週末の障害戦回顧(10/15,16)
この週末は、土曜日に新潟で未勝利戦が2鞍、日曜日に東京で注目の東京ハイジャンプが行われました。
では、早速、レースを振り返っていくことにしましょう。
土曜 新潟1R 未勝利
ここは戦前の予想どおり、最近の中でも稀に見る大凡戦となりましたが、結果的には、ジョッキーの技量が着順にそのまま反映されるレースになったという理解でいいと思います。
勝ったアストラエンブレムは、「これほどの楽逃げを打てれば、そりゃあ逃げ切れるでしょ!」という完璧なレースをしてきました。
個人的には、カイトレッドがハナに行くイメージでいたのでこの形は想定外だったのですが、このあたりは五十嵐Jらしい好騎乗だったと思います。
ただ、こうやってこの馬に勝ち切られても、「本質的に新潟向きではない」という評価に変わりはありませし、正直、他のコースでも、昇級してすぐに通用するイメージは湧いてこないですね。
2着セルリアンルネッタは、初障害にもかかわらずスムーズなレースができていましたし、小牧加Jのロスのない立ち回りも実に見事でした。
あえて言えば走破時計は遅いですし、ここは相手がかなり貧弱でもありましたから、さすがに次走確勝級とまでは言えませんが、この馬のレースセンスの良さを持ってすれば、近いうちに勝機が訪れるというシンプルな評価でいいようにも思います。
3着アームストロングは、まあこんなものでしょう。自分でレースをつくれない分、主導権を相手に譲って自らが苦しくなるのは致し方ない部分もありますし、草野Jなりの無難な騎乗はできていましたから、まずは力どおりの3着という評価でいいのではないでしょうか。
4着アースブレイブも、まあこんなものでしょう。こちらも上がりの速い決着になっては分が悪いですし、かと言って江田勇Jに途中から早めに動けというのも無理な話ですから、「ほぼ力どおりの4着」という評価でいいのでしょう。
5着カイトレッドは、番手に控えてレースを教えることに専念してしまいましたから、この敗戦はある程度覚悟の上だったのでしょう。結果、次につながるレースはできましたから、中心視したこちらからすると不満の残るレースぶりではありましたけど、しっかりとした意図を感じる騎乗ではあったので、そこは「そんなこともあるさ」とこちらが割り切ればいいのかな、と。
土曜 新潟4R 未勝利
ここは、強気な競馬を仕掛けてきたスーパーフェイバーが、ラップを分散させる形でウィークポイントを消し去り、見事に勝利を収めました。
この馬が勝つとしたら、おそらくこの形しかなかったと思いますから、この勝利は小野寺Jの大ファインプレー。個人的にも、小野寺Jにギャフンと言わされる形になってしまいましたが、こうした好騎乗には素直に拍手を贈りたいと思います。
中心視したリアムは、根っきり葉っきりの2着までが精一杯でしたが、時計的にはほぼ想定どおりのタイムで走れていますし、1Rを使っていたら楽勝だった計算にもなりますから、決してこの馬が凡走したわけではなく、1,3着馬がこちらの想像以上に走っただけ。そう考えます。
草野Jも、彼なりにできることはすべてやってくれていたので、この2着は完全な力負けという評価でいいのではないでしょうか。
3着トップウイナーは、ハナに行けなくても落ち着いて走れていましたし、障害初戦でこの時計、この内容で走れれば十分でしょう。ただ、今回は気性的な脆さをさらけ出すことはありませんでしたが、平地時代を思い起こすとまだ100%信頼するのは怖いので、次走は確実に首位候補にはなりますが、疑ってかかる部分も多少は残しておきたいと思います。
4着タマモワカムシャも、初障害戦にしてはみどころのあるレースができていました。この内容で走れるなら、次走は相手次第で走破圏に入ってくると考えておいたほうがいいでしょう。
日曜 東京9R 東京ハイジャンプ
いや~、黒岩Jの積極的なレースメイクは痺れましたね。
結果、2着に敗れてしまいましたけど、ゼノヴァース以外はついてきた馬たちをすべて馬群に沈めたわけですから、レースレベルを引き上げる素晴らしい騎乗だったと思います。
勝ったゼノヴァースは、今度こそホッコーメヴィウスを競り負かしてやろうと、森一馬Jが相手を一頭に絞って攻めの騎乗をしてきました。
結果、馬もジョッキーの強い思いに応えるように、完璧な飛越を見せましたから、こうなると最後に抜け出して勝ち切ったのも、ある意味、当然の結果と言えるのかもしれません。
しかも今回は、大きな障害をロスなくこなしてきましたから、この点は暮れのGⅠを意識する上でも、非常に大きな収穫になったのかな、と。
2着のホッコーメヴィウスは、できる限りのことをすべてやり切った印象ですね。
結果、2着には敗れましたけど、これはゼノヴァースと森一馬Jを褒めるべきであり、この馬としては100点満点の見事な競馬ができたと評価していいように思います。
3着ダイシンクローバーは、完全に漁夫の利を得た形での3着ですが、このあたりは高田Jのペース判断の素晴らしさであるとも言え、ここは「ジョッキーのファインプレーがあって馬券圏内に喰い込んできた」と評価すべきでしょう。
4着メイショウウチデは、完全に力負けでしたね。ただ、積極的に前を追いかけるレースをしたことはまったく責められませんし、現状におけるこの馬の限界をあらわにしてしまった部分はありつつも、次につながる内容の濃いレースはできた。そう評価しています。
6着レオビヨンドは、戦前の予想どおり完全にスピード負けしましたけど、本番に向けてのひと叩きという意味では、非常にいいレースができたんじゃないかと思います。舞台が中山に替われば、この馬は確実に巻き返してくると考えておくべき。そう思います。
中心視したスマートアペックスは、残念ながら7着。ひとつのミスが致命傷になるスピードレースで大きな飛越ミスが2回もあれば、勝負に絡めないのは致し方ないことでしょう。
結果論、久々の障害戦であったことが着順に大きく影響したということになりますから、その点、こちらの見込みが甘かったとも言えるのですが、レース内容的には決して悲観すべきものでもありませんでしたから、最低限、次につながるレースはできたと考えています。
9着オジュウチョウサンは、スピード決着云々以前の問題でしたね。馬体が減って明らかに筋肉が落ちていましたし、この状態で好走しろというのは、所詮、無理な話だったんだろうと思います。
今回の走りからすると、条件が好転する本番でもさすがに勝ち負けは厳しいでしょうから、率直に言って、障害界のレジェンドが競走馬生活に終止符を打つ時がついにやってきてしまったのかな、と。
なんだかせつなくもありますが、これも勝負の世界では避けられない現実でもありますから、私たちもその現実から決して目を背けてはならない。そんな気もしています。
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