第83回 オークスのみどころ
明日は、東京でオークスが行われます。
ただ、天気予報が非常に微妙ですし、スパコンの予測を見ると、府中のあたりがちょうど雨雲の境目になりそうな感じなので、前日段階では、馬場読みが非常に難しい状況となってしまいました。
そのため、一応はやや外差し有利なバイアスがあることを前提にシミュレーションを組んでみますが、読者の皆さんには、レース直前の馬場傾向をしっかりと見極めつつ、適宜、情報をカスタマイズしてご利用いただければと思います。その点、どうかご理解くださいませ。
では、早速、レースのみどころを紹介していくことにしましょう。
東京11R オークス
端的に言って今年のオークスは、15頭くらいの馬に馬券圏内の可能性がある大混戦とみていいように思います。
各ステップレースの比較でも、桜花賞組が完全に抜けている感はまったくなく、他の路線からここにコマを進めてきた馬たちにも、十二分にチャンスがありそうな気配が……。ザックリとですが、そんなイメージになりますね。
またこの世代は、阪神ジュベナイルフィリーズ、チューリップ賞、桜花賞の着順に連動性がなく、トラックバイアスや枠の影響をモロに受けて勝ったり負けたりという力関係ですから、このオークスも、道中の位置取りや直線のコース取りなど、ちょっとしたことが大きく明暗を分けることになる。もうそんな予感しかありません。
つまり、距離適性の評価を間違えることなく、さらにジョッキーの作戦も完璧に近いレベルで読み切らない限り、狙って当てるのは相当に難しいレース。そんな言い方ができるような気がします。
こういうレースは、「運」という要素が大きく結果を左右しますから、勝負レースにするというよりは、「的中したらラッキー!」くらいの気軽な気持ちで馬券を買ってレースを楽しむのがいいのかもしれません。あくまでも、個人的な見解ではありますけど、、、
さて今日は、桜花賞組の中での力関係を比較するところからはじめてみましょう。
まずは、勝ったスターズオンアース。この馬は、桜花賞の勝利が2勝目であったように、常に健闘はするものの勝ち切れないレースが続いていたわけですから、少なくとも「圧倒的に強い桜花賞馬」という位置にいないことだけは確かでしょう。
その反面、じゃあオークスでは厳しいのかというと、あながちそうも言いきれないのが微妙なところです。左回りに替わるのは歓迎材料ですし、有力馬の中では距離不安は小さいほうでしょうから、大外枠を引いてしまった点を割り引いたとしても、走破圏の一頭であることには違いなさそうですしね。
他の桜花賞組も、コンマ5秒差の中に集約された11着プレサージュリフトあたりまでは、十分に巻き返しの余地が残されているように思います。
特に桜花賞当時は、外差しが利きづらいクセのある馬場状態でしたし、今回は舞台が東京のニ四に替わるわけですから、着順の良し悪しよりは、むしろレースぶりや距離延長への適応能力の部分を、より重要視すべきなんじゃないか、と。
次に、各ステップレースの評価に移るわけですが、その中で見逃せないのは、パーソナルハイが各レースでどんなパフォーマンスを示してきたか、という点になります。
この馬、出遅れて自分のレースができなかった桜花賞でも、あわや勝ち負けかという内容の濃いレースができていた一方で、フラワーCでは完敗、フローラSでも根っきり葉っきりの2着と、決して胸を張れるような結果は出せていないのですよね。
ということはつまり、今年は桜花賞組に大きなアドバンテージはなく、フラワーC組やフローラS組でも、普通に通用してしまうくらいの力関係であることを、パーソナルハイが私たちに教えてくれているという見方もできるのでしょう。このあたりのさじ加減は非常に難しいですが、いずれにしても、的中に一歩でも近づくための大事な要素にはなってきそうだな、と。
次に展開ですが、ハナに行きたいのはその⑬パーソナルハイですが、この馬、ゲートが安定しませんからね~。
とすると、①ウォーターナビレラ、⑤サウンドビバーチェ、⑩ラブパイローあたりが先手を奪う可能性も十分にあるわけですけど、いずれにしても、超スローまでは考えづらく、嫌でもソコソコは流れちゃうのかなあ~というイメージでいいとは思います。
ただ、当然、中緩みはあるでしょうし、その程度次第ではありますが、あまり後ろからのレースになると差し届かないシーンも容易に想像できますから、馬券圏内が追い込み3頭で占められるという競馬も、さすがにちょっと考えづらい気もするのですよね。
なので、道中は中団あたりで折り合いよく進めた馬に、よりチャンスが大きくなってくる。そんなイメージを持って、うまく予想を組み立てられるといいのかな、と。
さて、ここからは個人的な見解を。
中心には、⑥サークルオブライフを推します。
桜花賞で最も強い競馬をしたのはこの馬ですし、レースぶりから距離延長にも不安なし。さらに東京コースにも実績があって、しかも今回は長距離輸送がないのですから、いかに桜花賞組を過剰評価すべきでないにしても、やはりこの馬を中心視する以外に選択の余地はなかったですね。
あえて不安材料を挙げるとすると、M.デムーロJの早仕掛けなのですが、この馬は長くいい脚を持続できるタイプの馬なので、先週のレイパパレの早仕掛けとはリスクの大きさが異なります。ならば、仮にジョッキーのエスコートが完璧でなくとも、最低限の格好はつけてくれるはず。最後はそう考えました。
2番手には、④ルージュエヴァイユを抜擢。
こちらは異常なほど穴人気してますけど、まあ、この馬を推す人の考えは、ほぼ私と同じなんじゃないかと……(笑)
まず、この馬は折り合い面に不安がないので、距離延長にもしっかりと対応できそうですし、何より、フローラSで最も強い競馬をしたのはこの馬ですから、今年のメンバーなら、この馬の差し脚でも十分に勝負になるんじゃないかなと思うのですよね。
スタートが遅くて、どうしても他力本願にならざるを得ない分、一枚評価を下げた部分はあるのですが、もしサークルオブライフが早仕掛けで前の馬たちを早めに飲み込んでしまうようなことがあると、直後から進出してきたこの馬が、ズバッと突き抜けるシーンまであっていいのではないでしょうか。
若干の余談ではありますが、もし有馬記念の前日に横山武史Jの油断騎乗がなかったら、この馬はおそらくこの舞台に立ててはいないと思うのですよね。さらにここは、前が詰まって権利取りに失敗するという絶望的な状況からの敗者復活戦でもありますから、こういう"持ってる馬"というのは、やっぱり本番で何かをやってくれそうだよな、なんてね。
3番手は、⑨エリカヴィータで。
この馬はレースセンスがいいので、福永Jでもありますし、おそらく好位か中団あたりの最高のポジションを取れると思うのですよね。
さらに折り合い面にもまったく不安を感じさせませんから、血統的にベストとは言えなくとも、距離延長は問題なくこなせるはず。ポテンシャルも上位とまでは言えないですけど、モズカッチャンとかウインマリリン的な競馬で適性面と能力差をうまくごまかすことができれば、上位を賑わす期待は十分なのかな、と。
最後4番手に、⑱スターズオンアースを挙げておきます。
正直、桜花賞勝ちはあまり高く評価していないのですが、東京替わりと距離延長でこの馬の優位性はさらに増すと考えているので、少し悩んで最後に拾っておくという判断になりました。
大外枠ははっきりマイナス材料ですし、ルメールJが昨年のダービーのサトノレイナスとか、今年の皐月賞のイクイノックスみたいな乗り方をしたら嫌だなとは思いますが、ここは馬群もそこそこバラけそうなイメージにはなりますからね。
よって、大外枠は消すまでの材料にはならないと考えたほうが自然なので、やや玉虫色の評価にはなってしまいますが、奇をてらわずこの位置に置いておくことにします。
上位は、ここまでとします。
なお、今回は3歳牝馬の晴れ舞台になりますから、サラッとにはなりますけど、一応、他の出走馬にも簡単に触れておこうと思います。
①ウォーターナビレラは単調な先行馬ですから、純粋に距離延長が厳しいと考えます。正直、東京の直線で追い比べを演じて、後続の追撃を凌げるイメージがまったく湧いてこないですね。
②スタニングローズは、脚が溜まりやすい好枠を引けた分、ちょっとだけ怖さはありますけど、前走くらいのパフォーマンスだと、やっぱりちょっと足りないのかな、と。
③アートハウスは、スローペースの差し馬という感じですから、川田Jが弱者の競馬に徹すれば、当然、チャンスはあるという見立てになります。ただ、タイトなペースとなったエリカ賞で露呈したように、道中で脚が溜まらないとからっきしのタイプでもありますから、川田Jの性格と東京ニ四という舞台設定を考慮すると、さすがに狙いづらいな、と。あえて言うなら、同厩舎のリアアメリアと馬のタイプを姿を重ねてみると、レースぶりをとてもイメージしやすいかもしれないですね。
⑤サウンドビバーチェは、意外にこの馬が展開のカギを握っているようにも思え、坂下で一旦先頭のシーンもあるんじゃないかと考えているのですよね。それでも、チューリップ賞のレースを見てもわかる通り、最後の持続のところが極端に甘いタイプの馬ですから、いいところ見せ場止まりまでと評価しました。
⑦ホウオウバニラは、まったく人気はありませんけど、素質面で大きく見劣ることはありませんから、可能性ゼロではないと思います。前走にしても、自分の競馬ができなかった中での敗戦ですから、昨年のハギノピリナの役割を演じるなら、この馬なんじゃないかとも思ったり……。ただ、確率論的には、ちょっと拾い切れなかったですね。狙うなら、夢馬券枠ということで。
⑧ナミュールを嫌ったのは、距離適性の部分を重視したから。マイルの距離なら、この世代で最強なのは間違いありませんし、ここでも絶対能力の違いで好走する可能性も残されているとは思うのですが、どうしても馬の体型やフットワークを見てしまうと、ちょっと狙い切れなかったですね。
⑩ラブパイローは、乾きかけの馬場でインベタを逃走した時に怖いタイプの馬ではありますね。ただ、純粋な比較で言うと、過度な期待まではどうかと思います。
⑪ベルクレスタの桜花賞は、噛み合ったと思ったのですがね……。持続のところで、サークルオブライフにねじ伏せられちゃったのは印象が良くないですし、相手なりに走れる馬でワンチャンスあっていいとは思うのですけれど、どうでしょう、ここも善戦止まりなのかな、と。
⑫ライラックは、何より関東圏で戦える分の上積みは大きいですし、現にフェアリーSで後の桜花賞馬を負かしているのですから、あながち軽視はできない馬だと考えます。ただし、、、なんですよね。ここ2戦のスタートを見ると、今回もおそらく最後方に近い位置からのレースになっちゃうような気がするのですよ。そうなると、さすがにGⅠでどうかって話。この馬の評価を下げた部分はそこだけなので、ゲートを出たら怖さはありますけど、、、
⑬パーソナルハイは、高いレベルで言うと、マイルのほうがいいのかな、と。過酷なローテーションでも、体調面は大丈夫そうですけどね。
⑭シーグラスは、馬場の極端な悪化に期待でしょうか。良馬場では、はっきり苦しいと思います。
⑮ピンハイは、力は通用しますけど、距離延長と馬体の維持は大きな課題になってくるでしょう。
⑯プレサージュリフトは、ハマったら怖い存在ではありますけど、やはりこの距離が……。ポテンシャルだけの比較なら、クイーンCでのパフォーマンスを見てもわかりとおり、ここで通用していいだけのものを持ってはいるのですがね。
⑰ニシノラブウインクは、地味に距離延長が吉と出そうですが、その分を考慮しても、力関係的にどうかという気はします。それでも、展開に恵まれるとワンチャンスあっていいイメージはあったのですが、さて、この外枠でどうでしょうか。
これくらいの大混戦になると、「自分の信じた馬に一票を投じる」というシンプルな姿勢が一番じゃないかと思うのですよね。
当然、当たり外れはあるんですけど、無駄に手を広げて偶然に支配された的中を追い求めるより、イメージ通りにレースが進んだ時だけ狙いどおり的中すればOK。そんな割り切りも、特にこういった大混戦レースでは大事になってくるでしょう。
それでは、読者の皆さんに幸運の女神が舞い降りることを、心より祈っています。そしていつも書きますが、何より全馬無事に、ですね!