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第39回 ローズステークス

明日は中京競馬場で、秋華賞トライアルのローズステークスが行われます。

大雑把な構図は、「休み明けの実績馬 vs. 上がり馬」という構図ですが、臨戦過程もバラバラ、夏を越しての成長度もバラバラですから、何かひとつの拠りどころを定めて、ある程度、決め打ちする以外、予想を組み立てること自体が難しいレースになりました。

さらに、先週からずいぶんと気になっていたのですが、中京の馬場は、伸びるところと伸びないところが顕著になっている印象が強いのですよね。今は、アンフェアな特殊馬場になっていると言ってもいいくらいの状況なので、基本、ここは観るレース。もし馬券を買うにしても、遊び程度にしておくのが妥当なのではないでしょうか。

では、早速、レースの見どころを解説していくことにしましょう。

中京11R ローズステークス


まず中京の馬場状態ですが、土曜9Rの2,200m戦、金山特別の勝ち時計が2分12秒台ですし、メインレースでは、道悪が大の苦手のアドマイヤビルゴが2着に好走しているくらいですから、明日はシンプルに高速馬場という想定でいいように思います。

ただし、です。どうも先週から、内ラチ沿いの一頭半分くらいが、まったく伸びないのですよね。これは、芝のどのレースを見てもはっきりとした傾向と表れていますから、直線で内ピッタリを通ってくる馬は、おそらく苦戦することになるのではないでしょうか。

また、馬場の回復が早いと言っても、それは夏の間に芝を張り替えた部分に限った話で、土曜日は、その外を馬が通ると、芝の塊が飛んでいるような状態でした。つまり、ゲート番で言うと、11番より外の馬は、ゲートを出てしばらくは馬場の悪いところを走らされることになるので、克服できないほどの不利とは言いませんが、多少の影響は考えておいたほうがいいでしょう。

土曜日の競馬を見ていると、ルメールJ、川田J、福永Jあたりはやはりさすがで、路盤がしっかりしているゾーンをしっかりと見極めて、常にレースを進めていましたね。このあたり、ジョッキーの腕というよりも、アタマのほうが明日は大事な要素になってくるような気がしています。


ところで、先週の紫苑Sは、オークス組のワンツー。その一方で、フローラS組は振るわないという結果になったわけですが、そうすると、フローラS3着のユーバーレーベンがオークスを勝ったことの説明がつきづらいよな、と。う~ん、春の実績馬の実力比較は、非常に難しいですよね。

個人的な見立てでは、オークスのレベルは高くなかったと考えていて、距離に適性のあったユーバーレーベンが、超ハイレベルだった桜花賞組を、圧倒的なコース適性の差で抑えきったと考えています。なので、このレースにもオークス上位馬の出走がありますが、その着順を過大に評価するのは危険なのではないでしょうか。紫苑Sを勝ったファインルージュは、オークス組ではなく、実は桜花賞組。そんな捉え方で、このレースにも切り込んでいこうと思っています。

いろいろと条件を精査していくと、各馬、プラスマイナス多様な要素が折り重なっていることに気づくわけですが、最終的にここは、「桜花賞組」をひとつのキーワードに、予想を組み立ててみることにします。


ということで、ここは⑭アールドヴィーヴルを中心視しようと思います。

この馬、2戦目のクイーンS出走時に、馬体を大きく減らしてしまい、その後も桜花賞、オークスと、デビュー時から24kgも馬体を減らした状態でレースに臨んでいたのですよね。オークスはともかくとしても、そんな万全とは言えない状態での桜花賞5着は、本当によく走っていると言えますし、もしここで30~40kgくらい馬体を増やして出走し、それで好勝負できるようなら、俄然、本番も楽しみな存在になってくるな、と。

14番枠は、はっきり嫌な材料ではありますけど、その分を割り引いても、この馬を最上位に評価することにしました。


相手には、上がり馬⑫アンドヴァラナウトを取り上げます。

とにかくこの馬はレースセンスが抜群ですし、前走の時計、内容なら、ここで格負けすることはないでしょう。その前走で距離に目途を立てたのも好材料ですから、ここは好位から抜け出す競馬で、見せ場以上を期待していいように思います。

今の中京のトラックバイアスを完全に掴んでいる福永J騎乗というのも、強調したいポイントの一つではありますね。


3番手は、⑬コーディアル。この馬の、馬群を縫っての差し込みに期待してみます。

この馬のハイライトはデビュー戦にあると考えていて、当時、オヌールに敗れてはいるものの、レースの上がり3ハロン11.2 - 10.9 - 11.5のところを、後方から一気に追い込んできたその切れ味は、ちょっと次元が違うように僕の目には映ったのですよね。

その後も安定した成績でこのレースに駒を進めてきましたが、デビュー戦を除くと、実はここまで、この馬にとって最良の条件でレースをしたことがなかったんじゃないか、と。おそらくここは、直線での切れ味勝負になるでしょうから、この馬の本領を発揮できる舞台が、いよいよ整ったようにも思えます。

まあ、さすがに外々を回して差し切れるほどの力はないので、鮫島克駿Jの器用な立ち回りからの一発狙い。その分、3番手評価にはしましたけど、うまくハマり切ったら、それなりにチャンスはあるだろうというのが個人的な見立てにはなります。


4番手には、②エンスージアズムを取り上げます。

ここでは、桜花賞組の3番手になりますし、距離適性を考慮して、ストゥーティよりはこちらを上位に取りたいですね。

前走のオークスは、イレ込んで参考外。3走前のフラワーCが、きつい競馬でクールキャットに先着の2着なら、ここでも十分に戦える下地はあると思います。ずいぶんと人気がないようですけど、この馬にも、ソコソコ馬券圏内のチャンスがあるのではないでしょうか。


一応、その他の有力馬についてもコメントを付しておきます。

①イリマは、夏の間にかなり力を付けてきましたし、能力的には、ここでも十分に通用するものがあると考えます。ただしこの馬の長所は、長く脚を使う持続力にあるので、このレース条件では、ハマらない可能性が高いのかな、と。むしろこの馬は、秋華賞本番のほうがレースの流れにがっちり噛み合うイメージが強いので、ここで負けて本番で巻き返すパターンのほうを警戒したいと思っています。

人気の⑤クールキャットは、あえて言えばこの馬が5番手なのですけれど、特に割引材料があるわけではなく、単純に相手関係でこの位置になった感じですね。先行できる脚があってルメールJ騎乗ですから、エンスージアズムとの比較では、順番が簡単にひっくり返ってもおかしくはありませんよね。ただ、やはりフローラS勝ちを過大評価したくなかったので、かなり迷った末、上位には評価しなかったと捉えてもらえれば……。

⑨タガノパッションは、いかにオークスのレベルが高くなかったといえども、きついローテーションの中で4着と好走したのは立派で、ここでも十分に走破圏内には入ってくると思います。ただ、どちらかというとスパッと切れるタイプではないので、その点で少し評価を落とした感じです。

⑩エイシンヒテンは、前走でも注目馬の一頭に取り上げたくらいですから、ここでもレースぶりを注視したいと思っているのですが、内一頭分が伸びない今のトラックバイアスを考慮すると、やはりちょっと狙いづらいな、と。

⑪プリュムドールは、ここでもソコソコやれそうなイメージが湧くのですけれど、追わせる馬に武Jはさすがにないでしょ、と。そうそう、馬の力が足りないというよりは、ジョッキーとの相性で評価を下げました。

⑯タガノディアーナは、この枠が……。もし内枠だったら、ソコソコ怖い存在だなあ~と思っていたのですが、1ハロンの距離延長をごまかせないこの枠だと、ちょっと狙いづらいな、と。

⑰オヌールは、まだ力勝負では分が悪い中での外枠ですから、川田J騎乗というプラス要素を考慮に入れても、人気の面も含め、上位に評価するという判断にはなりませんでした。

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