第126回ゴールデンジュビリーS(2005年) [競馬ヒストリー研究(49)]
シャフリヤールが出走し、日本でも馬券発売が行われたプリンスオブウェールズSは終了したが、ロイヤルアスコット開催は6月18日土曜日まで続く。その最終日のメインカードは日本のグレナディアガーズが出走するGIプラチナジュビリーS。
昨年までの10年間は「ダイヤモンドジュビリーS」という名称で施行され、エリザベス女王の即位70周年を記念して「プラチナジュビリーS」に今年から改称された当レース。1937年から2001年までは「コーク&オラリーS」という名称であったが、2002年にGIへ昇格すると同時に、女王の即位50周年を記念し「ゴールデンジュビリーS」と改称され、以降10年ごとに競走名が変わっている。
そのゴールデンジュビリーSとして施行された2005年には、キーンランドスワンが日本調教馬として初めて出走した。シーキングザパールでモーリスドゲスト賞を、アグネスワールドでアベイドロンシャン賞とジュライCを制し、同馬を同じロイヤルアスコット開催のスプリント重賞キングズスタンドS(当時GII)にも出走させていた国際派トレーナー・森秀行の管理馬である。
前年にシルクロードSで重賞初制覇を果たし、6歳となった2005年は阪急杯を勝利し、高松宮記念で2着したキーンランドスワン。京王杯スプリングCを使った後渡英し、同年は改修工事中のアスコット競馬場に替わってヨーク競馬場で行われたゴールデンジュビリーSへ挑むこととなった。
この年の出走メンバーは主役不在の混戦模様。単勝5.5倍で1番人気に推されたのはBalmont。2歳時にGIミドルパークSを制していた4歳馬で、英国馬ながら仏国のC.スミヨンが騎乗していた。2番人気はゴドルフィンのByronとシャドウェルのEtlaalaが8倍で並んでいたが、いずれもGIは未勝利であった。
また、香港からは、伝説的スプリンターのSilent Witnessに何度もGI制覇を阻まれ、この年創設されたグローバルスプリントチャレンジに活路を見出して遠征を続け、2月に豪州でGIオーストラリアSを制していたCape of Good Hopeが参戦していた。
初重賞制覇の時にも騎乗していたA.スボリッチを背に9番ゲートからスタートしたキーンランドスワンは先行集団を追走。その外にはBalmontが位置した。
残り3Fあたりからキーンランドスワンは手応えが怪しくなり、徐々に後退。前方では逃げたGaleotaに好位の内から鋭い脚で迫ったCape of Good Hopeが並びかけ、外からはBalmontも脚を伸ばす。
ゴールまで1Fを切ってGaleotaとCape of Good Hopeの2頭による叩き合いとなり、左ステッキを連打したM.キネーンの鼓舞に応えたCape of Good Hopeがラスト1/2F程で前に出ると、最後はアタマ差押し切って先頭でゴール板を駆け抜けた。キーンランドスワンは勝ち馬から10+3/4馬身離された10着に終わった。
キーンランドスワンはその後ジュライCにも出走したが、12着に敗れた。それ以来欧州のスプリントGIに日本馬が出走した例は途絶えたが、今年はグレナディアガーズがそれ以来となる挑戦を敢行するということとなる。しかも同馬の父はロイヤルアスコット開催でもGIを2勝した英国の歴史的名馬Frankelとあれば否が応でも期待は高まる。
芝の中距離では完全に世界トップクラスと言える日本の馬だが、昨年のブリーダーズCや今年のサウジCミーティングでの活躍然り、他のカテゴリーでもそのレベルは上昇していることは確か。このロイヤルアスコットでもいつか日本の馬が勝利し、日本のホースマンが女王からトロフィーを受け取る瞬間を目の当たりにしたいと切に願っている。
グレナディアガーズが出走するプラチナジュビリーS。初日の14日にキングズスタンドSを圧勝したNature Stripは回避しましたが、こちらも豪州からの遠征馬Home Affairsが1番人気に推されています。昨年のコモンウェルスCを制した米国馬のCampanelleもおり、かなり国際色豊かなカード。その中でグレナディアガーズにも日本代表として爪痕を残してもらいたいところです。
マーメイドSはもちろん軽ハンデから入りたいと思います。52kgは実績の割に少し恵まれた感のあるスルーセブンシーズと、前走久々の芝で上がり最速をマークしたステイブルアスクの2頭に注目します。ユニコーンSは連勝中のリメイクとヒヤシンスS勝ちのコンバスチョンの実績上位2頭から狙いたいと思います。
それではー