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第55回 スプリンターズSの見どころ

今週は、日曜日に中山競馬場で、秋のGⅠ開幕戦、スプリンターズステークスが行われます。

「本気の競馬力研究所」グランドオープン直後のGⅠということもあり、本来なら、見どころ解説は前日出しにしたいのですが、明日はじっくりと記事を書く時間が確保できる見込みが立たないので、今回はやむを得ず、前々日出しとさせていただきます。

シミュレーションの精度が落ちることは避けられませんが、いっさいの手抜きなくいつも以上に力を入れて書きますので、最後までお付き合いいただけたらうれしいです。

日曜 中山11R スプリンターズステークス


まずは中山の馬場傾向ですが、先週のレースを観ている限り、決まり手がインベタ一辺倒ということはなく、上がりがかかれば、外からも普通に差し込めるフェアな馬場となっていました。

スローならインでロスなく立ち回った馬に有利、流れると外から長く脚を使える馬に有利というとてもわかりやすい状況になっていましたから、基本は、今週もその傾向を引き継ぐと見ていいのではないでしょうか。

あとは、土曜の朝の段階で、どこまで馬場が乾いているか、でしょう。土曜日に馬場を使い込んだ影響が出て、レース時点では、昨年のように外差し有利な馬場傾向になっているパターンも考えられるので、そこはよく注視しておかないといけないと思います。

このメンバー、枠順だと、やはり発走時のトラックバイアスとレース結果は、モロにリンクすると考えたほうが良さそうですしね。


もうひとつ、展開面も今年は大きなカギを握ってくると思います。

ただでさえビアンフェの出方が読みづらいところにきて、メイケイエールの暴発の仕方もまったく読めないわけですからね。

なのでここは、ある程度、ヤマを張るしかありません。それがはずれた時は、馬券もハズレ。それくらいの覚悟がないと、今年のこのレースでは、馬券が買えないですよ、やっぱり。


では、ココからはレースシミュレーションを進めていきましょう。

個人的には、ハナは、大外枠からモズスーパーフレアが難なく取り切ると考えています。昨年のように、ビアンフェが無理矢理競り込んでいくイメージは持てないので、意外と序盤はこの馬が楽に運べるんじゃないかと考えているのですよね。つまり、この馬の残り目も、今年は十分に警戒しておく必要があるのではないか、と。

問題は、十中八九暴発することが間違いないメイケイエールが、スピード的にモズスーパーフレアに競りかけるところまで行くのかどうか。ここがカギになるとは思いますけど、松若Jが必要以上にラップを落とさなければ、モズスーパーフレアに競りかけるところまではいかない可能性のほうが高いのもしれません。

ただし、メイケイエールの動きに触発されて、好位にいるであろうビアンフェやレシステンシアが早めに仕掛けてくるパターンは、やはり考えておかないといけません。こうなると、先行馬にとっては厳しい形になりますから、昨年のような差し決着になるパターンが濃厚になってきます。

う~ん、やっぱりここの読みは難しいですね。


さて、ここからは、全頭解説をやっておこうと思います。通常、古馬のGⅠの時はやらないことのほうが多いのですけれど、今日は、グランドオープン直後なのでやりますよ(笑)


①シヴァージ

終いは確実に脚を使うこの馬、出番は少し時計が掛かって差し決着になった時と相場は決まっている。機動力に長けたタイプではないだけに、この枠だとよっぽどハマらないと厳しいし、完璧にハマって馬券圏内ギリギリくらいの力関係なら、今回は見送りでいいような気も……。

②ミッキーブリランテ
この馬の好走パターンは、前に馬を置いて上手に脚を溜められた時。その点、この枠は大歓迎だろう。ただし、トラックバイアスがフェアな条件下では、ごまかしが利かず決まって力負けしているので、今回は条件的にやや厳しいかもしれない。

③ラヴィングアンサー
人気ほどの力差はなく、中山も巧者。最後の直線では確実に脚を使ってくるだろう。ただし、それで届くかとなると話は別。掲示板の下のほうまで届けば、大好走と言えるだろう。

④ピクシーナイト
ここ2走、スプリント戦への適性の高さを見せてきたこの馬であるが、実は前2走とも、外枠の不利を埋めきれていない中での好走と、見た目以上に内容の濃い走りを見せている。一瞬の脚がない馬だけに、この枠で包まれるのだけは勘弁だが、展開がばらけてノーブレーキで回って来られるようなら、好走確率はこの馬が一番かも。メイケイエールよりも内の枠を引いたのも歓迎材料だから、是非ともここで、世代交代を印象づける走りを見せたいところだろう。

⑤ファストフォース
地味に力をつけてきたこの馬、逃げ差し自在の立ち回りができる点が魅力と言える。ただし裏を返すと、GⅠのこのメンバーに入ると役者不足の感も否めず、あとは鮫島克駿Jの手腕に期待というところだろうか。

⑥メイケイエール
もともとの能力の高さは認めるが、ここ最近は、精神面が完全に切れてしまっている印象。まともに走っても、勝負になるかどうか微妙なラインであることをも考慮すれば、この馬絡みの馬券を買うという判断にはならない。何よりここはGⅠの舞台でもあるから、チューリップ賞のシャーレイポピー、桜花賞のソングラインに対してがそうであったように、他馬に大きな迷惑をかけることだけは避けてもらいたいのだが……。

⑦タイセイビジョン
気性面に大きな課題を抱える馬ではあるが、スプリント戦に転じたここ2走は着順以上の好内容。2走とも大きな不利があった中で、一瞬だけ見せたものスゴイ切れ味はキラリと光っていた。ここも道中をいかにスムーズに運べるかは課題であり、メイケイエールのすぐ外の枠というのも嫌な材料ではあるが、割り切って極端な戦法を取ってくるようだと、昨年のアウィルアウェイのように、最後の最後に爆発的な末脚で大外をぶっ飛んできそうなイメージは湧いてくる。あえて人気薄を狙うなら、ズバリこの馬だろう。

⑧ビアンフェ
昨年はゲート入りを嫌がった挙句、無理にモズスーパーフレアに競りかけて行って、レースをぶち壊してしまった感もあったこの馬。まだ安心はできないが、だいぶ気性面もマシになっているので、無理せず番手からの競馬を選択すれば、今年はそこそこ粘れる可能性もあるだろう。ただし、メイケイエールとレシステンシアの存在は実に厄介で、展開上は、かなり厳しい立ち位置にいると言える。

⑨クリノガウディー
岩田康Jに乗り替わってから一気にパフォーマンスが上昇したこの馬、GⅠでの好走実績もあって、ここでも格負けすることはない。ただし前走が、得意の中京でピクシーナイトに力負け。ここで逆転を狙うハードルは、決して低くはないと見た。

⑩エイティーンガール
イメージとしては、GⅢの差し馬。展開が完璧にハマった昨年のレースでも思ったほどは伸びなかったように、GⅠではやや迫力不足と言えるだろう。

⑪ジャンダルム
千二の距離に転戦してしてからというもの、まるで別馬のようなパフォーマンスを見せるようになった。春雷S勝ちの内容や、出遅れから巻き返した前走のパフォーマンスを見る限り、このメンバーでも十分に戦える感触は十分。あとは課題のゲートだが、ここは多少位置取りが後ろになっても、巻き返しが利く舞台と見る。走るなら、間違いなくココ。条件は完ぺきに近いくらい揃っている。

⑫レシステンシア
成績ほどの強さは感じないこの馬だが、千二の距離なら今でもGⅠで十分にやれる力がある。内で包まれたらノーチャンスと思われただけに、最高の枠を引けた印象もあって、道中で何もなければ、勝負圏内に絡んでくる可能性は十分だろう。あとは、勝負どころでメイケイエールに干渉されないかどうか。ちょっとでもロスがあると、それを盛り返すほどの力はないので、もうそこは、完全に運次第だ。

⑬アウィルアウェイ
昨年同様、ここもこの馬にハマりそうな雰囲気はあるが、近走で見せるパフォーマンスに昨年ほどの勢いを感じないのも事実。グランアレグリアのように前をまとめて掃除してくれる馬がいない今年は、さすがにちょっと厳しいかもしれない。

⑭ダノンスマッシュ
この馬の好走パターンははっきりとしていて、前に馬を置いて行けた時とそうでない時で、まったく異なる結果が出ている。その点、前走の香港戦は、完全にこの馬の負けパターンだったので、基本はノーカウントでいいだろう。ちょっと枠が外過ぎる印象もあるが、この馬のクセを熟知している川田Jなら、必ず前に馬を置く位置でレースを進めるはず。だとすれば、終いは確実に脚を使ってくるはずなので、シンプルに上位争いの一頭と考えていいように思う。

⑮ロードアクア
力的には見劣りするこの馬だが、田中健Jに手綱が戻ることで、ゲートからゴリゴリ出してくる可能性は十分。そうすると、レシステンシアやモズスーパーフレアが幻惑されるパターンもあり得るから、展開上で何らかの爪痕を残す可能性は一応考えておきたいところ。

⑯モズスーパーフレア
メンバー構成だったり、トラックバイアスだったり、この一年、まったく噛み合うシーンがなかったこの馬だが、年齢による衰えは今のところ見られず、久々に自分のパターンに持ち込めそうなここは、勝つチャンスまである一頭と見る。あとは、レース直前にトラックバイアスがどうなっているかと、メイケイエールの動き次第だろう。直前の10Rで、枠次第では単騎でハナに行けそうなアールバロンが、レースでどこまで逃げ粘れるか。これは、モズスーパーフレアのレースでのパフォーマンスを推し量るためのひとつのヒントにはなるはず。是非、そこは意識しておきたいポイントである。


では、ここからまとめを。

現時点では、メイケイエールが暴発、レース時は外差し有利なバイアスになっていると読んでいるので、中心には④ピクシーナイトを取ります。

「包まれたらアウト」とリスクはあるものの、やはりメイケイエールよりも内の枠を引けたというのが大きいですね。どの馬がメイケイエールの暴走のあおりを受けるかわからない中で、不利を受ける確率が低いというのは、これ以上ない強調材料だと思います。

GⅠレースで予想の決め手がこれだとちょっと情けないですけど、それほどまでにメイケイエールの暴走は脅威なんですよね。だから、苦渋の決断として、このようなアプローチを選んだ次第です。

妄想としては、好位はバラけると考えているので、道中は先行各馬を前に見ながら進み、勝負どころから外に持ち出していって、自分から勝負にいくイメージです。切れる脚がないので、そのほうがいいと思いますし、ここ最近の福永Jは、トラックバイアスを見切るのが天才的に上手になっているので、そこは信頼したいな、と。


2番手には、⑪ジャンダルムを取り上げます。

1馬身くらいの出遅れは、織り込み済。むしろ後ろからレースを進める形になれば、メイケイエールと干渉する心配はほぼありませんから、あとは外を回って力勝負を仕掛けるのみだと思います。

中山なら、ピクシーナイトとも互角に戦えると考えているので、道中の運び次第では、この馬が勝ち切るシーンも十分に想定できますね。


3番手には、⑦タイセイビジョンを抜擢します。

この馬は、いかに道中をリズム良く運べるかが課題ですから、そこさえクリアできれば、結構な確率でぶっ飛んでくると思うのですが……。

まあ人気もないので、コース取りには大きなリスクを背負ってもいいと思います。最後方待機からの大外でもいいですし、あえて馬群の中に突っ込んで行ってもOK。ここは完全にノープレッシャーで乗れるレースですから、三浦Jの思い切った騎乗に期待したいですね。


そして、4番手に⑭ダノンスマッシュでしょうか。

あえて下げたわけではないのですが、そこまで突き抜けた存在ではないのと、やや枠が外過ぎる分を若干割り引いて、この位置にしました。ただ、この馬にも勝つチャンスは十分だと思いますし、4番手と言っても、上位とはほとんど差がないと理解してもらえればと思います。


その他、3頭にも触れておきます。

⑨クリノガウディーは、岩田康J騎乗なので、まあ、おかしなレースはしないでしょう。ピクシーナイトとの力関係ではやや厳しいですけど、それ以外の馬となら互角にやれる力はあるので、正直、ここまでは手が回らなかったと捉えてほしいですね。

⑫レシステンシアは、枠は理想的ですし、ルメールJが何かをやらかすとも思えない。だから、やられちゃうイメージは十分なんですけど、メイケイエールとの関係性はやはり気になりますし、抜けて強いという馬ではないので、人気とのバランスも考慮してあえて嫌いました。来られたらゴメンナサイ、そんな覚悟です。

本音を言うと、トラックバイアスがイン有利だったら、⑯モズスーパーフレアから狙いたかったのですよね。客観的に見て、そうとは思えないから選外になってしまったのですが、土・日の馬場傾向次第では、一気にこの馬が浮上する場合もあるので、しつこいようですが、そこだけは注視しておいてくださいね。ローズSのエイシンヒテンみたいになったら、目も当てられないですから。そうそう、鞍上も同じ松若Jですしね(笑)。

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