?s=20&t=_ETmhIs5aeb_P823IJocLA

 上記のケースについて、人種差別撤廃条約第一条の「人種差別」の定義をまとめた下記のポイントを通じて何が問題なのかを整理する。

①(人種/民族などの)グループに対する
②不平等な
③目的又は効果を有する

 今回のケースを上記のポイントに当てはめると下記のように整理できる。

①中国にルーツを有する人物について
②出自を理由として党内から排除を行い、
③「スパイ」などと偏見を助長している

 一政党の党首であり、しかも元国会議員が民族差別を積極的に追認し、中国出身者を「スパイ」視する偏見を助長しているのだ。立花氏はネット上で話題を集めることを通じて支持を拡大することを戦略の一つとしていると思われ、YouTubeなどでも精力的に発信を行なっている人物だ。そうした人物による民族差別の煽動効果を重く見る必要があるだろう。

終わりに

 冒頭でも触れたように今回の参議院議員選挙では、近年新しく登場してきた政党が極右団体出身者を抱えながら台頭しつつある。こうした新興政治勢力を単に「カルト」などと指摘することで片付けるのではなく、そうした勢力が嫌韓・嫌中、その他外国人バッシングを手っ取り早い支持拡大の手段としている点を焦点化することが重要だと考える。

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*新聞・雑誌記事、動画、書籍等でレイシズムの疑いがある公人による発言を見かけた場合は、ARICのHPから通報フォームにてご連絡ください。Twitterで「#政治家レイシズム」のハッシュタグをつけてリツイートしてくださっても結構です。


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