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第18回 オーシャンS/第30回 チューリップ賞のみどころ

明日は、中山でGⅢのオーシャンステークスが、阪神でGⅡのチューリップ賞が行われます。


どちらのレースも確固たる中心馬が不在のレースとなりましたので、仮に同じメンバーで10回レースをやったとしたら、おそらくそれぞれ10とおりの馬券圏内の組み合わせが存在する。そんな気がしてならないのですよね。

そうだとすれば、小さくまとまってバットに当てに行ったところで、十中八九、好結果は期待できませんから、ハイリスクローリターンな馬券の買い方にはならないよう、特に注意を要する土曜日の重賞レースになったんじゃないかと考えているところです。


では、早速、それぞれのレースの見どころについて、解説していくことにしましょう。


中山11R オーシャンステークス


現状の古馬短距離界は、全体のレベルが下がった中での大混戦となっていて、昨年は高松宮記念、スプリンターズステークスという2つのGⅠレースの勝ち時計が、ともに同週の条件戦と大差がないか、または遅いという決着となっていたことには、まずもって注意が必要でしょう。

このことをベースとして考えるならば、このレースに関して格云々の議論をしてもあまり意味をなさないようにも思われますので、現状の勢いだけで勝ち負けに持ち込んでくる馬が現れたとしても、何ら驚くことではない。そんな想定でいいのかな、と。


またここは、勝ち時計が速くなればなるほど差しが届きづらくなるはずですから、「まずは馬場読みのところを正確にやり切れないと、正解に辿り着くのは難しいんじゃないか」と個人的に思っているのですよね。

この点、おそらく中山の芝は先週以上の高速馬場になるはずで、どちらかという前有利な傾向が出そうな気がしているのですけれど、その一方、現状は極端なトラックバイアスはありませんから、力があれば外からの差しも決まる。そんな状況にある気がしています。


そうすると、さしあたって「前の並びがどうなるか」が勝負を分けるひとつの分水嶺になりそうなわけなんですけれど、このレースに関しては、そこを読み切るのも非常に難しいんですよねー。

そんなこんなな状況でもありますので、このレースに関しては、「何でもアリの大乱戦」と割り切り、最後は"運"がこちらに味方してくれることを願いつつ、思い切った決め打ちを敢行する以外に正解に辿り着く方法がなさそう。そう考えます。


ということで、中心には④ロードマックスを推します。

内枠勢の枠の並びが微妙で、確実にラチ沿いのポジションを取り切れるという確証はありませんが、この枠なら前に馬を置いて折り合うことはできるでしょうから、勝負どころでうまく馬群を捌けるようなら、ここはこの馬で通用しておかしくない力関係なんじゃないか、と。

地味に前走からの斤量1kg減は、馬群を割る際に効いてきそうですしね。


2番手は、⑨ヴェントヴォーチェ

この馬は、もともと中山コースが得意な馬ですし、展開や相手関係、鞍上面を考慮に入れるとすれば、それなりに注文がつくところがあったとしても、上位評価は不可欠。そう考えています。


3番手は、⑬エイシンスポッター

この馬は、末脚不発がない安定した差し馬ですから、先行馬に頼りなさが残るこの組み合わせなら、大外一気を見事に決め切ってしまうシーンまであるかもしれません。

そうそう、前走のレースぶりなんかを見ていると、角田大河Jはこの馬のことを完全に手の内に入れている感じがするのですよ。脚質的な取りこぼしは当然考えられますけど、ちょっとの「運」が噛み合えば、もしかするとここでジョッキーにとっての重賞初制覇というシーンが見られるかもしれない。それくらいの期待は持ってもいいんじゃないでしょうか。


4番手は、⑯マリアズハート

この馬は、高齢牝馬でもここ最近は安定して走れていますし、ここは大幅な相手弱化に加えて、展開面でもハマりそうな予感はしますからね。

さすがに、終始外々を回される展開では厳しいでしょうけど、馬群がバラけたところで馬の後ろに入れられるようなら、地味ながらワンチャンスはあってもいいのかな、と。


その他、タイムトゥヘヴンは、最後のひと枠候補ではあったのですけれど、さすがにこの距離だと「エンジンがかかったところがゴール」みたいな競馬になってしまいそうですからね。

ナランフレグは、このメンバーなら当然勝ち切るシーンもありそうですが、GⅠ馬ではあるものの「圧倒的力上位」という存在でもありませんので、ドン詰まりの可能性や59kgの斤量で切れ味が鈍る可能性を視野に入れるのならば、今回はあえて拾う必要もないと最後は判断しました。

キミワクイーンに関しては、正直、最後のひと枠に入れる馬をマリアズハート、タイムトゥヘヴンとこの馬の三択でちょっと迷ったくらいではあるのですよね。ただ、ポテンシャル面でギリギリ通用のレベルであることと、主戦の横山武Jが乗れないことの合わせ技で、最終的に評価を一段下げた格好となります。

スンリも、このメンバーならワンチャンスはあってもよさそうですけど、2走前にレース内容でエイシンスポッターに圧倒されていたことを考慮し、こちらも最終的には消すという判断になりました。


阪神11R チューリップ賞


例年のこのレースは、阪神ジュベナイルフィリーズ組が優勢となる傾向が強いわけですが、今年の同レースからの参戦はドゥーラただ一頭のみ。

したがって、はたしてここで「この馬を上回ってくる馬がいるのかどうか」が、このレースのひとつの焦点になることはどうやら間違いなさそうです。


そこで、阪神ジュベナイルフィリーズでのドゥーラの走りを振り返ってみると、結果は6着でも同馬は間違いなく内容の濃いレースをしていて、時計面でも及第点くらいの評価はできると言ってよさそう。

ただし、レースぶりを見る限り、やはりマイルの距離は忙しいようにも見えましたから、そこに他馬が付け入る隙が残されているような気がしないでもありません。

仮にそうだとすると、ドゥーラと似たような脚質の馬よりも、前受けして地力勝負に持ち込める馬により勝ち負けの期待が大きい。そんな言い方ができそうですね。


ただし、他の有力馬たちは、多くが初対戦の組み合わせとなりましたから、各ステップレースのレースレベル評価を間違えてしまうと、仮にドゥーラの取捨判断が正しかったとしても、実を得るのは難しそう。

う~ん、今年のチューリップ賞は、例年以上に難解なレースになってしまった印象ですし、何より非常に能力比較が難しいレースとなりましたので、こういう時だからこそ、時計面の裏付けがある馬を信頼してみる手はアリなのかもしれません。


ということで、中心には⑩アリスヴェリテを狙ってみます。

この馬のベストパフォーマンスは、「アルテミスステークスの3着ではなくて、その前の野路菊ステークスの2着である」と個人的には考えているのですよね。

このレースの勝ち馬は、後に共同通信杯を快勝しましたし、日曜日の弥生賞で人気になるトップライフもこのレースに出走していたわけですが、当時はアリスヴェリテがそのトップライフに先着。走破時計も、同日の古馬2勝クラスで掲示板に載れるレベルで走っていたわけですから、力的には、ここに入っても上位のものがあると断言していいのでしょう。

そうすると、「前2走の敗因は?」となりますが、これはズバリ、自分の形でレースができなかったことに尽きるのではないでしょうか。

つまるところ、ここも展開面が課題となるわけですが、同型のレミージュよりも外の枠を引けたのは好材料ですし、すぐ隣の枠のモズメイメイはスタートが速い馬なので、この馬がレミージュにフタをしてくれたらもっけの幸い。ペースが落ち着いたところで、外からじわっとハナに行き切ってしまえばいいわけですから。

まあ、いろいろと注文が多いタイプの馬ではありますので、ピンかパーか的な要素が多分にあるのですけれど、ここは割り切ってこの馬の一発に賭けてみたいと思っています。


2番手は、①アンリーロード

この馬は、デビュー戦の内容、走破時計が優秀ですし、前走は勝負どころから外を回る苦しい形になったにもかかわらず、及第点以上の時計でキッチリと勝ち切りました。

ここは絶好枠を引けましたので、中団のインあたりでじっくりと脚を溜めることができれば、終いは最内、ないし馬群を割って伸びてくる。そう考えています。


3番手は、⑬コナコースト

この馬の前走は、長期の休み明けで格上挑戦、さらに馬体減での出走かつ外枠と、苦しい条件のオンパレードでしたけど、そんな厳しい条件を克服して2着を確保したレース内容は秀逸だったと思います。

枠はちょっと外過ぎる気もしますが、この鞍上なら必ずどこかで馬の後ろには入れてくれるでしょうから、さらに馬体が減っているようだとちょっと心配ですけど、まともな状態なら、この馬はおそらく大崩れはしないのだろうと見ています。


4番手に、⑧ドゥーラ

この馬は、序盤の位置取りがカギになりそうですけど、終いは確実に脚を使える馬ですからね。本番を見据えて、無理な競馬はしてこないと思いますが、その分、大崩れのリスクも少ないと考えられますので、最後のひと枠はこの馬の底力に期待することとしました。


その他、ダルエスサラームを筆頭とした紅梅S組は、レースレベルが低かったと見て、当時2着だったバースクライを含めバッサリと斬り捨てることにしました。

そのダルエスサラーム比較では、当時、ハナを切れずに苦しい競馬となったアリスヴェリテを除き、つわぶき賞組の面々は全馬消し。マラキナイアとルカンには、「馬券圏内ワンチャンス」くらいはありそうですけど、そこまではさすがに手が回りませんでした。

そして、ペリファーニア。この馬は、ここでも通用していいくらいの素質馬だと思っていますが、キャリア1走で関西への輸送。さらにこの大外枠となると、朝日杯フューチュリティステークスで3着に好走したレイベリングの時ほどの感触はありませんので、ならばここは「来られたらゴメンナサイ!」と割り切ってもいいのかな、と。


いや~、やっぱり明日の2重賞は、マジ難しいっす(笑)

ホント、「当たったらラッキー!」くらいの気楽な感じでちょうどいいのかな、と。

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