週末の障害戦回顧(4/2,3)
この週末も、阪神、中山でそれぞれひと鞍の障害戦が行われました。
早速、レースを振り返っていくことにしましょう。
土曜 阪神8R 三木ホースランドパークJS
ここは、上位5着までがそれぞれバラバラの臨戦過程。つまり、それだけの大混戦だったということになるわけですから、道中の立ち回りが少し違うだけで、まったく異なる結果になった可能性も否定はできない。そんなレースだったように思います。
また、できればハナを切りたかったメイショウギガースとニシノベイオウルフの2頭が、序盤からまったくハナ争いに絡むことすらできず、その結果、レース途中からトワイライトタイムがラップを刻んで行く形になったので、当然、道中のペースはスロー。その分、基礎となる能力に加えて、立ち回りのうまさが勝負を分ける大事なキーポイントになった。そんな理解でいいのでしょう。
勝ったタイキフロリゼルは、今回のレースを観ると、完全に本格化したと言っていいのではないでしょうか。前2走のレースぶりから、立ち回りが上手なことはあらかじめわかっていたわけですが、結果、ここまで安定感のあるレース内容で快勝されてしまっては、こちらの想定が甘かったと素直に認めるほかありません。
まさに、この2戦の内容は、はっきり地力強化を裏付けるもの。現状の力だと、一線級を相手にしたガチンコ勝負になるとまだツライかな、という感じもありますが、ここ最近の障害界は、突き抜けた馬が不在の混戦模様となっていますから、この馬もこの調子で順調に成長を続けて行けば、近いうちに重賞でも五分以上に戦える場面が出てくるかもしれない。そんな予感もさせてくれますね。
2着ペガーズは、襷の出口で番手外の位置をロスなく取り切った白浜Jの判断が、完全に神ってました。個人的には、前走の騎乗内容を酷評していたわけですが、おそらく本人も、相当悔しい思いをしていたのでしょう。今回に関しては、彼の全盛期を思い出させてくれるような素晴らしい騎乗があっての好走。そう理解するのが妥当なんじゃないかと思います。
よって、どこまで再現性があるのか、という部分に疑問は当然残りますから、次走でこの馬をどの程度評価すべきか、その点にひどく頭を悩ますことになりそうです。
3着ヒルノアローザは、高田Jらしいロスのない立ち回りで、昇級戦のここでもしっかりと善戦してきました。
戦前から、現状でもこれくらいは走れるんじゃないかというイメージはあったので、驚くべき好走というわけでもありませんが、この馬にはまだまだ伸びしろが残っていそうですから、近い将来、正攻法でオープンを勝ち切るシーンが観られるかもしれません。
4着フリーフリッカーは、道中の位置取りが、、、
切れる脚のないこの馬のキャラクターを考えれば、明らかに道中の位置取りが後ろ過ぎた印象もありましたから、この4着は、少なくとも力負けではないと評価すべきでしょう。
あと一つ気になるのは、普段なら安定感抜群の騎乗を見せる森一馬Jにして、ここ最近、道中でいい位置を取り切れないレースが続いていること。これまで彼がスランプに陥るシーンを見たことがなかっただけに、ちょっと心配と言えば心配なんですよね。
したがってここからの何週かは、彼の騎乗を特に注視しておく必要があるんじゃないか、と。先週のマサハヤドリーム、ロードエクスプレスに引き続いて、今週のフリーフリッカーでも、彼らしくないヘタレな騎乗を見せてしまいましたから……。
5着エコロドリームは、負けて強しのレースはできていたと思います。今回のような落ち着いたペースになってしまうと、この馬の脚質では、取りこぼしはどうしても避けられませんからね。
つまり今回に関しては、中心視した私も含め、この馬を人気に押し上げた競馬ファンの展開読みが甘かったということ。よって、この敗戦をもって、馬の評価を下げる必要はないと思いますし、「展開が味方してくれれば、この馬は重賞でもやれる」という認識に今も変わりはありません。
日曜 中山4R 未勝利
ここは、人気を集めたポートロイヤルが、ハナに行く競馬で楽勝。見事、障害初勝利を挙げました。
この馬は、一戦ごとに飛越がうまくなっている印象が強いですね。走破時計的には、前走よりもかなり見劣る印象もありますが、もとより平地時代から相手なりに走るタイプですから、昇級後、走破時計だけを見て軽視すると痛い目に遭う。そんな予感がなきにしもあらず、ですね。
伴Jは、今週もしっかりと爪痕を残してきました。断然の人気馬でしっかりと勝ち切ることは、トップジョッキーを目指す上で避けて通れない道ですから、そこをクリアできたという点においても、非常に意味のある勝利だったと思います。
2着ルレーヴドゥリリは、入障3戦目でさらなる上積みを見せてきました。2周目の向正面から勝ちに行く競馬をして、一旦、テイエムタツマキにインから交わされた時は厳しいかと思いましたが、そこから盛り返して2着を確保したのは立派だったと思います。そんなこんな、まだまだ伸びしろを期待できるレースぶりでもありましたから、この調子で行けば、そう遠くない将来、初勝利を挙げられるかもしれません。
3着テイエムタツマキはここが初障害戦でしたが、その中で非常にセンスを感じさせる走りができていたように思います。最後、ルレーヴドゥリリに差し返される形にはなりましたけど、キャリアの浅さを考えれば、そこは責められないでしょう。負けはしましたけど、黒岩Jの強気な仕掛けも悪くはありませんでしたし、人馬とも、次につながる中身の濃いレースができたのではないでしょうか。
4着オンザウェイは、レース途中でハナを譲る形になったのが痛かったですね。ただ、あの行きっぷりからすると、あそこで無理せず一旦下げたのは、五十嵐Jの見事な判断だったと思います。勝負どころからは、内に包まれる苦しい形にはなりましたけど、最後の直線ではファイトバックして盛り返してきましたから、結果は馬券圏外でも、こちらの期待に沿う中身の濃いレースはしてくれた。そう理解しています。前走でのポートロイヤルとの着差も、着実に詰めてはきましたからね。
5着アイタイは、「ああ、やっぱりだったか!」という厳しいレースになってしまいました。やはり本場の固定障害は向いていませんでしたし、自分から勝ちに行く形のレースになったことも、最後は堪えていたように思います。いずれにしても詰めが甘いタイプの馬ですから、今後も煮え切らないレースが続いてしまいそうですけど、新潟以外のローカルのコースなら、もうちょっとピリッとした内容のレースができる可能性は残されている。そんな気がします。
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