第67回 大阪杯のみどころ
明日は、阪神でGⅠ大阪杯が行われます。
メンバー的には、残念ながらGⅡに毛が生えた程度のレベルとなりましたが、この中から力の違いを見せられるような馬が出てくることを期待しつつ、レースを観戦したいな、と。
では、早速、それぞれのレースの見どころについて、解説していくことにしましょう。
阪神11R 大阪杯
過去一年の中距離戦線を振り返ってみると、宝塚記念勝ちのタイトルホルダー、秋の天皇賞と有馬記念を勝ったイクイノックス、ダービーと京都記念を勝ったドウデュースの3頭が実績的に抜きん出ていて、その後にダノンベルーガ、シャフリヤール、パンサラッサあたりが続く。大枠としては、そんな構図になっていると言っていいのではないでしょうか。
そうすると、今年のこのレースに真の一線級と呼べる馬は出走して来ず、あえて言えば、上記6頭に次ぐ存在と言えそうな馬たちが戦う半GⅠレースという扱いでいいような気がしています。ちょっと言葉が悪いですけど……。
つまり、格がどうこうにこだわる必要はなく、昨年の勝ち馬ポタジェがそうであったように、レベルの高い別定GⅡで勝ち負けできるくらいの力があれば、立ち回り次第で十分に勝ち負けまで持ち込めるレース。概ねそんな考え方でいいのかな、と。
次に展開ですが、今年は先行馬が少ない組み合わせとなっていて、普通に考えればハナはジャックドール。仮に他馬の奇策があったとしても、ノースブリッジがハナを主張するくらいのことしか考えられませんので、基本的には「ハイペースになって先行馬総崩れ」のような形にはならないとみるのが自然でしょう。
トラックバイアス的にもまだ内の馬場は生きていますから、やっぱり「道中外々」で好戦に持ち込むのはなかなか厳しい。そう考えていいのではないでしょうか。
ということで、ここは⑨ジャックドールを推すことにします。
この馬の理想は、逃げないし番手外から自分でレースをつくって行く形ですが、それができたのは、昨年の金鯱賞が最後。昨年のこのレースでは、2ハロン目に10.2という極限的なラップを踏まされて最後に苦しくなりましたし、その後は同型のパンサラッサと常に同じレースを使う羽目になって、なかなか自分のレースができていないのが現状と評価すべきでしょう。
その中で、札幌記念を力で押し切り、秋の天皇賞でもヘタレなレースをしながらこの路線のトップホースと遜色のない競馬をしていましたから、相手が落ちるここで仮に自分のレースの形に持ち込むことができるようなら、後続を突き放しての完勝まであっていい。そんなふうに考えています。
あとは、ゲートを五分に出られるかと、鞍上が普通に乗って来られるか。この2点は明確なリスクですが、その分を割り引いても、確率論的にはこの馬を中心視するのが妥当と判断したところです。
2番手は、④ノースブリッジ。
この馬は、真の一線級相手だと確実に足りない馬ではありますが、コース適性、展開、枠の並びなどを考慮すると、この相手なら好戦できる可能性が高いのではないか、と。
岩田康Jの性格を考えると、スタート五分ならここはハナを主張してきそうですし、ジャックドールに前に出られたらインのポケットを狙ってくるでしょうから、いずれにしても絶好のポジションを確保できる可能性が高いと思うのですよね。
初の関西への輸送はカギとなりますが、パドックで平常心を保てているようなら、ここは好走の期待大と見ています。
3番手は、②マリアエレーナ。
右回りを苦にしなくなった今のこの馬にとって、阪神へのコース替わりはむしろプラスに働きそう。瞬発力不足が祟って、ここのところドン詰まり連発となっている現状ですけど、昨年の小倉記念でジェラルディーナをぶっちぎっているように、力はここでも確実に通用しますからね。
理想は、ノースブリッジがハナに行ってくれて、その後ろにすっぽりと収まることですが、仮に中団のインになったとしても、浜中Jならインにこだわるレースをしてくれるでしょうから、最後は馬群を割る形で伸びてこられるはず。そんなふうに考えています。
4番手は、⑪スターズオンアース。
一番迷ったのは、この馬の置きどころでした。明け4歳牝馬の中では抜けた存在でありつつも、ここはどんなレースをすれば勝ち負けに持ち込めるのかにわかに想像しづらかったので、正直、消しの判断まであってよかったのだろうと思っています。
ただ、もしも中団で前に馬を置いてうまく折り合って運べるようだと、一気に突き抜けてしまうシーンもありそうなんですよね。オークスと秋華賞のレースぶりからは、一種の凄みみたいなものも感じさせてくれましたから、GⅠとしてはかなり貧弱なメンバー構成になった以上、消すのはちょっとやり過ぎ。最後はそう判断して、この玉虫色の見解と相成りました。
その他、ジェラルディーナは、噛み合えばここを勝ち切る力があると思っていますが、昨秋の3戦はすべてがうまく噛み合った結果でもありましたので、ここでも同様に噛み合うのかと言えば、その確率はあまり高くないのではないかと考えたところです。この枠だと、ゲートも不安ですしね。
ヴェルトライゼンデは、「うまく立ち回ってナンボ」というタイプの馬で、その点、内目の枠を引けたのは良かったのですけれど、枠の並びがやや微妙ではあるのですよね。コース適性的にも、中京よりも阪神でパフォーマンスが上がるイメージはまったく湧いてきませんので、無双状態の鞍上に怖さはあっても、それだけを理由に拾うという判断にはなりませんでした。
ヒシイグアスは、昨年の宝塚記念のデキがあれば勝ち負けの可能性もあると思うのですがね。休み明けの前走を勝ち切った点は大いに評価できますが、中山記念のメンバーレベルはかなり低調でしたし、ここは外枠を引いて立ち回りが難しくなりそうだったので、イメージは昨年と同様の形になって掲示板の下のほう。そう決めつけることにしました。
その他、低レベル戦だった中日新聞杯組、中山金杯組の各馬に関しては、その後、好走しているか否かにかかわらず、全馬問答用でぶった切ることにします。
いくら立ち回り勝負の側面が強いレースとはいえ、このレベルの馬がGⅠで勝ち負けするシーンはあまり想像したくないですね、正直。マテンロウレオやラーグルフの今の力でもここで通用してしまうとすれば、そもそもこのレースにGⅠの格を与えたこと自体が問題視されるレベルの話になってしまいますので、きっとそうはならないだろうと信じたい。
誤解のないように付け加えると、もちろんこの2頭にも力を出し切ってほしいですし、あわよくば掲示板に乗るくらいの走りを見せてほしいという願望はありますが、「上位に評価して馬たちが力を出し切ればこの2頭に喰われるはずはない」という意味で、こんな表現となりました。どうかご理解いただければ幸いです。