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JBCのこと
今日は、昨日開催されたJBCのことについて、さらっとメモを残しておこうと思います。
さて、リピーターの方はよくご存じのとおりだと思いますが、この「本気の競馬力向上研究所」の中では、これまで地方交流競走に関するネタに、いっさい触れてきませんでした。
もちろんそれには理由があるのですけれど、地方交流競走にまったく興味がないとか、レースの価値を軽んじているとか、そんな理由があるわけではありません。そう、普段の中央競馬では絶対に働かない「特殊なバイアス」が作用するからなんですよ。
なので、私がバリバリに馬券を買っていた時代も、さすがにゼロではなかったですけど、地方交流のレースの馬券を買う機会は非常に少なかった記憶があります。もちろん、ネットでレース映像を確認できるようになってからは、中央交流のレースは漏れなくチェックしていましたし、各地方競馬場の馬場のクセやジョッキーの傾向などについても、ちゃんとリサーチはしていましたがね。
そんな背景もあり、私の基準からすると、見どころ解説の前日出しは皆さんに対して無責任だと思っているので基本はやらないのですが、さすがに昨日のJBCについて完全スルーするわけにもいかないので、今日は金沢で行われたGⅠ3競走に関してだけ、特に気づいた点について簡単に触れておこうと思います。
なにはともあれ、注目すべきはジョッキーについてでしょう。今回、ここで取り上げるのは、2勝した川田Jと1勝2着1回の吉原寛Jになります。まあ、当然ですよね。
ただ、この二人のジョッキーを「好成績を挙げた」という理由だけで取り上げるわけではありません。特に注目したいのは、彼らのコース取りの部分になりますね。
吉原寛Jは、もともと地元金沢が誇る腕達者ですから、当たり前と言えばそうなんですけど、スプリントで2着したサンライズノヴァのコース取りは実に見事でした。
普段、馬場の内目の砂が深い金沢では、どのジョッキーも内を開けて走るのが一般的なのですが、だからと言って極端に外々を回したのでは、コースロスが大きくなってしまいます。砂が深いところとさほどでもないところのギリギリのラインを突いて差し込んできたサンライズノヴァは、もっとも効率の良いレースができていたと思いますし、それがあったからこそ、出遅れながらも2着を確保できたという側面は必ずあったと思います。
このあたりの地の利こそが、地方交流競走ならではありますし、ここが前段で触れた「特殊なバイアス」を形成する主要な要素になっていると言ってもいいのでしょう。
一方の川田JはJRA所属のジョッキーですけど、その日、その日のトラックバイアスを読むのが天才的に上手。いろいろ言われることが多いジョッキーではありますが、自分で馬場を歩いたり、前半のレースの映像を確認したりと、私たち競馬ファンの見えないところで地道な準備を重ねているのでしょう。彼にしてみれば、そうした努力を礎にしてじっくりと練り上げた作戦をシンプルに遂行したに過ぎない。おそらく、そういうことなのだろうと思います。
昨日も、勝ったのはともに1番人気馬ではありましたが、ひとたび立ち回りを間違えば、簡単に馬券圏外にふっ飛んでしまう位置にいた2頭でもありましたから、結果を振り返ってみても、彼のコース取りのうまさは、ひと際目立っていましたね。
また、ちょっと視点を変えると、人気馬を2レース続けて飛ばす結果になった松山Jの逆噴射ぶりが目立っていた分、余計に川田Jのしたたかさばかりが目立つ結果になりました。
中央競馬で戦っている上では、この二人のジョッキーに大きな力差を感じる場面はほとんどありませんし、むしろ松山Jのほうが安心して観ていられる部分があったりもします。なのに舞台が金沢に変わった途端、はっきりと二人に明暗が分かれてしまうのですから、これもまた「特殊なバイアス」であると言えば、きっとそうなんだろうと思います。
つまり、今、ここで書いたそんなこんなが、地方交流競走に関する見どころ解説を事前にアップしない主な理由、そう理解してもらえたらと思います。
テオレーマのコース取りを見てからなら、レッドルゼルのコース取りを読んでレースをシミュレーションすることができるけれど、それを前日にやれと言われたら、絶対にムリなんですよ。
その時々の状況に順応させながら臨機応変に馬券を買うことも、立派な馬券戦術のひとつですから、地方交流競走で積極的に馬券を買いたいという方には、こうした「特殊なバイアス」にほかの競馬ファンより先に気づける鋭い観察眼が必要になってくるということ。そこのところを意識してもらえたら、JBCのようなレースでの収支は右肩上がりになっていくのだろうと思います。是非、ご参考にしていただければ。
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