"持ってなかった"リアンヴェリテ
今日、札幌競馬場で行われたエルムSは、一番人気のタイムフライヤーが人気に応えて快勝。一方、注目のリアンヴェリテは、4コーナー手前でほぼ無抵抗に失速し10着。なんとも残念な結果に終わってしまいました。
それにしても、今日のリアンヴェリテは"持ってなかった"なあと思います。何もこの日に限って、向こう正面で強烈な向かい風が吹かなくてもいいのに。鞍上の国分恭Jも、きっとそう思っていたことでしょう。
まずは、簡単にレースを振り返ってみましょう。五分のスタートを切ったリアンヴェリテは、いつも以上に楽な感じへハナを切ることに成功。1コーナーまでの流れは、考え得る中では最も理想的な形になりました。
ところが、2コーナーを過ぎて向正面に入っても、国分恭Jはペースを上げることなくこの馬としては溜め逃げの形に。見た目上は楽に行っているように見えても、僕はこの時点でリアンヴェリテの苦戦が決定的になったように思ったのですよね。
なぜなら、リアンヴェリテが楽なペースで行っているということは、後続の追走も楽だということ。それは、レースのペースアップのタイミングが早まることを意味しますから、リアンヴェリテにとって最も避けたい形を自ら誘導することになるのが自明であったからです。
では、なぜ国分恭Jは溜め逃げの形をとることになったのでしょうか。
これはあくまでも想像になりますが、ハナを切ったリアンヴェリテは向正面に入ってから強烈な向かい風をまともに受ける形になって、ペースを上げようにも上げられなかったのだと推測しています。
現に、今日の札幌は逃げ馬が全滅。かろうじて連対したのも、短距離戦の人気馬2頭だけという極端な結果になっていて、特に中・長距離戦では、道中で前に壁をつくった馬しか上位に来られない極めて特殊な状況が生まれていました。
そんな背景もあったので、今日の国分恭Jのレースメイクは責められないところでしょう。すべての条件が揃っているはずだったのに、そこに強烈な「向かい風」が吹く。まあこれは、今日のリアンヴェリテは"持ってなかった"としか形容のしようがありません。
リアンヴェリテという超個性派に立ちはだかったのは、同型の逃げ馬ではなく今日の札幌の天候。やっぱりリアンヴェリテは、「函館の申し子」という数奇な運命をたどっているのかもと、つい本気で思ってしまいそうになりました。
現時点で、リアンヴェリテに次のチャンスが訪れるのかどうかはまったくの未知数。それでもGⅢあたりなら、ポテンシャル的に十分に足りることだけは確かだと思います。
でっかい馬券を狙って獲れるのは、リアンヴェリテみたいな個性派が好走するタイミングを読み切った時ぐらいのもの。大概、そんなふうに相場は決まっています。函館以外ではどうせ人気にならないでしょうから、不運にも見舞われた今日の凡走で懲りることなく、近い将来、一発どんでん返しを決め込んでくれることを引き続き期待してみたいですね。