第58回 フローラステークス/第54回 マイラーズカップのみどころ
明日は、東京でGⅡフローラステークスが、京都でGⅡマイラーズカップが行われます。
両レースとも、GⅠ前哨戦という位置づけになりますので、少なくともその意味では、目が離せない一戦となることは間違いありません。
その一方で、馬券的にはどちらのレースも非常に難解な印象なんですよね。フローラステークスのほうは、そもそものポテンシャル比較が難しいですし、マイラーズカップのほうは、有力馬が外目の枠に集まった点を自分の中でどう処理していくか、、、そこが非常に悩ましいな、と。
では、早速、それぞれのレースの見どころについて、解説していくことにしましょう。
東京11R フローラステークス
ここは、大枠で言うと「キャリアの浅い素質馬同士の対決」という構図になっていて、特に1戦1勝馬の扱いをどうするかが、的中/不的中を分ける明確な分水嶺となりそうですね。
加えて、3歳牝馬同士のレースとなりますので、関西からの輸送があってもしっかりと自分の力を出し切れるのか……など、いろいろと不確定要素が多すぎて、「あれもこれもはさずがにケアしきれない状況になっている」というのが正直な見立てとなります。
その中で、前走のクイーンCで桜花賞好走馬と忘れな草賞の勝ち馬に割って入ったイングランドアイズには、能力的に一定の担保があることがわかっていますから、「この馬を負かせる可能性があるかどうか」というところを切り口として確信に迫って行くのが、唯一、大間違いをしない方法なのではないでしょうか。
次に展開ですが、開幕週ですし、基本は前受けする馬に有利なレースになるのだろうと思っていたのですけれど、いやいやどうして、土曜日は外差しがバンバンと決まっていましたからね。
さすがに、終始外々からでは厳しいですが、直線だけ外に出して脚を出し切れそうな馬を狙う戦略がドハマりそうな感じもありますので、どうやらトラックバイアスを強く意識して予想を組み立てることが的中に近づくための必須条件となりそう。そんな気もしています。
ということで、ここは⑫ティファニードンナを中心視することにします。
この馬は不利とされる外目の枠を引いてしまいましたが、決して枠の並び自体は悪くありませんので、ゲート五分ならスッと好位外のいい位置を確保できそう。今の外が伸びるトラックバイアスを考慮に入れるとすれば、むしろこの枠がプラスに出る可能性すらある気がしています。
また、前走のひいらぎ賞は、地味ながらも相手が揃っていたと思うのですよね。その中で、序盤の位置取りが悪くなり、距離も不足気味で、最後は鼻出血まで発症し……という踏んだり蹴ったりの状況でも大崩れしなかったことは高く評価できますから、休み明け、初距離、初コース、格上挑戦と一見厳しそうに見える臨戦過程ではあっても、他馬との比較上、十分に通用しておかしくないという見立てでいいのではないかと考えました。
2番手は、⑪ドゥムーラン。
この馬の前走に関しては、まさに見た目どおりの評価でいいように思います。
前残りの流れを力づくて差し切って突き放した内容は、いかに相手が軽かったと言っても並の馬にできる芸当ではありませんので、デビュー2戦目での重賞挑戦という厳しい臨戦過程でも、ここでいきなり通用してしまう可能性も十分とみました。
また、初戦の行きっぷりからすると、中団後ろくらいの位置から競馬ができそうな点も一定の強調材料にはなりそうですし、何より外が伸びるトラックバイアスがこの馬に味方くれそうですからね。
3番手は、②ソーダズリング。
この馬は、操縦性が抜群で折り合い面に不安を感じさせませんし、能力的な裏付けも十分で、対ガットネロでほぼ互角の力関係なら、今回はレースぶりの安定感からブライトジュエリーよりもこちらを上に採るべきとも考えられます。
そのブライトジュエリーの前走の勝ち時計が、古馬2勝クラスでも勝ち負けできるレベルであったことを考えれば、「ソーダズリングがトライアルのここで通用しない理由はほぼない」と捉えることができそう。
ただ、、、なんですよね。今のトラックバイアスは、内を捌いて差してくる馬に有利には働かないの思うのですよ。よって、その点を割り引いてのこの位置。そう理解してください。
4番手は、⑧イトカワサクラ。
この馬の前走は、いかにもゴールドシップ産駒らしい走りで、長く長く脚を使っての差し切り勝ち。
全体的に速い時計が出ていた日ではありましたけど、勝ち時計も優秀な部類には入ってきますし、馬群の中で行きっぷり良く走れていた点にも好感が。キャリアの浅さに当然不安もつきまといますが、力的にこの馬にも当然ワンチャンスあっていいような気がしています。
その他、イングランドアイズは、この外枠と距離のダブルパンチがどうかですね。個人的には、この馬の本質はマイルから千八あたりがベストと見ていますので、この条件で他馬に力を出し切られてしまった時に、相対的な比較でちょっと苦しいのかな、と。
ブライトジュエリーの初戦は、時計面を含め文句なしの好内容なのですが、インをロスなく捌いてほぼノーブレーキで走れた点が逆に気になるのですよね。おそらくここは、前走ほどスムーズなレースにはならないでしょうから、「それでも足りるのか???」というところで、少しだけ評価を下げた格好となります。
キミノナハマリアにとっては、いかにもここは展開が向きそうですし、レースぶりに安定感があって、力的にも好勝負できるくらいのものは十分に持っているとは思うんですけど、やはり鞍上が、、、というところで評価を少し下げました。
ゴールデンハインドは、この組み合わせなら単騎逃げに持ち込める可能性もあって、展開的に怖い一頭であることは間違いないと思っています。ただ、東京の開幕週で切れ味勝負になると、位置取りの優位性を生かしてもキレ負けする印象が強かったので、相対的な比較でどうしても拾い切れなかったのが実情です。
京都11R マイラーズカップ
ここは、ポテンシャル面で上位とみられる2頭が、よりにもよってお揃いのピンク帽に。これにより、枠順によるハンデ戦とも言っていい状況が生まれてしまった分、正直、どこを切り口に検討を進めて行ったらよいのかもわからない状況に陥ってしまいました。
率直に言って、開幕週の京都、しかもペースがそれほど上がりそうにないという条件下において、ピンク帽の差し馬2頭が揃って好走するという絵面は、私にもどうしても描けなかったですね。
加えて、ここでは実績面で抜きん出ているシュネルマイスターをどの程度すべきかも難しい……。
メディアでは、前走の内容をもって復調なったという論調も散見されますが、そもそも中山記念はメンバーレベルが低かったですし、その中で惜しい4着をはたして復調と呼べるのかどうか。
個人的には、もう以前のシュネルマイスターに戻ることはないだろうと見ていますので、「昨年のマイルCSくらいの走りをした時に、ここで通用するかどうかを考えればいい」と思っているのですけれど、その結論がなんとも微妙なところでして、、、
まあ、このレースに関しては、これ以上悩んでもおそらく明確な結論にはたどり着けない気がしています。
よって、こういう時は「エイヤー!」と決め打ちを敢行するまで。どうせ外れるのなら、不安のある人気上位馬を恐る恐る狙うよりも、一芸に秀でた人気薄馬を狙うほうが、よっぽどスッキリしますからね。
ということで、中心には⑪ビーアストニッシドを推します。
この馬に関しては、もともとマイルの距離がベストであり、展開に恵まれた時に二千まではこなすという評価でしたので、ここはついにこの馬が本領を発揮できる条件が整ったのではないか、と。
作戦的には、できれば強気にハナを主張してほしいのですけれど、仮に控える競馬になったとしても、今のこの馬なら自分の力を発揮するのに支障はなさそう。ならば、いかにも人気上位馬が取りこぼしそうなここで、反骨精神の塊とも言える岩田康Jに一発ぶちかましてもらいたい。そんな期待を持ってレースを観戦したいと思います。
2番手は、⑦ガイアフォース。
この馬は、気性的にポカが多いタイプの馬ですが、距離は長いよりも短いほうがポカが出にくい印象もあって、馬場がいい京都の時計勝負で手ごろな枠を引けた点も、実はかなりの好材料になるのではないかと見ています。
ここは、松山Jから西村淳Jに乗り替わりとなりますが、ここ最近の流れから言えば、むしろ鞍上強化と取ることもできますので、一段と白さを増した馬体面はやや気になりますけど、今回は好位または中団あたりから差してくるレースでの好走を期待してみたいですね。
3番手は、⑫キングエルメス。
どうでしょう、前走の感じからすると、今は千四よりもマイルのほうが距離的に合っている印象もありましたからね。
ここは、ゲートさえ五分なら前々のいい位置でレースを運べる絶好の枠の並びとなっていますので、前で競馬ができるアドバンテージをうまく生かせれば、ここでも十分に好勝負が可能なんじゃないか、と。
4番手は、③ジャスティンスカイ。
この馬に関しては、外枠を引いたら迷わず消そうと思っていたのですが、この枠を引かれてしまったら、さすがに拾わないわけにはいきませんでした。
正直、人気ほどの期待値はありませんし、消せるなら消したい気持ちは今も持っていますが、そこをグッとこらえてのこの位置となります。
その他、ソウルラッシュは、まともな枠を引ければ、この馬を中心視すると決めていたのですが、よりにもよってこの大外枠ですからねえ~。
さらに、ここ最近、外々を回されてなし崩し的に脚を使うレースが目立っている松山Jが鞍上となると、正直、期待よりも不安が先を行く感じとなってしまい……。ここに入れば力はこの馬が最上位だと思っていますので、もちろん怖いのは怖いですけど、最後は自らの感性を信じ、割り切って消すことにしました。
シュネルマイスターは、今のこの馬の力でも立ち回り次第では通用すると考えていますが、この枠の並びだと、さすがのルメールJでもインに潜り込めるイメージは湧かなかったので、正攻法の競馬では最後に伸びあぐねると見て、こちらも消すことにします。
マテンロウオリオンには、乗り方次第でワンチャンスありそうですが、もともとがスパッと切れるタイプの馬ではないため、「ジリジリ伸びて掲示板」みたいなレースになるのかな、と。
エアロロノアは、この枠で武Jの騎乗ならノーマークで大丈夫だと思っています。