第170回 天皇賞(秋)のみどころ
東京11R 天皇賞(秋)
イクイノックスが引退した今年のこのレースは、昨年と比べるとやや小粒なメンバー構成となりましたが、それでも牝馬3冠馬に加え昨年のこのレースの2,4着馬の参戦もありますので、レベルの高い一戦になることを期待したくはなります。
ただし、有力馬には休み明けでの参戦となる馬が多く、展開的にも昨年のジャックドールのようにきっぷのいい逃げ馬は不在。
現実的には、エフフォーリアが勝った3年前くらいのレースレベルにとどまるのではないか。そんな見立てが妥当なところなのかもしれません。
ポテンシャル面での比較で言えば、リバティアイランドとドウデュースの力がやや上という印象もありますが、両馬の近走の走りを振り返ってみれば、仕上がり状態や展開、レース時のトラックバイアスの状況次第で簡単に逆転されてしまう程度の差しかない。そうも言えるでしょう。
ということは、仕上がり、展開、トラックバイアスのすべてが嚙み合えば、伏兵陣による下剋上も十分にありうるという帰結になりますので、できることなら、パドックと直前の馬場状態を見極めてから馬券を買うことをおススメしたいレースではあります。
次に展開ですが、最もシンプルなのは岩田親子でハナと番手をガッチリ固めてドスローに持ち込んでくるパターンですが、厩舎の話ではシルトホルンが逃げたいという意向を持っているようですし、内枠の横山親子だって、黙っていたらインに包まれて苦しい形になることはミエミエですから、場合によっては極端な戦法を選択することもあるのでしょう。
そう考えると、ドスローに決め打ちするのもどうかという感じもありますので、現実的にはスロー寄りのペースにはなるけれども、ドスローになるかどうかまでは未知数。それくらいの読みにとどめておくべきなのではないでしょうか。
中心には、⑩ダノンベルーガを推します。
この馬は、一昨年のこのレースでスローペースを差し損ねて3着、昨年はハイペースを積極的に追走した分だけ末が甘くなって4着という惜しい結果でしたが、なんだかんだペースに関係なく安定した成績を残していることは、他馬との比較で一定のアドバンテージにはなるのでしょう。
実際、今年はイクイノックスがいないわけですし、最後のところの詰めに課題はあっても、このレース条件なら最も好走確率が高いにはこの馬。シンプルにそう判断しました。
2番手は、⑫リバティアイランド。
この馬、瞬発力の質ではどの馬にも負けませんし、2,400mの距離でも好走はしていますが、本質的には2,000mあたりがベスト。そう考えると、普通に走れば勝つ確率が最も高いのはこの馬という評価でいいように思います。
問題は、枠の並びが嫌なのと、休み明けで折り合い面がどうなのかの2点。スローの外目で折り合いを欠く最悪の形になった場合、馬券圏内すらも危なくなる絵面は想像できてしまいますので、好走確率という面から見れば、やはりダノンベルーガには一歩譲るとみるべき。そうは思いますが、、、
3番手は、⑪ジャスティンパレス。
この馬は、持続力勝負になった時に台頭するタイプですので、理想は昨年のようなタイトな流れになることですが、さすがに今年は昨年のようなハイペースにはならないでしょう。
それでも、スタートが決まれば中団より前の位置を取れる可能性も見えてきますので、この鞍上なら、中団からの差しで勝ち負けに絡んでくるシーンまで十分にありうるのではないか、と。
また、仮に昨年同様、後方に置かれる形になっても、東京コースならそこまで仕掛けてからの反応が悪いイメージはありませんので、なんだかんだ結局は馬券圏内争いに絡んでくるのではないか。そう考えました。
今年は、上位を3頭に絞っちゃいましょう。
その他、ドウデュースは、ダービーこそ東京コースで勝っていますけど、今のこの馬はコーナー加速を生かすレースでこそ持ち味が生きるとみているんですよね。
ニエル賞やドバイタープもそうなんですけど、直線の長いコースでは一瞬スパッと切れてそれが持続しない。おそらくここも、一瞬はオッという鋭い伸びをみせるのだろうと思いますが、そこからの追い比べで甘くなるとみて、スパッと消してしまおうと思います。
レーベンスティールは、前2走の内容が良く人気の一角に推されていますが、新馬戦とセントライト記念で仲良く1,2着を分け合ったように、地力的にはソールオリエンスと互角くらいがいいところなのではないか、と。
その上、不利な外枠を引いてしまったことまで考えると、この人気でこの馬に手を出したいとは思わないですね。
ソールオリエンスは、枠の並びが良い分だけレーベンスティールよりも期待値は高い印象ですが、瞬発力勝負になるとどうしても限界があるタイプですので、あえて拾う理由もないのかな、と。
ベラジオオペラは、今年に入ってからの充実ぶりを高く評価するにしても、春シーズンの古馬中長距離GⅠは概してレベルが高くなかった印象もありましたから、このメンバーの中に入ると絶好調でやっとこ馬券圏内を狙えるかどうか。
概ねその程度の力関係とみていますが、どうも今回は仕上がり途上の印象も受けますので、ならばノーマークにしてしまってもいいのかな、と。
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