第56回 不来方賞の回顧
盛岡10R 不来方賞
盛岡コースで行われたこのレース、正確なラップ構成を知ることはできませんが、勝ち馬の上がり3ハロンが36.1であったことを踏まえると、見た目の印象どおり「前半をゆっくり入っての後半持続力勝負」というシンプルな理解でいいように思います。
勝ったサンライズジパングに関しては、まずもってパドック気配が上々であったように、9分以上のデキでレースに臨むことができたことが、直接的な勝因と理解していいでしょう。
スタートを決めていつでも動ける3番手の外目という好ポジションを確保した時点で、ほぼ勝負あったという盤石のレース内容でもありましたので、近い将来観られるであろうフォーエバーヤングとのリベンジマッチが、今から楽しみで仕方がありません。
2着カシマエスパーダは、マイペースの逃げに持ち込んでの3馬身差完敗となりましたので、戦前から予想されたことではありましたが、対サンライズジパングでは素材面でやはり劣勢だったという総括になります。
ただしそうは言いつつも、休み明け、かつ距離も1ハロン長いかという中で後続に4馬身の差をつけているのですから、この馬も相当に強い競馬をしていると見るのが妥当で、この敗戦をあまり悲観的に捉える必要はないのではないか、と。
3着サトノフェニックスは、各馬が避け気味に走っていた馬場の内目を終始通す形になりましたが、さまざまな評価はあれど、砂を被らない工夫としては悪くない判断だったと当研究所ではみています。
鞍上が「上位2頭をインから出し抜こう」という騎乗をして返り討ちにあった格好にはなりましたけど、今回はどう乗っても3着が精いっぱいという内容でしたので、この着順は極めて妥当なもの。
結果、完敗の3着ではありましたけど、ここは相手がべらぼうに強かっただけで、この馬自身もよく走っていると言っていいのではないでしょうか。
4着フジユージーンは、引っ張ったきりの手応えで勝負どころを迎えることができましたし、そこまでの迫力あるフットワークから、もしかすると3着はあるかも……と思わせるくらい非常に内容の濃いレースができたように思います。
追ってからがひと息なのは想像どおりでしたが、今回は上がりの速いレースになったのが余計に堪えた感じもありましたので、この超強力メンバーを相手に正攻法の競馬で4着なら、ガッカリどころか大いに胸を張っていいくらいのレースはしている。そう高く評価しています。
道営所属の2頭、5着ブラックバトラー、7着パッションクライは、概ね力どおりの走りができていましたので、その観点からみると、6着サクラトップキッドの大健闘が光ったとも言えるでしょう。
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