週末(3/20,21)の3歳戦回顧
この週末は、3歳馬の重賞レースが3鞍、それに加えて皐月賞トライアルの若葉Sがあったわけですから、レースレベルはともかく、見どころ満載の週末ではあったと思います。
4つのレースを回顧するのはちょっと大変ですけど、手抜きすることなく、しっかりと振り返っておくことにしましょう。
土曜 中京11R ファルコンS
ここは、差しづらい馬場と折り合い面を考慮して、最内枠から逃げの手に出たルークズネストが、ゴール前でGⅠホースを差し返して重賞初勝利を挙げました。1番枠で、ゲート内がかなり危なっかしかったですけど、タイミングを計りながら馬の体勢を整えた、幸Jの隠れた大ファインプレーだったと思います。
もちろん、馬の能力も確かで、あの外差しがまったく利かなかったシンザン記念の週で、唯一頭、外からしっかりと脚を使ったパフォーマンスは伊達ではありませんでしたね。相手が長く脚を使えないグレナディアガーズだったことを考慮に入れても、勝ち時計も含め非常に優秀な内容だったと評価していいでしょう。
ただし、ここでハナを切る競馬をしたことは、NHKマイルCに向けては大きな懸念材料になると考えます。もともと、折り合いに難しいところのある馬。かといって、東京のマイルでポンとハナに行けるほどのテンのスピードがあるわけでもないので、本番は、折り合い面で非常に苦労することになってしまう予感がプンプンします。
2着のグレナディアガーズは、正攻法の競馬で現状の力は出し切っていると思います。内容的には、勝った朝日杯フューチュリティSよりもよかったくらいですし、やはりこの馬の本質はスプリンターなのでしょう。この馬も、東京のマイルだとよっぽど前有利なバイアスにでもならない限り、ゴール前で止まるイメージなんですよね。さらに外枠なんか引いたら、いよいよ危険な人気馬になってしまうような気もしています。
モントライゼは、やはりピリッとした脚は使えず、流れ込んだだけの3着。ペースを考えると、位置取りは決して悪くなかったと思うのですが、やはりこの馬は、素材的に一枚劣ると考えたほうがいいのでしょう。ダイワメジャー産駒で成長力に課題もありそうですから、あんまり深追いしたくないタイプの馬ではありますね。
ちなみに……、勝ったルークズネストと2着のグレナディアガーズは、ちょうど半年前に、この中京競馬場でレースを走っていたのですよね。ルークズネストは新馬戦で2着、グレナディアガーズは未勝利戦で4着に敗れていたわけですが、当時のレースぶりから、2頭とも大成する予感は十分にあったわけです。未来予想図が当たっていること、そうじゃないこととありますけれど、当時の記事を貼っておくので、復習のため、是非、もう一度見返しておいてもらえたらと思います。
土曜 阪神11R 若葉S
ここは、好位の外目につけたアドマイヤハダルが、直線一気に抜けて圧勝。想像以上の勝ちっぷりで、なかなかのインパクト残しました。ほぼ力を出し切ったシュヴァリエローズを3馬身千切っていますから、この結果を見ると、皐月賞でノーチャンスとは言えない位置にまで上昇してきたと評価すべきでしょう。
確かに、今、振り返ってみても、昨年の10月に東京で行われたアイビーSは、ハイレベルのメンバー構成だったわけですが、アドマイヤハダルに関して言えば、4着に健闘した当時と比べても、まるで別馬のように成長していますよね。エリカ賞勝ちも地味な印象だったわけですが、その後のディープモンスターのパフォーマンスを見れば、決して相手が弱かったわけではないことがわかりますし、この馬、意外に侮れないな、と。
この日は、全体に速い時計が出ていたので、勝ち時計が優秀とまでは言えないですけど、数字に表れない強さという点も加味すると、アドマイヤハダルは非常に内容の濃いレースをしたと理解するのが、妥当な結論でしょう。また一頭、クラシック戦線を盛り上げてくれそうな馬が出てきたことを、純粋にうれしく思いますね。
なお、2着以降の馬について、特に言及すべきことはありませんでした。
土曜 中山11R フラワーカップ
土曜日の中山は、完全にイン有利な馬場。直線だけ外はOKでも、終始外々はツライという馬場になっていましたね。
勝ったホウオウイクセルは、好位のインで脚を溜め、何のロスもなくスムーズに抜けてきました。恵まれたと言えばそれまでですが、丸田Jらしい見事な立ち回りだったと思います。次走がオークストライアルあたりなら、普通に勝負になるかもしれませんが、ぶっつけでオークスだと、さすがにどうかなという印象もありますね。
エンスージアズムは、楽な競馬にはなりませんでしたけど、最低限の力は出し切って2着を死守しました。素材的に見劣るのは確かですが、折り合いに心配がない長所を生かせば、オークスでも大崩れはしないのかもしれないですね。
3着ユーバーレーベンは、この日の馬場だと、さすがに差し込むのは厳しかったかな、と。それでも最後までジリジリと脚は使えているので、こちらはオークスでもちょっと楽しみがありそうです。
事前に名前を挙げていたイズンシーラブリーが4着。この馬にとっては、完全に外枠が災いしました。マイルのほうがいいというのはあるかもしれないですけど、内枠なら2着は楽にあったでしょうから、前走は内に入って脚を余し、今回は外枠でなし崩し的に脚を使わされるという、なんとも不運な結果になってしまったとは思います。
もう一頭、 名前を挙げたオレンジフィズも、休ませて馬は良くなっていました。控える競馬で他馬を気にした分、直線で伸びを欠きましたけど、もっと強気な競馬をしていたら、違う結果になっていた可能性も否定はできません。ただ、スケール感で見劣るのは確かなので、あまり深追いするイメージはありませんね。
日曜 中山11R スプリングステークス
このレースのスタートの頃には、馬場もかなり重くなっていて、はっきり内を通したらアウトという状況になっていたと思います。実際、上位2頭は意識的に外を回した馬ですから、ジョッキーの判断も、着順に大きな影響を与えたと理解すべきでしょう。
勝ったヴィクティファルスは、前に馬を置きつつ、馬場の外目をマイペースで追走。直線、馬場のいいところから鋭く伸びてきました。前走時までは、あまり意識していなかったのですが、この馬、ハーツクライというよりは、ブルードメアのガリレオっぽさが前面に出ているのですよね。
パドックの姿を見て、昨日、この研究所で取り上げなかったことをちょっと後悔したのですが、実際に力の要る馬場を走らせてみると、"やっぱり"な感じ。ただ、馬場に助けられただけの勝利というわけでもなさそうなので、この馬の能力を過小評価していたきらいもあり……。う~ん、なんとも不甲斐なく思います。
2着のアサマノイタズラは、人気薄でしたけど、力通りの好走と見ていいでしょう。馬体が増えて体調面も良化していましたが、この条件でレースをすれば、そりゃあ走るでしょうという感じですよね。
嶋田Jも、前走と同じミスは絶対にしないとばかりに、いつでも動ける位置を確保していましたし、仕掛けのタイミングもバッチリ。結果的に、ヴィクティファルスにうまく利用される形になってしまいましたが、交わされてからもしぶとかったですし、現状の力は出し切っていると思います。惜しかったですけど、嶋田J、グッドジョブですね。
3着のボーデンについては、なぜ勝負どころで内に入れたのか、ちょっと解せないですね。川田Jは、前半のレースから馬場のいいところを選んで走らせていたくらいなので、なんであえてここでリスクを冒すのか、う~ん、ゴメンナサイ、僕にはちょっと理解不能です。
馬のほうは、道悪でもしっかりと走れていましたし、スピードの持続力という長所を馬場に消されても、まともなら、上位2頭に肉薄できたはず。それだけに、賞金を加算できなかったことも含め、厳しい言い方にはなりますが、川田Jのチョンボだと言ってもいいでしょう。
7着ランドオブリバティは、前半からかなり行きたがっていましたから、三浦Jも、あれでは外に出すわけにもいかず、道中ですでに詰んでいたと思います。この気性は、いかにも鹿戸雄一厩舎の馬っぽく、やはりこのような特殊な条件では力を出し切れませんでした。力負けではないですけど、気性面の課題が一朝一夕に解決するとは思えないので、賞金面も含め、クラシック戦線から一歩後退と見ていいのではないでしょうか。
予断ですけど、鹿戸雄一厩舎の馬としては、エフフォーリアがイレギュラーなのであって、この馬がスタンダード。だから、三浦Jを批判するのは、完全に的外れだと思います。
8着ロードトゥフェイムは、馬体が減って馬がしぼんで見えましたし、結果論、素材的に足りないところがあったかもしれません。レースぶり自体は、むしろ前走よりスムーズに運べているくらいでしたから、馬場のアシストがあっても、今のコンディションでは、ここで通用するレベルにはなかったと考えていいと思います。体調面と能力的なものが複合的に作用しての敗戦、そう評価していいでしょう。