第70回 オールカマー/第72回 神戸新聞杯のみどころ
業務多忙につき、この週末は金曜日段階における見解を投稿することにします。どうかご了承ください。
日曜中山11R オールカマー
日曜日の中山は、雲の通るコースによってはまとまった雨が降る予報になっていますが、そこをあまり深読みしても仕方がありませんので、ベースがしっかりとした今の馬場なら極端な道悪にはならない。
そんな前提でレースシミュレーションを組むこととします。
メンバーを見渡すと、別定のGⅡとしてはやや寂しい顔ぶれとなった印象もあります。
地力上位は、GⅠで好走実績があるステラヴェローチェ、昨年のセントライト記念勝ちがあるレーベンスティールあたりになりますが、どちらも「抜けて強い」と言えるほどの明確な違いを近走で見せられているわけではありません。
そのため、展開や立ち回りが上手く噛み合うようだと、ハンデのGⅢ戦が主戦場となっている馬たちにも、少なからずチャンスはありそう。そんな気がしてならないですね。
う~ん、「この馬を積極的に狙いたい!」と思える馬が一頭もいないレースでは、常に予想を組み立てるのが難しいな、と。
展開的にはアウスヴァールの単騎逃げが濃厚とみますが、今回のコース形態だと、フェーングロッテンが玉砕覚悟で強気な立ち回りを選択してくる可能性もあるでしょうから、必ずしも「前受けしたもん勝ち」という単純なレースにはならないのではないでしょうか。
それでも、今の中山芝の馬場傾向で「後方待機から大外ブン回し」ではさすがに厳しい競馬になりそうですので、ある程度の位置で立ち回れることを最低条件としつつ、ポテンシャルとコース適性重視でアプローチしていくのが多少でも正解に近づくための術にはなるのかな、と。
中心には、⑪サヴォーナを推します。
今回のように「この馬を積極的に狙いたい!」と思える馬が一頭もいないレースでは、「このレース条件なら、少なくとも自分の力は確実に出してくるだろう」という馬を狙うのが定石。
当研究所ではそのように考えており、今年のオールカマーにその考え方を当てはめると、自然と主軸がこの馬になったということになります。
ぶっちゃけ、素材としてはせいぜい4,5番手あたりなのかなとも思いますが、距離適性に疑いがなく、そこそこ位置を取れて途中で動いていく機動力があり、それに加えて鞍上も強化されるのであれば、馬券圏内の確率が最も高いのはこの馬と考えていいのかな、と。
2番手は、④レーベンスティール。
この馬にとって、このレース条件がベストであるとはまったく思っていませんが、この好枠を引いた以上は、目をつむって消すという判断はやりすぎという結論に至りました。
枠の並び的にも中団前のインをロスなく確保できそうですし、そうなると終いはキッチリと脚を使って上位争いに絡んでくるのかな、と。
3番手は、⑩フェーングロッテン。
去勢後のこの馬は、かつての面影なく惨敗を繰り返していますが、2番手の位置を取り切れた小倉大賞典ではハイペースを追走しながら大バテしなかったように、まだ完全に終わったわけではない。これが当研究所なりの見立てなんですよね。
そこに来て今回は、アウスヴァールの2番手を取るところまでは行けそうですので、そうなると札幌記念のノースブリッジと同様に、展開とトラックバイアスに恵まれての流れ込みがあってもいいのではないか、と。
4番手は、①サリエラ。
この馬のベストレースは昨年の目黒記念で、当時と同じだけ走ればこの馬も好勝負は可能と考えていいのではないでしょうか。
問題はGⅠとは言え負けすぎとも思える前走の惨敗をどう捉えるかですが、直接的な敗因を当時の状態面に求めるのであれば、長距離輸送のない適距離のレースとなる今回、一気に巻き返してきてもおかしくない。
そう考えて、最後のひと枠で拾うこととしました。
なおステラヴェローチェに関しては、長期の休養から復帰した以後、行きたがる面が顕在化して距離適性が短めにシフトしているのがどうか。
もちろん地力上位は間違いありませんし、馬場が荒れれば荒れただけこの馬に有利になるのも確かなんですけど、それでも「今のこの馬にこのレース条件が合うのか」と問われれば、ちょっと首をかしげざるを得ないというのが率直な見解となります。
当然、絶対的な自信を持って消せるわけではないのですけれど。
ロバートソンキーは、本調子に戻っていれば十分に好勝負を期待できる馬ですが、追い切りの映像を見る限り、さすがにまだ復調途上ではないかという印象を持ちましたので、今回は狙うのがまだ早いと判断し、強く推すのを一回自重した格好となります。
そのほかでは、ラーグルフ、アウスヴァール、アルビージャ、ヤマニンサンパ、リカンカブール、ミクソロジーあたりに馬券圏内のチャンスがありそうですが、確率論的に考えた時に、あえて「サリエラを消してこれらの馬たちを拾っておく」という判断にはなりませんでした。
日曜中京11R 神戸新聞杯
日曜日の中京は、そこそこまとまった雨が降る予報がありますので、基本的には外差し傾向によりいっそう拍車がかかるか、はたまた先行馬が内を開けて走るくらいのところまで一気に馬場が悪化する可能性も排除はできない。金曜日時点では、そんな見立てをしています。
そしてこのレース、何が難しいのかというと、春シーズンはメンタル面でテンパって力を出し切れなかった素質馬たちが、夏を越していったいどんな精神状態でレースに臨んでくるのか、そこが非常に読みづらいのですよね。
図式としては、「春のクラシック組 vs. 夏の上がり馬」というシンプルな構図となっているものの、頭を悩まされるのは、春のクラシック組のほう。
皐月賞、ダービーで力を出し切れずに終わってしまったメイショウタバル、ビザンチンドリーム、ミスタージーティーの3頭が実績上位であると言えそうですが、それぞれが力を出し切ってくるようだと馬券圏内独占まであり得そうな反面、仮に気性面の課題を克服できていなかったりすると、3頭揃って圏外に去る可能性まで考えられますからね~。
う~ん、仮にポテンシャル面の比較を正確にやれたからと言って、必ずしもそれが的中に結びつかないレースになりそうなのが、どうにも困ったものだな、と。
加えて、夏の上がり馬勢の評価もそう簡単ではありません。
ひとつのメルクマールになるのは、プリンシパルS組のヴィレムとメリオーレムが、先週のセントライト記念で5,6着だったスティンガーグラス、アスクカムオンモアとほぼ同等の力の持ち主であることでしょうか。
つまり、セントライト記念で馬券圏内に入った馬たちと同等以上の潜在能力を秘めた馬がこのメンバーの中にいれば、ヴィレムとメリオーレムではやや厳しいという判断になりますし、逆にセンタライト記念で好勝負できるくらいの馬はこの中にいないと考えれば、ヴィレムとメリオーレムが上位候補として浮かび上がってくる。
このことだけは、この超絶に力の比較が難しい組合せの中で、唯一、明確な手掛かりになるとは思います。
これ以外では、 キープカルム、サトノシュトラーセ、ハヤテノフクノスケあたりがパラメータホースになるのですけれど、この観点から言えば、京都新聞杯組はもとより、バッデレイトも、ゴージョニーゴーも、ショウナンラプンタも大差はないという結論にしかならないのですよね。
そうなると、結局、ほとんど馬に菊花賞の優先出走権確保のチャンスがある混戦模様ということになりますので、最後は自分なりに強調できる論拠を頼りにビシッと決め打ちを敢行する。残念ながら、これ以上良い方法が見つからないな、と。
ということで、中心には⑮メイショウタバルを推します。
この馬、皐月賞の追い切りあたりから制御が難しくなり、レースでも息を入れずに暴走してパッタリと止まってしまったわけですが、もとをただせば控える競馬も普通にできていた馬ですので、ダービーの出走取消を含め春後半は完全にメンタルが崩壊してしまっていたと理解するのが正解でしょう。
その点、夏を越して精神的にリフレッシュできたのか、追い切りでは制御が利いて脚を溜めながら上手に走れていましたから、仮にこの点を重視するのであれば、強かったあの毎日杯の走りを思い出すべきではないか。そう考えました。
メンバーをざっと見渡してみた時、ソロっとゲートを出しても楽にハナを取り切れそうな組合せではあって、この点もこの馬にとってかなり恵まれた印象がありますからね。
2番手は、④サブマリーナ。
この馬は、つばき賞が勝ったメイショウタバルとの間にパラメータホースとなるキープカルムを挟んでの3着と健闘し、続くあずさ賞では後半の1,000mを57秒台で走破して、なおかつ加速ラップでの好時計勝ちを収めていますからね。
仮にメイショウタバルを中心視するのであれば、この馬も当然走破圏内と考えるのはごくごく自然な論理。追ってから長く脚を使える点も強調できますので、ここは「逆転含みの対抗馬」というシンプルな評価にしておきたいと思います。
3番手は、⑭ビザンチンドリーム。
この馬が最も強いレースをしたのは阪神の新馬戦で、あの時点ではこの馬がダービーを勝つんじゃないかと思ったくらいだったのですがね。
その後はきさらぎ賞を連勝し一躍クラシック候補に名乗りを上げたものの、皐月賞、ダービーと惨敗。ただし当時の主たる敗因は、テンション面にあったと考えるのが自然でしょう。
その点、夏休みを挟んでフレッシュな状態でレースを使えるのは好材料と言えますし、当時のイレ込みの一因が関東までの長距離輸送にあったと推察するならば、輸送時間が短くて済む中京のレースなら、春とは違ってまともな精神状態でレースに向かうことができるとも考えられますので、ならばこの馬が秘める破壊力抜群の末脚を見直してみたいな、と。
4番手は、②バッデレイト。
この馬の前走は、ピースワンデュックにハナ差敗れて連勝が止まる格好となりましたが、力を出し切ったパラメータホースのサトノシュトラーセはしっかりと捕え切りましたし、走破時計の2:11.9は菊花賞でも好戦できる水準にギリギリですが達しているんですよね。
加えて、前受けしてそこからひと脚使える器用な脚質は魅力ですし、しかも馬場が重くなっても対応できるだけの力強さを併せ持っていますので、突き抜けることろまではどうか、、、ですが、前々から流れ込む競馬で上位争いには絡んで来られるのではないか。そう考えています。
その他の馬に関しては、多くの馬に好勝負のチャンスがあると認めた上で、「力を出し切ったメイショウタバルを相手にしたら、プリンシパルS組ではあと一歩足りない」「ヴェローチェエラと同等程度の力だと、ここでは少しだけ足りないラインにとどまる」などと当研究所なりの基準をひとつひとつ適用していき、京都新聞杯組やショウナンラプンタを含めた各馬を選外扱いとしました。
また、オールセインツに関しては、菊花賞本番でも楽しみがある馬だとみているのですが、この馬はおそらく道悪が空っ下手。ミスタージーティーは、ここなら力は通用するはずと考えつつも、ベストディスタンスは千八あたりで今回はやや距離が長いと考え、それぞれ消すという判断に至りました。
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