見出し画像

中山グランドジャンプの回顧


メイショウダッサイ、やっぱり強かったですね。ここは、レース前から想定していたとおり、世代交代を印象づける歴史的転換点とも言えるレースになりました。

結果だけを見ると、暮れの中山大障害の着順をなぞっただけのようにも見えるわけですが、レースの中身は完全に別物で、非常に内容の濃い駆け引きが繰り広げられたと思います。

それでは早速、レースを振り返っていくことにしましょう。

土曜 中山11R 中山グランドジャンプ


午前中のレースで、平沢Jが落馬して負傷。急遽、植野Jに乗り替わったタガノエスプレッソが、どんな作戦でレースに臨んでくるのかに、まず最初の注目が集まることになりました。

レース後の植野Jのコメントを見ても、陣営からは「ハナに行くように」との指示が出ていたようですが、ゲートの中がうるさくて、見ているこちらが思わずハラハラしてしまいましたね。

少頭数の競馬だったこともあり、スターターがタガノエスプレッソにタイミングを合わせる形でゲートを開けてくれたので、スタートは五分に出ましたが、レース序盤はずいぶんと行きたがって、リズムよく運べてはいなかったと思います。


一方、好スタートからいいリズムで流れに乗れていたケンホファヴァルトですが、こちらは、熊沢Jが競り合いを避けてあえて控える形を選択。結果的には、この判断がズバリとハマりましたね。

中盤にかけても、タガノエスプレッソ、オジュウチョウサン、スマートアペックスの3頭は、やや行きたがる様子を見せてリズムよく運べていませんでしたし、反対にヒロシゲセブン、シンキングダンサーの2頭は、追走だけで汲々の様子。個人的には、この段階で、すでにメイショウダッサイの勝利を確信したくらいでした。


勝ったメイショウダッサイは、前走同様デキは充実していましたし、終始、ライバルたちを射程圏に入れる競馬で完勝。この強力メンバーを相手に、横綱相撲で楽に勝ち切ってしまうのですから、当面は、敵なしの状態が続くことでしょう。

どんなペースになっても、折り合い面に一切不安がありませんし、飛越にまったく心配な点がないのも、この馬が持つ絶対的なストロングポイント。森一馬Jとの相性も抜群ですから、人馬ともに、新絶対王者と呼ぶにふさわしい見事なパフォーマンスを見せてくれたと思います。


2着ケンホファヴァルトは、控える競馬を選択しての2着。前走と同じ2着でも、新たな境地を拓いたという意味では、非常に価値あるレース内容だったと思います。

それにしても、熊沢Jの判断は実に老獪でしたね。タガノエスプレッソが行きたがっていると見るや、スッと下げて差しに構えた判断は素晴らしかったと思います。この好メンバー相手に、こんな器用なレースができるのなら、この馬も、しばらくは一線級として活躍できるでしょう。


3着タガノエスプレッソは、道中のリズムも良くなかったですし、飛越も2ヶ所ほど危ないところがありましたから、それでいてここまで踏ん張れたのは、大きな収穫だったと思います。まあ、この馬にとっては、植野Jが空いていたのが幸いしたのも事実なんですが……。

……にしても、です。植野Jは、本当に素晴らしかったですね。直前の乗り替わり、初騎乗と、ただでさえ悪条件が重なっているのに、よりにもよって、それが大障害コースを使用するレースになるとは、そりゃあーたまったもんじゃありませんよ。普通なら、もっと安全にソロっと乗ってくるところ、いかに陣営の指示があったとはいえ、果敢にハナを切るレースをしてくるのですから、これはもう、大ファインプレー以外の何物でもありません。

結果は3着でしたけど、前売りで馬券を買っていたファンの期待に応えたという意味でも、これはもっともっと称賛されないといけない世紀の好騎乗だったと思います。


4着スマートアペックスは、パドックからちょっとテンションが高めでしたし、このメンバー相手に強気な競馬を仕掛けては、最後に脚が上がったのも当然の結果と言えるでしょう。

それでも、適距離とはいえないこのレースで、こうやってガチンコ勝負ができるのですから大したもの。レース内容的には、もっと距離が縮まれば、一線級相手でも十分に勝ち負けに持ち込めることを、しっかりと示せたような気がしています。


5着オジュウチョウサンは、やはり全盛期の走りからは程遠く、悲しいかな、年齢的な衰えを印象付けるレースになってしまいました。引っ掛かったとか、いろいろと敗因はあるのですが、この内容を見る限り、復権の期待は非常に薄いと言わざるを得ません。う~ん、さすがにそろそろ、潮時かもしれないですね。心情的には、もう引退させてあげてほしいです。

6着マイネルプロンプトは、勝負どころまでは見せ場たっぷりでしたから、少なくとも、今のこの馬の力は出し切れたと思います。それでも、最後伸び切れなかったところを見ると、さすがにこの馬も衰えは隠せませんが、相手次第では、もうひと花咲かせるシーンがあってもいいのかもしれませんね。

7着ヒロシゲセブンは、いったいどうしちゃったんでしょう。スタートからまったく行く気を見せませんでしたし、なんとも高田Jらしくないレースになってしまいました。もともと馬群から離れてしまうと、戦意を喪失するクセのある馬ですから、今回は、まったくレースにならなかったという評価になります。

8着シンキングダンサーは、前走からさらに馬体が減って明らかに馬がしぼんで見えましたから、この惨敗は体調面がすべてだと思います。いくら相手が強いとはいえ、いくらなんでも、ここまで大きく負ける馬ではありませんから。ただこちらも、はっきり全盛期の勢いはないので、うまく立て直したとしても、一線級と互角に戦えるレベルにまで戻るイメージはない。そんな評価をせざるを得ないかなと思います。

いいなと思ったら応援しよう!

本気の競馬力向上研究所
サポートは任意です。 この記事があなたのお役に立てた時だけでかまいませんので、サポートしてもらえたら励みになります!