桜花賞の見どころ
明日は、牝馬クラシック第一弾、桜花賞が行われます。
本気の競馬力向上研究所プレオープン後、初めてのクラシック。デビュー以来、出走各馬がここまでに歩んできた道のりをずっと注視してきた身としては、何としても、ここで的を射た見どころ解説ができたらいいな、と思っているのですよね。
そこで今回は、出走全馬の簡単な解説からスタート。続いて、前哨戦のレースレベル比較や、各馬のパフォーマンスについて振り返り、最後に、今の阪神芝コースのトラックバイアスを考慮して、最終見解をまとめるという試みをやってみることにしました。
大混戦なので、結果にコミットするかはなんともですけど、最低限、皆さんの予想の手助けになるような充実した内容となるよう、頑張ってみます!
阪神11R 桜花賞
★全頭解説
①ストライプ
武器は、一瞬の鋭い脚。前に壁を作れるこの枠は、この馬にとって絶好とも言える。課題は、いい脚が長く使えないことと距離延長。最内が伸びない今の馬場も、マイナス材料か……。
②ファインルージュ
武器は、レースセンスの良さ。素早いギアチェンジで瞬時に加速でき、そのスピードを一定程度持続できる能力は、このメンバーでも侮れない。あとは、単純に相手関係がどうかだけだろう。
③ブルーバード
デビュー当時は、若駒らしからぬセンスの良さがセールスポイントであった。ただし前哨戦を観る限りでは、絶対能力で見劣る印象も……。
④ソダシ
武器は、持続力。道中で厳しいペースを刻んでも、簡単にバテないところが圧倒的なストロングポイントだ。課題は、狭いスペースをこじ開けるような器用さに欠けること。この内枠をどうさばくか、そこがポイント!
⑤アカイトリノムスメ
この馬、一戦ごとの成長が顕著で、レースぶりに器用さを増している点に好感が持てる。基本、どんなレースもできるタイプなので、あとは他馬との力関係だけ。
⑥ストゥーティ
この馬の武器は、瞬時にトップスピードに入れる器用さ。反面、長く脚が使えないので、良くも悪くも相手なりにしか走れない。
⑦ククナ
このレースで好勝負に持ち込めるかどうかのボーダーラインが、この馬に先着できるかどうかになるだろう。自身は、毎度、自分の脚はしっかりと使ってくるので、大崩れはしないはず。
⑧メイケイエール
スピード能力だけなら、このメンバーの中でもおそらくNO.1。マイルまでなら、距離もギリギリこなせる。課題は気性面だけで、暴走してレースを壊さないことを祈りたい。
⑨エンスージアズム
デビュー以来、地味ながら長く脚を使える武器を生かし、ここへの出走に漕ぎつけた。タイプ的にはオークス向きの印象もあって、このメンバーに入るとキレ負けする可能性が高いか……。
⑩アールドヴィーヴル
とにかく、デビュー戦の内容が秀逸。差しづらい道悪馬場で、大外一気を決め込んだ脚は圧巻だった。相手も弱くなかっただけに、その価値は絶大。問題は、体調面だけだろう。少しでも、馬体が増えているといいのだが……。
⑪ジネストラ
前々で器用に立ち回れるのが、この馬の強み。レースぶりに安定感はあるので、あとは単純に相手関係だけ。
⑫ヨカヨカ
スピードを持続する能力の高さが、この馬の武器。反面、ピリッとした脚に欠けるところがウィークポイントとも言える。マイルはこなせるが、理想はもっと短い距離か……。
⑬エリザベスタワー
迫力あるフットワークに、素質の高さを感じさせる。この馬自身、一戦ごとに上昇を見せているので、あとは相手関係だけ。
⑭ミニーアイル
堅実な差し脚が、この馬の魅力。一戦ごとに力をつけている点にも、好感が持てる。ただし、理想は短距離。じっくり溜めれば脚は使えるはずだが、それでどこまで……。
⑮シゲルピンクルビー
馬群の中からでも器用にレースを進められる点は、この馬の武器。ただ、胴が詰まった体形で、距離延長は歓迎とは言えないだろう。地力強化は認めるが、さてどこまで……。
⑯ソングライン
未勝利戦と紅梅Sを、好時計で快勝。スイートスポットが広く、どんなレースになっても、しっかりと迫力のある走りを見せられる。ウィークポイントは、ゲートからの一完歩目が遅いことだろう。
⑰ホウオウイクセル
レースセンスが良く、どの位置からでも脚を使える点が長所。輸送さえこなせば、自分の脚はしっかりと使ってくるだろう。あとは、相手関係だけ。
⑱サトノレイナス
一戦ごとにレースぶりが良くなり、長く脚を使えるのがこの馬最大の長所。気性面に不安がない点にも、好感が持てる。あとは、自分でレースをつくれるタイプではないだけに、ペースが流れてくれることを祈りたい。
続いて、前哨戦における各馬のパフォーマンスを振り返っておきたいと思います。
★前哨戦振り返り
阪神ジュベナイルフィリーズ
勝ったソダシ、2着のサトノレイナスは、ほぼ互角と言っていいレース内容ではあったが、馬群に包まれて、理想の内容とは言えない中で勝ち切ったソダシのほうを、より高く評価したい。ただし、当時のサトノレイナスの臨戦過程などを考慮に入れれば、勝負づけが済んだイメージはまったくなく、桜花賞での逆転の目も、十分に想像しうる内容ではあった。
4着メイケイエールは、道中で引っ掛かってロスの多い競馬になってしまったが、その割には思いのほか踏ん張れていて、能力全開なら、上位2頭に肉薄する可能性すら感じさせた。
なお、同日の古馬1勝クラスの千八戦を勝ったエアロロノアが、1:45.7で走っていたことを考えると、対エアロロノアではやや劣勢と評価していいだろう。なお、あえてここでエアロロノアの名前を出したのには、当然意味があるのだが、ここでは、サラッと流してもらって構わない。
チューリップ賞
勝ち時計の1:33.8は、2週間後に、同じような馬場でエアロロノアが1:32.1で走ったことを考えると、ペースの違いこそあれ、かなりもの足りない。
そんな中、このレースで見どころがあった馬は、暴走してハナに立ってしまったにもかかわらず、同着とはいえしっかりと勝ち切ったメイケイエールだけ。スタートが遅く、途中からガーっといく馬だけに、スムーズな逃げを打つのは難しいタイプでもあるが、もしそれが叶えば、桜花賞での好走もないとは言えない。
報知杯フィリーズレビュー
勝ち時計の1:20.7は、高速馬場であったことを考慮すると及第点くらいか。
勝ったシゲルピンクルビーは、はっきりと馬の成長を感じさせる内容であったが、内回りの千四がピッタリの印象もあって、残念ながら、本番で期待を抱かせるような内容ではなかった。
結局上位は、阪神ジュベナイルフィリーズで負けた組だったことを考えると、レースレベルに疑問符が付くことは避けられない。
クイーンC
ここは、力を出し切ったククナに先着した2頭に注目。
勝ったアカイトリノムスメは、好位からの危なげないレースぶりで完勝。一戦ごとに力を付けている印象もあったし、何よりククナに完勝だった点は強調できる。
2着のアールドヴィーヴルは、馬体重が18kgも減っていて、とても完調とは思えなかったが、道中でスムーズさを欠く場面があったにも関わらず、ロスなく立ち回ったククナを競り落としたのは立派。
ククナをものさしにするならば、ここの上位2頭は、桜花賞で好勝負しても不思議のない力を持っていると評価していい。
フラワーC
外が伸びない馬場で、器用な立ち回りで勝ち切ったのがホウオウイクセル。
勝ち馬のセンスあふれるレースぶりは評価されていいが、時計や相手関係はいかにも平凡で、桜花賞に直結する内容とまでは言えない。
フェアリーS
時計面からは、例年よりもレベルが高かった可能性もあり、ここを完勝したファインルージュに関しては、本番でもノーチャンスとは言えないくらいの見事なパフォーマンスを見せていた。
ただし、それなりに時計のかかる馬場で行われたレースでもあり、このレースでのパフォーマンスが、超高速馬場で行われることになった桜花賞とリンクするのかは、なんとも微妙である。
アネモネS
メンバー構成は低調で、勝ったアナザーリリックを除いて、特に見どころのあるレースをした馬はいなかった。
クロッカスS
メンバーレベルは低調で、立ち回りのうまさだけが求められたレース。よって、内容的にはほぼ参考外とも言える。
紅梅S
このレースの勝ちタイム、1:20.6はかなり優秀。
翌日に行われた古馬2勝クラスのマイル戦、ここを勝ったエアロロノアの走破時計が1:33.3だったことを考えると、勝ったソングラインのパフォーマンスは、エアロロノアと互角か、それ以上の内容だったと言える。
★馬場考察
最後に、阪神の馬場について考察しておくことにしましょう。
土曜日の阪神牝馬Sの結果を振り返ってみると、勝ち時計の1:32.0も純粋に速いですが、上がり3ハロンが10.7 - 10.8 - 11.7というラップになっていることをも考慮すると、完全に超高速馬場になっていると判断していいと思います。
ただ、超高速馬場の割には、馬場の3分どころから外が伸びる印象が強くて、フラットな馬場なら勝っていたと思われるドナウデルタが3着。能力的にやや足りないと思われていたプールヴィルが、外々から差してきて差のない4着に喰い込んだことを考えると、実は、かなり外差し有利な馬場になっているんじゃないかと思えるのですよね。
準メインの難波ステークスでも、終始スローでレースが流れる中、コマノウインクルが大外から上がり3ハロン31.9なんて脚を使って差し込んできていますから、超高速なんだけど差しが利きやすいというやや特殊な馬場になっている印象さえありました。
こうした傾向を考慮に入れると、外目から差してくる馬の中で、特に瞬発力のあるタイプに有利な馬場になっていて、一方、内々で器用に立ち回るタイプの馬には、やや厳しい条件になっているような気もします。
桜花賞の予想をする上では、これらの傾向を十分に考慮する必要があるように思います。
★最終見解
中心は、⑯ソングラインで行きます。
まず、前走の紅梅Sの内容は、エアロロノア比較で、阪神ジュベナイルフィリーズ組と互角か、それ以上の内容だったと言えます。未勝利勝ちの時計も、同じ週の赤松賞を勝ったアカイトリノムスメをコンマ4秒上回っていますから、裏街道を歩んできた分、注目度はやや控えめですけど、実績的には、ここで好勝負できるだけのものを、すでにしっかりと見せつけているとも言えるでしょう。
その未勝利勝ちが、加速ラップでの勝利ですから、速い上がりにも十分に対応できますし、一完歩目が遅いというウィークポイントも、この枠、このトラックバイアスなら、致命傷になるとも思えません。
これだけ条件が揃っていると、逆にトラップに引っ掛かってるんじゃないかと疑いたくもなるわけですが、ここは素直に、この馬を最上位評価にしたいと思います。
2番手は、⑱サトノレイナス。この馬も、キャラ的に今の馬場は大歓迎のクチだと思いますし、だとすれば、今度はソダシよりこちらが前にくる可能性が高いように思います。
鞍上がルメールJなら、大外枠でもおかしなレースにはならないでしょうから、阪神ジュベナイルフィリーズ組を高評価するならば、この馬をこの位置に置くのが、妥当な判断なのではないでしょうか。
3番手には、⑩アールドヴィーヴルを。う~ん、本当はこの馬が一番強いと思うのですがね……。
調教後の馬体重が戻っていないこと、中間の調整がやや手緩いことを考慮しても、これ以上は、評価を落とせないな、と。トラックバイアス的にも条件はピッタリだと思うので、まともな体調で出てきてくれたら、勝ち負けまで期待していい馬だと考えています。
そして、4番手に④ソダシ。メイケイエールのレースぶりがどうなるか、未知数のところはありますが、先行馬が少ない点は、この馬に有利に働くのかもしれません。
ただし、外差しが優勢の超高速馬場って、この馬にとって、最悪の条件にも思えるのですよね。地力は間違いなく上位ですし、デビュー戦以来、この馬のパフォーマンスにずっと注目してきた者としては、この馬にクラシックホースになってほしいという思いはあるのですけど、シビアな比較だと、4番手まで下げざるを得ないな、と。
その他では、②ファインルージュ、⑤アカイトリノムスメ、⑦ククナに、馬券圏内のチャンスがあっていいイメージでしょうか。
⑧メイケイエールは、この枠だと、出脚の鈍さがある分、サッと先手を奪うのは難しそうですし、かと言って、以前紹介したフジワンマンクロス乗りも難しいとなると、状況は八方塞がりのように思えるのですよね。鞍上の意外性の期待する声もありますが、個人的にはアカノニジュウイチの二の舞になるイメージしかなく、潜在能力の高さは認めても、この馬の馬券を買う選択はナシということにしておきます。
すみません、だいぶ長くなっちゃいましたけど、予想の参考にしてもらえればと思います。