先週の2歳戦トピックス
先週は何頭か気になる2歳馬がいたので、簡単に振り返っておこうと思います。
まず福島からは、日曜日3Rダ1,150m未勝利戦を取り上げます。このレース、究極に時計の出る馬場状態の中で行われたため、結果的にレコード決着となったわけですが、注目したいのは勝ち時計よりも道中のラップ。
2ハロン目と3ハロン目のラップが、同日の最終レースよりもこちらの方が速いのですよね。多少の馬場差があるとは言え、最終レースを勝ったダンシングプリンスが重賞級の器であることを考えれば、勝ち馬のニシノミズカゼだけでなく、勝ち馬についていった3着スペクタクルや4着アヴォカドにもそれなりに高い評価を与えていいのだろうと思います。
よくあるのが、次走以降、このレースで2着に差し込んだニシノライトニングと同じレースにスペクタクルやアヴォカドが出走してきた場合に、着順がコロッと逆転するというケース。
枠順やメンバーにもよるので一概には言えませんが、こうした着順逆転の可能性についても、今のうちから想像しておきたいところです。
次に函館から、土曜日5R芝1,200m新馬戦と日曜日5R芝1,800m新馬戦の2鞍を取りあげます。
最初に、土曜日5Rの勝ち馬カイザーノヴァについて。この馬の勝利が、モーリス産駒の中央初勝利となったことでちょっとした話題になりましたが、このレースではそのほかにもいくつか注目すべき点がありました。
まず、この日の函館芝コースは、Bコース替わりの影響でインベタが圧倒的に有利な状況に回帰していて、外差しがかなり効きにくい状況でした。
その中で、外から鋭い脚を使って差し切っただけでも評価に値するわけですが、ゴール前などはまだ遊んでいるようなそぶりも見られ、単勝6番人気での勝利ではありましたけれど、数字以上に中身が濃いレースぶりだったと思います。
この馬、464kgでの出走となりましたが、パドックでチャカついていたこともあり、印象としてややこじんまりと映ったのも事実。筋肉質で迫力あるビジュアルの馬が多いモーリス産駒の中では、むしろ異質に思えました。
そんなモーリス産駒らしさを感じさせないカイザーノヴァが産駒初勝利を挙げ、さらにレースの中身も濃かった点は特に印象に残りましたね。うるささの残る気性面さえ崩壊しなければ、今後のさらなる活躍に期待が持てそうな逸材と言っていいかもしれません。
もうひとつ、4コーナーの出口で、カイザーノヴァがサンダナポイントを外に吹っ飛ばしているんですよね。鞍上の坂井瑠Jはこの件で騎乗停止を喰らっていますし、サンダナポイントに騎乗していた勝浦Jなんか、坂井瑠Jをしばらくガン見し続けるほどブチ切れていたくらいですから、当然、褒められた騎乗とは言えませんよね。
ただ、カイザーノヴァだけに着目すれば、ほとんどなかったスペースをこじ開けて、一瞬で割って出てきたことになりますから、新馬とは思えない精神力の強さを見せてくれたとも言えるでしょう。
なんだかこのレース、良い意味でも悪い意味でも、いろいろと後を引きそうな予感がしてなりません。
次に注目したいのは、日曜日5Rを勝ったソダシ。この馬、ブチコの初仔で白毛ということもあり、デビュー前からかなりの注目を浴びていました。ただ、そんな話題性をさておくとしても、レースで注目すべきパフォーマンスを示してくれたのは間違いありません。
レースは、一応、ゴールに向かって加速ラップを踏んではいるものの、道中のペース自体はフラットで、馬にストレスはほとんどかかっていません。それを番手からあっさり抜け出して勝ったというレースぶりそのものは、たとえ完勝ではあっても、この一戦だけで高い評価をするのは危険だなという印象すらありました。
ただそんな中で、僕が注目したのは、ソダシの雄大なフットワーク。大飛びで力強いその姿は、お父さんのクロフネに似ているとも言えますし、レースを観た瞬間の印象としては、あのフラムドパシオンを思い出したくらいでしたね。
ちなみにフラムドパシオンは、今は日本で種牡馬生活を送るディスクリートキャットが勝った2006年のUAEダービーで、3着となったクロフネの初年度産駒。
注目は、同レースの4着馬が、後にブリーダーズカップクラシックやドバイワールドカップを制覇し、12戦11勝の圧倒的な戦績で2006年アメリカ年度代表馬にも輝いたインヴァソールだったということなんです。
そんな歴史的名馬インヴァソールが競走馬生活の中で先着を許したたった3頭のうちの1頭が、フラムドパシオンだったということ。脚部不安を抱えていたフラムドパシオンは、結局、競走馬として大成することはできませんでしたが、個人的には、フラムドパシオンこそがクロフネの代表産駒であると今でも思っているのですよね。
ソダシの走りっぷりは、観ていてフラムドパシオンを思い浮かべるほどのインパクトがあったのは事実です。そういう意味で言えば、今後、芝だとキレ負けするシーンが出てきそうな印象もありますが、ダートに替わって大活躍するシーンも目に浮かびます。
ちょうど、クロフネが種牡馬を引退するというニュースも伝わったタイミング。ダートでの活躍馬をたくさん輩出している一方で、一流馬は芝のスプリンターとマイラーばかりというこれまでの評価を、ソダシが今後の活躍を通じて覆してくれることを願いたいと思います。
最後に、阪神から日曜日5Rを勝ったヨーホーレイクを取り上げます。
いや~、それにしてもクロウキャニオンの仔は、デビュー戦に強いですね。それもあって、単勝1.4倍という極端な一番人気に推されていたのかもしれませんが、まずは横綱相撲の完勝だったと言っていいでしょう。
ただものすごく主観的に言うと、この馬はこれまでのクロウキャニオンの仔がそうであったように、典型的な人気先行タイプとして、競馬ファンの資金を吸い上げる悪役になるとにらんでいます。
センスは抜群なんだけれど、最後のひと押しが効かなそうなところなんかは、クロウキャニオンの母、クロカミそのままの印象なんですよね。良くも悪くも、遺伝力が強いというかなんというか。
自己条件ならともかくとして、さすがにクラシック戦線で活躍する姿までは、正直なところ想像できないんですよね。
まずは疑ってかかる。馬には申し訳ないんですけど、そんな姿勢で接していきたいタイプの馬ではあると思います。
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