第38回 ホープフルSの見どころ
自称オールドファンの私にとって、有馬記念の後に競馬があるのはどうにもこうにも締まらなくて……。
もちろん、東京大賞典に違和感はないんですけど、中山で、ってところがなんともなんですよね。
まあそうボヤいたところで、ちゃんと競馬は行われるわけですから、気を抜くことなく、最後までしっかり記事を書かせていただきます(笑)
では、早速、レースの見どころを解説していくことにしましょう。
中山11R ホープフルステークス
実を言うとこのレース、枠順確定前から上位評価できるのは2頭しかいないと思っていたので、とっとと結論だけ書いて終わりにもできるんですけど、それではさすがにあんまりですよね。
せっかく貴重な時間を割いてこの投稿を見てくださっている方もいると思いますので、レースの全体像から展開に至るまで、ひととおりの内容はしっかり書いておこうと思います。
まず、各馬の力関係ですが、これが冒頭の乱暴な発言に直結する部分でもあるのですけれど、前走でハイレベルレースを戦ってきた馬がたったの2頭しかいないのですよ。
もちろんレースレベルが低くても、そのレースを勝ち切った馬に関しては、相手が強くなるのに合わせて自身もパフォーマンスを上げることがありますから、それほど単純な話ではないのですけれど、今年のメンバー構成を見ると、各馬のポテンシャルの高さにはだいぶ偏りがあるように感じられるのですよね。
ステップレースの中で、ズバリ、ハイレベルだったと言い切れるのは、萩ステークスとエリカ賞だけ。その他のレースに関しては、それに準ずるというレベルでもなくて、別路線組がここで好走するためには、前走から2段階か3段階はパフォーマンスを上げてこないと勝負にならない。率直に言ってしまえば、そんな感覚です。
2歳馬のレースですから、当然、紛れもあるでしょうし、ポテンシャル上位の馬が力を出し切れずに終わるケースもあるのですけれど、その取り巻きが人気している馬となれば、あえて変化球を投じる必要はないでしょう。なので、結論から先に言うと、⑤キラーアビリティ対⑦サトノヘリオスの一騎打ち。そう考えています。
とはいえ、これで終わりでは味気がないので、展開についても解説を加えておくことにしましょう。
メンバー全体をパッと見渡してみても、ここは確固たる逃げ馬がいない組み合わせになっていて、道中のペースが上がるイメージは、まったく湧いてきません。仮に紛れがあるとすれば、やはりこの展開面ということになるのでしょうね。
序盤から馬群が凝縮してレースが進んで行く形になると、どうしても折り合いを欠いたり、外々を回されて脚が溜まらない馬が出てきますから、たとえポテンシャル上位の馬であっても、そのデッドポジションにハマってしまった時には、脚を余して取りこぼす場面は出てくるのだろうと思います。
どうでしょう、ハナを切るのは、切れる脚のないグランドラインあたりになるのでしょうか。ただ、昨年ハナに行って逸走したイメージが三浦Jに残っていると、前走のように好位のインに控える可能性も否定はできませんから、そうなると、好スタートを切った馬が嫌々押し出されるというパターンもありそう。いずれにしても、レース序盤は超のつくスローペースになる可能性が高いのではないでしょうか。
ただ、あまりにペースが流れなければ、向正面でコマンドラインあたりがマクって行くパターンも十分ありそうですから、スローだからといって前にいればいいというものではなく、何より道中をリズム良くやり過ごせるかどうかが、結果と直にリンクするレースになる。そんな見立てをしています。
次に、せっかくの2歳のGⅠレースですから、今日も全頭解説をやっておくことにしましょう。
①シェルビーズアイ
前走が少頭数のレースだった分、時計面も含めそのパフォーマンスを評価しづらい面はあるが、勝ちっぷりやフットワークは決して悪くはなかった。
ただ、その初戦の感じだと、今回はゲートで遅れそうなイメージが強く、一気の相手強化となる中で、厳しいポジションでのレースを強いられるとなれば、さすがに勝ち負けまでは難しいのかもしれない。
②アケルナルスター
相手関係はともかく、先行馬が上位を占める流れを、最後方から一気の脚を使って全馬をごぼう抜きした前走は、それなりのインパクトがあった。
ただ、ゲートの出こそ悪くないものの、ここ2走とも行き脚がつかないので、今回も後ろからのレースになりそう。その形で、このメンバー相手に前走の再現ができるかと言えば、かなり厳しいと言わざるを得ないが、前がガチャガチャとした展開になりそうな中、最後方でじっと我慢していれば、最後に漁夫の利を得て、大外から勢いよく突っ込んでくる可能性はゼロではないかも……。
③ラーグルフ
そこそこいい位置につけて、そこからしっかりとひと脚使えるのが、この馬最大の長所。
それでも、前走の相手関係からすれば、ここで即、好勝負を演じるイメージは湧いてこない。自分の脚はしっかりと使える分、大崩れはしなさそうだが、それでも掲示板があれば上々か。
④グランドライン
切れないけど簡単にはバテないのが、この馬のセールスポイント。その点、この舞台への適性は高いと考えていいだろう。
それでも、ラーグルフと似たり寄ったりのポテンシャルでは、はっきりこのメンバーでは足りないし、たとえ展開に恵まれたとしても、さすがに勝ち負けまでのイメージは湧いてこない。
⑤キラーアビリティ
この馬の2走前の時計は、牝馬限定戦とはいえ同日の古馬2勝クラスの勝ち時計を上回っており、現時点ですでに、2歳GⅠを勝ち負けできるだけのポテンシャルの高さを示している。
前走は早めに脚を使う形になって、よもやの敗戦を喫することとなったが、相手は朝日杯フューチュリティステークス3着のダノンスコーピオンだったわけだし、後続は大きく引き離しているのだから、負けはしたものの内容の濃いレースはできていた。
本質的には、時計の速い芝が向きそうなイメージもあるので、今の力のいる芝がどうかという不安は残るものの、普通に走ればそれ相応の結果がついてくると考えるのが、おそらく自然な解釈だろう。
⑥コマンドライン
前走は、デビューから2連勝で重賞勝ち。さらに、その力強いフットワークは、特に意識していなくても目を惹くほどに魅力的である。
ただ、その前走で戦った相手が、その後、凡走を続けていることはなんとも気がかり。自身も、ルメールJの好判断でスムーズなレースができた割には、後続を引き離すことができなかったし、タイミングが合ったからよかったものの、ひとつ間違えば大出遅れもあり得たゲート内の落ち着きのなさは、今回、特に大きな不安材料になりそうで……。
⑦サトノヘリオス
前々走の未勝利勝ちの時計は、同日に行われた野路菊ステークス2着のクラウンドマジックをコンマ5秒上回り、前走のエリカ賞の勝ち時計も、距離こそ違えど、同週に行われた古馬3勝クラス戦に肉薄するレベルのもの。つまりこの点では、すでに2歳GⅠを勝てる力があることを示している。
課題は、間隔が詰まったローテーションと長距離輸送か。それから、スローからの上がり勝負になった時に、パフォーマンスを落としそうな雰囲気があるところも少し気になるが……。
⑧ジャスティンパレス
デビューからの2連勝を、ともに番手から抜け出す危なげない競馬で勝ち切った点は、当然、評価すべきだろう。
ただ、初戦でほぼ互角の内容だったアカデミーは、先週、やっとこさの内容で未勝利を勝ち上がった程度だし、前走の黄菊賞は、初芝だった逃げ馬を交わしただけの勝利であると言えなくはない。さて、メンバーが一気に強化するこのレースで、これまでと同じようなレースができるのかどうか、その点で不安は大きい。
⑨ボーンディスウェイ
前走は逃げ切り勝ちだが、前々から差す競馬もできる器用さは、この馬の魅力と言えるだろう。
ただ、その前走のレースレベルには???が付くし、そこで逃げて辛勝では、相手強化のここでさらにパフォーマンスを上げてくるイメージは、正直しづらい。
⑩マテンロウレオ
デビュー戦の前走で、狭いところを割って出て勝ち切った内容は評価していいだろう。
ただそこで負かした相手が、その後タイセイディバインにまったく歯が立たず、そのタイセイディバインはポッドボレットに完敗。そしてそのポッドボレットが、京都2歳Sでフィデルに先着を許したとなると、前走から飛躍的にパフォーマンスを上げてこない限り、ここではかなり厳しいといわざるを得ない。
⑪クラウンドマジック
この馬は堅実な差し脚が魅力で、基本はいつも人気以上に走るタイプ。その点では、このメンバーに入っても、最後にしぶとく脚を使ってくるイメージは湧いてくる。
ただし前走の内容を見る限り、キラーアビリティとの差はとてつもなく大きく見えるし、時計面でサトノヘリオスにも大きく見劣っているとなると、さすがにここで上位に喰い込むところまでは期待薄。そういう評価にならざるを得ないだろう。
⑫オニャンコポン
スローの番手で流れに乗り、そこから一瞬の脚を使って抜け出すという器用な競馬ができるこの馬、強いというイメージはまったくないものの、他の馬にない武器を持っているという点は、評価されていいのかもしれない。
ただここまでの2戦は、ともに再現性に疑問があるのは事実であり、GⅠのここで、さすがにどうこう言えるレベルではないだろう。仮に状態面に問題がなくとも、ここで勝負になるイメージはない。
⑬フィデル
ハーツクライ産駒にしては、好位から器用な立ち回りができるこの馬。このレースセンスの良さが、トリッキーなコースで、強力な武器になることは間違いないだろう。
ただ前走で、好位で最もロスのない競馬をしていながら、外からマクってきた勝ち馬にはあっさりと交わされ、掛かり気味に逃げた2着馬を差せないという失態を演じたのも確か。あの内容を見てしまうと、たとえ善戦はできたとしても、この馬が勝ち負けを演じるシーンを思い浮かべるのは、かなり難しい気がしている。
⑭タイラーテソーロ
ローカルの新馬戦を、減量騎手で逃げて勝ってきたこの馬。常識的には、ここで通用する要素を見いだすのはとても難しい。
⑮アスクワイルドモア
この馬は、デビューから2着を外していないその堅実さが、当面は売りになるのだろう。
ただし前走の札幌2歳S組は、勝ち馬も含めその後のレース内容がひと息で、レースレベルが低かった可能性が非常に高い。その点を踏まえると、一気の相手強化となるここで、いきなり好勝負を演じるシーンはなかなか思い浮かんでこない。
まとめると、中心は⑤キラーアビリティでいいでしょう。
この馬が力を出し切れれば、ほぼ負けない。それくらい力が抜けていると思います。
差し脚質なので、力を出し切れずに負けるパターンはありえますが、それを過度に心配しても仕方がないので、今回はこの馬と心中するくらいの気持ちでいいと考えています。
2番手も、⑦サトノヘリオスで揺るぎない感覚ですね。
こちらは、ローテーションが詰まっているところに長距離輸送があるので、パドックで極端に馬体が減ってイレ込んでいたりしたら嫌ですけど、仮にまともな状態でレースに向かえたとすれば、おそらく大きくは崩れないだろうと思いますし、もっと言えば、キラーアビリティ以外の馬には負けないイメージでいいと思っています。
冒頭にも書いたとおり、このレースの上位評価はこの2頭ですね。
この2頭が予想どおり圧倒的に強かった場合に、最後の最後に②アケルナルスターが大外から突っ込んできそうなイメージも少しだけあるので、遊び程度に、この馬まで手を伸ばしてみるのはありかもしれませんが、、、
もちろん、ガチンコ勝負ではまったく足りないと思いますし、完全なハマり待ちではあるのですけれど……。
ちなみに⑥コマンドラインは、まず大きく出遅れないかという課題がありますし、よしんば普通に出てたとしても、1コーナーはおそらく後方の位置になるでしょうから、向正面でマクるにしても、じっとしていて末脚に賭けるにしても、上位2頭を脅かすイメージは湧いてこないのですよね。3着なら普通にあると思いますけど、この人気でわざわざこの馬を拾う必要はないと考えているので、潜在能力の高さは認めつつも、今回は潔くビシッと消すことにします。
⑨ジャスティンパレスは、ここまで負けていないという事実以外に、まったく強調点を見いだせませんでした。
⑮アスクワイルドモアは、武Jの騎乗ということもあって穴人気していますが、正直言って、力関係的にここでは眼中にも入ってこなかったですね。
う~ん、私の中では2強にしか見えない組み合わせなんですけど、一般の競馬ファンの方々とは、ずいぶんと見解に相違があるような、、、
でも、これはこれで面白いですし、もし私の理解が間違っていたとすれば、素直に大反省してから、もう一度組み立て直せばいいだけですからね。
さて、今年最後のGⅠ競走、はたしてどんな結末になるのでしょう。なにより、読者のみなさんが結果的にいいお正月が迎えられるよう、心より祈っています。
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