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第25回 中山グランドジャンプ/第32回 アーリントンカップのみどころ


明日は、中山でJGⅠ中山グランドジャンプが、阪神でGⅢアーリントンカップが行われます。


中山グランドジャンプのほうは、昨年以上に小粒なメンバー構成となりましたが、その分、多くの馬に戴冠のチャンスがある組み合わせとなりましたので、馬券的妙味という意味では、近年随一と言える興味深い一戦となった印象ですね。

一方のアーリントンカップは、どこからでも狙えそうな大混戦のメンバー構成となりましたが、今年の3歳マイル路線のレベルに照らしてみると、NHKマイルC本番でも通用していい馬が混じっていますので、こちらも目が離せない一戦という理解でいいでしょう。


では、早速、それぞれのレースの見どころについて、解説していくことにしたいと思います。


中山11R 中山グランドジャンプ


オジュウチョウサン、メイショウダッサイという一時代を牽引してきた名馬が引退し、現障害界はまさに群雄割拠の様相を呈しています。

昨年暮れの中山大障害の好走馬たちが、前走の阪神スプリングジャンプで連対すら果たせなかったところ見ても、いかに出走各馬の力が接近しているのかがよくわかるというものでしょう。


今年のこのレース、大枠としては阪神スプリングジャンプ組と、中山で行われたステップレース、ペガサスジャンプステークス組の対決構図となっているわけですが、今年は、例年以上にペガサスジャンプステークス組にも注意を払わないといけないくらいの力関係ではある。そんな気がしています。

例えばですが、そのペガサスジャンプステークスの勝ち馬、ビレッジイーグルは、これまで「GⅠになると掲示板止まり」というレースを何度も繰り返してきたわけですけど、今回に関しては、馬券圏内争いに絡んでくる期待度は過去のレースよりも間違いなく上がっているのかな、と。


あと、問題は馬場状態ですね。

明日の中山は、かなりまとまった雨が降る予報になっていますので、イメージとしては、不良馬場で行われた3年前と似たようなかなりハードなレースになりそう。

つまり、スピードタイプの馬にはかなり厳しい条件になる見込みですから、そのへんのところは、競馬ファンのこちら側としてもしっかりと頭に入れておかねばならない。そう思います。


さてさてそれでは、今年も恒例の全頭評価をやっておくことにしましょう。

①ジューンベロシティ
一戦ごとに力をつけているこの馬、今年のメンバー構成なら力関係で見劣ることはない。ただし、今年の過酷なレース条件には不安しかなく、結果は出ていても西谷Jの騎乗でパフォーマンスダウンしている現状を踏まえると、過度な期待まではどうなのだろうか。

②イロゴトシ
こちらも一戦ごとに力をつけていて、馬券圏内のチャンスはある一頭と見ていいだろう。ただ、まだキャリアが浅いこともあり、まずは無事に飛んでくることが先決。その上で今回は、「うまいこと結果がついてきてくれたらラッキー」という位置づけまでか。

③ニシノデイジー
レース条件に不安はなく、まともに走れば勝ち負けは必至。あとは、飛越にまだ雑な面が残っている点がどうか、課題はその一点だろう。無事に回ってくれば勝ち負け、だけども着地で躓いて落馬してしまう可能性も一定の確率ではありうる。今回は、そんな評価にならざるを得ない。

④スマートアペックス
一戦ごとに復調を見せるこの馬だが、飛ぶ鳥を落とす勢いのあった4歳時でも、このレースでは明確にスタミナ不足を露呈していた。そのことを思い起こしてみれば、余計にスタミナを要求されそうな今年の条件では、さすがにちょっと厳しいのかも……。

⑤ビレッジイーグル
単騎逃げが見込めるメンバー構成となり、相手関係も楽な今年は、いよいよチャンス到来かと思えたのだが……。この馬の本質はスピードタイプゆえ、明日の馬場状態には不安しかないのが実情。力をつけた今ならそれなりに踏ん張れるのかもしれないが、過度な期待まではどうか。

⑥エミーリオ
頼みの綱は、安定した飛越と道悪馬場に対する適性。とことん自分のレースに徹し、自爆した馬たちを一頭一頭拾って行くこと以外にやれることはないけれど、明日に関しては、その「待ち」の姿勢が吉と出る可能性も……。

⑦ダイシンクローバー
今年のメンバーなら、力は十分に通用。道悪にも大きな不安はなく、課題はスタミナ面だけだろう。常識的に考えれば、今回はさすがに厳しいレース条件のようにも思えるが、あとは鞍上の手腕でうまく立ち回って、どこまでスタミナを最後まで温存させられるか。そんなレースになりそう。

⑧テーオーソクラテス
充実一途のこの馬、距離と馬場さえこなせば力は足りそう。ただ、スタミナ面に不安が残る分、明日の極悪馬場ではやや分が悪い気もする。あとは、ここにきて存在感を増しつつある小坂Jのエスコートで、どこまで我慢が利くかだろう。

⑨クリノオウジャ
地味ながら力をつけているこの馬、レース条件と極悪馬場をうまく味方につけられるようだと、今年のメンバーが相手なら、アッと言わせる場面があってもよさそう。少頭数でロスのないレースができそうなことも、今回はこの馬に味方しそうで……。

⑩ミッキーメテオ
得意の中山替わりで、道悪もOK。さらにスタミナ面での不安もないとくれば、普通に考えて上位争いは必至だろう。あとは、とにもかくにも無事に完走すること。それが叶うとすれば、着順の数字は必然的に小さいものとなりそうだ。


ということで、馬場状態を含めいろいろと紛れがありそうな今年は、意を決し⑨クリノオウジャを中心視することにします。

この馬は、前走のペガサスジャンプステークスで外々を回らされる厳しいレースを強いられながら、最後までしぶとく伸びて善戦してきましたから、デビュー以来この馬の走りを見続けているこちらが驚くほど、一戦ごとに力をつけていることは明らかなんですよね。レース内容だけを見れば、着順は6着でも勝ち負けに匹敵する中身があったのは間違いありませんので……。

加えて、スタミナ面に大きな不安はありませんし、馬場悪化にも十分に対応できる素地は備わっていますので、どうでしょう、今年のメンバー相手だとシンプルに通用しちゃうんじゃないかと思うのですけれど、、、

もちろん、大障害コースがどうなのかとか、極端な道悪でも走れるのかなど、いろいろと課題は残っていますが、好調の難波Jのエスコートなら、少なくとも見せ場くらいはあってもいいのかな、と。完全な妄想に終わってしまう可能性もありますが、個人的にはそれなりの期待を持ってレースを観戦しようと思っています。


2番手は、⑩ミッキーメテオ

こちらもスタミナ面に不安はありませんし、平地時代に中京の極悪馬場で好走した実績があって道悪もOKでしょう。

中山コースも得意ですし、少頭数となって能力発揮に支障はなくなった印象もありますから、無事に飛んできてくれさえすれば、馬券圏内はほぼ堅いのではないかと考えているところです。


3番手は、③ニシノデイジー

この馬も、スタミナ面にはしっかりとした担保があって、道悪実績も十分。まとも走れば、まず勝ち負けなのは間違いありません。

ただしこの馬、飛越で未だにそそっかしいところが残っていて、勝った暮れの中山大障害でもそうでしたし、前走の阪神スプリングジャンプでもそうでしたけど、自分のリズムで障害に向かって行けずに着地でバランスを崩すシーンが散見されるのですよね。

大きな障害がダメとかそういうことではないのですが、急かしながら飛ばせるとかなり着地が危ない印象もありますので、明日の馬場で不安定な飛越になると、落馬や致命的なロスを生じるリスクが一定程度はあるんじゃないか、と。

そんな判断で、少し評価を下げてこの位置。そう理解してください。


最後4番手は、⑥エミーリオ

普通の馬場なら4番手は要らないと思うのですが、明日はさまざまなアクシデントが発生することも考えられるので、一応、最後のひと枠としてこの馬を拾っておくことにしました。

こちらは、もともとが新潟巧者ですし、ガチンコ勝負でどうのこうのという馬でもないのですが、最低限、スタミナ面での担保がありつつ、道悪OKで飛びが安定している点を評価しました。

この馬が好走する場合のイメージとしては、「前とは大きく離されたけど、無事に完走したら自然と馬券圏内にいた」みたいなパターンでしょうか。



阪神11R アーリントンカップ


いや~、このレース、ただでさえポテンシャル面の比較だけでも難しいのに、枠の並び微妙、展開微妙、そして馬場状態までもが微妙という三重苦、四重苦ですからねぇ~。

中でも、ポテンシャル面で比較上位と思われるユリーシャとショーモンがこの並びで内枠に入ったことにより、さらに余計なことを考えなければならない状況となって、難解さがさらに一段増したような気さえしています。

う~ん、これは本当になかなかの難しさですね。


展開面では、普通に考えればユリーシャが押してハナを主張していくのでしょうけど、馬群の中でうまく走れるイメージが湧かないショーモンが、その時にどんな対応を見せるのか。

内から突っ張ってハナ、スンナリ引いてインのポケット、ゲートから出して行ってスペースを確保してから外に切り替え、と、ちょっと考えただけでも3パターンのレースぶりが考えられるわけですが、このうちのどのパターンにハマるのかによって、レース結果がまったく別のものになる可能性もありますから、いや~、本当に悩ましい……。


さらに言うと、極端な道悪競馬になることが想定される中で、レース時にトラックバイアスがどのようになっているかを読み切るのも大変なのですよ。

こうなってしまうと、前日出しの記事という性格上、割り切ってひとつの球種にヤマを張り、そのボールが来た時だけはなんとかヒットにする。そんな戦略で臨むことくらいしか、良い方法が浮かんでこないな、と。

そんなこんな、レース前から半ば白旗を上げたに等しい状態になってしまいましたが、そこはどうかご理解いただければと思います。


ということで、中心には④セッションを推します。

この馬に関しては、血統面や背の低い体型、その走法などから距離短縮で良さが出るのだろうと思っていたわけですが、ようやくここで適条件と思われるレースに使ってきてくれました。

バントしてもどうせ成功しそうにないと最初からわかっているのであれば、小細工せずにフルスイングして三振したほうがまだマシですから、ここは予断を排してこの馬の一発を狙ってみたいと思います。道悪に関しても、こなせそうな走りをしていますしね。


2番手は、②ユリーシャ

桜花賞の回顧記事でも触れましたが、この馬は桜花賞に出ていてもソコソコの勝負をしていた可能性が高いと思うのですよね。

ただしここは、同型馬が何頭かいて展開面が微妙な感じですし、極端な道悪になって外差しが決まるようになる可能性まで考えると、さすがに中心視するところまでは行きませんでした。それでも、まともならこの馬が一番強いと考えてはいますので、これ以上評価を落とすのもまた違うのかな、と。


3番手は、⑬ドクタードリトル

この馬のベストはおそらく千八ですが、道悪競馬になれば距離短縮が致命傷にはならないのかな、と。

また、このメンバー構成なら力は足りますし、3走前の中京戦の走りから道悪は十分にこなせるでしょうから、最後に真っ黒になって大外を追い込んでくるイメージでこの位置に評価しておきます。


4番手は、⑨キョウエイブリッサ

この馬は、なんだかんだ朝日杯フューチュリティステークスの最先着馬ですし、いかに昨年の朝日杯のレベルが低かったとしても、このメンバーに入れば当時の4着はさすがに悪い成績とは言えない気がするのですよね。

さらに言えば、この馬はレースが上手で大崩れはしないタイプの馬ですし、時計が掛かる馬場もむしろプラスに作用しそうですから、馬券圏内ワンチャンスという意味合いで、最後に拾っておくこととしました。


その他、有力馬が五指に余る状況ではありますが、ショーモンは馬群の中で行きたがってリズムの悪い走りになると決め打って、ナヴォーナは道悪競馬に対する適性面から、ともに消すこととしました。

また、トーホウガレオン、オーシャントライブあたりにも怖さがありますけど、さすがにここまでは手が回りません。どうせ当たらない確率が高いのであれば、わざわざ手を広げる理由もありませんので……。


いや~、明日の気象条件は厳しすぎです。

特に中山グランドジャンプのほうは、大きなアクシデントなく無事にレースを終えられるよう、ひたすらそれを願うほかありません。

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