週末の障害戦回顧(11/14,15)
今週は、土曜日に阪神競馬場で行われた京都ジャンプステークスで、ついに歴史が動きましたね。このレースについては、この後、じっくりと解説しようと思います。
個人的には、日曜日の福島で、まさかの2打席連続ホームランと望外の結果が出たことにも驚いたのですが、まずは早速、レース内容を振り返っていくことにしましょう。
土曜 阪神8R 京都ジャンプステークス
ここは、平沢Jが注文をつけてハナを取り切ったタガノエスプレッソが、オジュウチョウサンの連勝記録をついにストップして、見事に重賞2連勝を飾りました。
最近の平沢Jは、意識して積極的な競馬を仕掛けてきているイメージが強かったので、事前の見どころ解説でも触れたとおり、ここもオジュウチョウサンを負かしに行くようなレースをするであろうことは、ある程度予見できたわけです。それでも、目標にされることをいとわずに、自らハナに行く決断をしたことは称賛に値するでしょう。
実際、向正面で外からオジュウチョウサンにプレッシャーをかけられる形にはなっているので、この馬自身もかなり苦しかったはずですが、それでもギリギリ後続の追い上げを退けたのですから、タガノエスプレッソのパフォーマンスも素晴らしいものだったと思います。
2着ブライトクォーツは、序盤で行き脚がつかず、後方をマイペースで追走する形になったことが、最後の伸びにつながりましたね。「裏の裏は表」的な競馬ではありましたが、この馬の底力をまざまざと見せつける結果になったと思います。
そして、3着のオジュウチョウサン。個人的には、4つの複合的な理由が重なって、ついに連勝が止まったのだと理解しています。
ちなみに、4つのうちの2つは、事前の見どころ解説でも触れたとおり、年齢的な衰えのほか、3,000mちょっとの距離の障害レースを使うのが実に3年ぶりだったため、道中でリズム良く追走できなかったことが影響していたと思います。
それに加えて、飛越が随分と雑になっていたことも大きかったでしょう。この点は、石神Jの怪我が長引いて、密度の濃い障害練習ができていなかった可能性もありますし、はたまた、スピードに乗った状態で飛越しなければならない状況が、およそ3年ぶりだった影響があったのかもしれません。
ただ、何より致命的だったのは、向正面で折り合いを欠く形になって、中途半端に外からタガノエスプレッソに並びかける形になったこと。この点、スタート直後から石神Jがずいぶんとタガノエスプレッソを警戒している様子もうかがえていて、その精神状態がめずらしく焦りを生んだようにも思えました。
いずれにしても、決して力負けを喫したわけではないのですが、それでも、今後に不安を残す結果になったことだけは間違いありませんね。
4着ビッグスモーキーは、僅差のレースに持ち込んでいますので、大健闘だったと思います。以前の末の甘さはだいぶ解消されてきた印象もあるので、危ない人気馬のレッテルは、ここで一旦はがすことにしたいと思います。
5着スズカプレストは、上がりの速いレースになって、スピード不足を露呈した形になりました。この展開では、惨敗の5着も納得の結果ではあります。
まとめとしてレース全体を俯瞰するならば、歴史的勝利を挙げたタガノエスプレッソ自身がものすごいパフォーマンスをしたわけではなく、どちらかというと凡戦に近い内容だったことにはどうしても触れておかねばなりません。
そもそも、4頭が大接戦になったという事実だけを見ても、4頭ともがものすごく強かったと考えるのは不自然なんですよね。「オジュウチョウサンが負けた」ことばかりに目を向けると、意外にもレベルは高くなかったというレースの本質を見失う懸念があるのかなと。
いずれにしても、これで暮れの中山大障害が、より楽しみになりましたね。
日曜 福島4R未勝利
ここは、事前の見どころ解説で取り上げた3頭が、馬券圏内を独占する形になりました。
勝ったメイショウハチクは、小坂Jがロスのない見事な立ち回りで勝利に導きました。前日は、キャラが似ているのでつい難波Jなんて書き間違えてしまったのですけれど、大変失礼しましたですね。予想どおり福島替わりで器用さが生きる形になりましたから、すべてが噛み合っての勝利だったとも思います。
2着ゲインスプレマシーは、出遅れ気味のスタートだったにもかかわらず、逆回りの4コーナーまでに好位の内ラチ沿いのポジションを取り切るという神騎乗を石神Jが見せてきました。昨日の今日でこれができるのは、やっぱり一流ジョッキーの証しですね。ただ、そんな大ファインプレーがあっても、この弱小メンバー相手に勝ち切れなかったわけですから、今後も過大な期待はかけづらいなと思います。
3着キーパンチは、これもやっぱり事前の見込みどおり、福島では持ち味が生かせませんでした。それでも、終始外々を回るロスの多い競馬で、なんとか馬券圏内を確保してきたのは立派で、もう少し楽に追走できるコースに替われば、こちらはすぐに勝ち上がれそうな雰囲気がありますね。
日曜 福島5R未勝利
ここは、事前の見どころ解説で取り上げた上位3頭が、ほぼ順番どおりに入線してきました。
勝ったボランテレオは、やはりレースぶりがさらに良化してきました。こうなると、詰めの甘い2、3着馬よりも有利にレースを運べるのは必然ですから、まずは順当な勝利と言ってもいいでしょう。
2着ホウオウアクセルは、なんとか連を確保してきましたが、前走でボランテレオにつけた5馬身半の差をあっさりと逆転されたわけですから、よっぽどの幸運がないと、今後も未勝利を勝ち上がるのに苦労しそうです。
3着キタノテイオウは、伊藤工Jの必死の叱咤激励を受けてなんとか馬券圏内に喰い込んできましたが、詰めの甘さはやはり致命的です。崩れないけど、勝ち切れない。今後も、そんなレースを続けることになるのでしょう。
4着ホッコーメヴィウスは、道中、ちょっと行きすぎちゃった感はありましたが、レースぶりは確実に良化していました。次走、2、3着馬と再戦する形になれば、次は逆転できるかもしれませんね。