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有馬記念の回顧


今年最後の大一番、グランプリ有馬記念を制したのは、春のグランプリの覇者クロノジェネシスでした。

それでは早速、レースを振り返っていくことにしましょう。


まず、中山競馬場の馬場ですが、午前中から予想以上に内ラチ沿いで粘る馬が多く、ジョッキーたちも、ややコース取りが中途半端になった部分もあったと思います。実際、フィエールマンのルメールJなんかは、滅多に見ないしくじり方をしていましたし、カレンブーケドールの池添Jも、らしくない中途半端な騎乗になっていましたしね。

レース序盤は、最内枠から果敢に逃げたバビットが、12秒台のラップを淡々と刻んでいき、向正面から徐々にペースを引き上げていく流れ。キセキが出遅れて単騎逃げになった時点で、だいたいこんなペースになるだろうなと想像したとおりの推移になっていました。

バビット自身が、肉を斬らせて骨を断つような展開に持ち込んだことによって、終始、外々を回った馬にはかなり厳しい展開になっていたと思います。


勝ったクロノジェネシスは、3コーナーの手前まで前に馬を置いて、スムーズに追走することができていました。ペースが上がったところを外を回って勝ちに行ったこの馬自身も、結構キツイ競馬になっていたとは思いますが、序盤の貯金が最後の追い比べでモノを言った感じはありましたね。見た目は辛勝でしたけど、その印象以上に強い内容だったと言っていいのではないでしょうか。

2着のサラキアは、クロノジェネシスのマクリを最大限に生かせた格好にはなりましたが、それでも、最後まで脚色が衰えることなくフィエールマンを交わし切ったのは素晴らしいパフォーマンスだったと思います。北村友Jから乗り替わった松山Jのエスコートも完璧でしたし、夏以降の勢いを、ここでも存分に見せつけることができたと言えるでしょう。

3着のフィエールマンは、中途半端な惜しい競馬になってしまいましたね。出遅れて前半に脚を使ったことが最後の最後で堪えた印象もありますし、道中で、終始、前に馬を置けなかったことも、脚が溜まらなかったひとつの原因にはなっているでしょう。まあ、今回は、上手の手から水が漏ってしまった感もあって、負けて強しと言える内容だったことは間違いありません。

4着ラッキーライラックは、福永Jの完璧な立ち回りで、現状の力は出し切れたと思います。

5着同着のカレンブーケドールは、終始外々を回る横綱相撲で勝ち切るまでの力はなかったということでしょう。見た目的には、やや物足りないレースになってしまった感もありますが、ラップ的にかなり厳しいレースになっていたことも事実。ギリギリでも掲示板を確保したことをもって、最低限のパフォーマンスは見せられたと評価できるのかもしれません。

同じく5着同着のワールドプレミアは、現状の力では、ここまでが精いっぱいでしょう。直線で前が壁になるシーンもありましたが、それほど致命的な不利ではありませんでしたし、やっぱり、超一流のメンバーに入ると、掲示板がギリギリぐらいのポテンシャルしか持ち得ていないのだと思います。

競争中止となってしまったブラストワンピースは、心房細動を発症したようですね。パドックでも、まだ覇気が戻っていない印象もありましたから、やはり状態面が元には戻っていなかったのでしょう。


総括すると、時計面ではやや物足りないところもありましたし、力を出し切れなかった馬が少なくなかったこともあったので、さすがに大興奮のレースとまでは言えなかった印象でしょうか。

ただその中でも、クロノジェネシスが横綱相撲で勝ち切るレースになったことは良かったなと。いくら何でもありの有馬記念といえども、やっぱり強い馬がしっかりと勝ち切るのが理想ではありますからね。

見どころ解説的に言えば、サラキアの評価をちょっと間違えてしまったなという反省もありつつ、人気馬の力関係を見誤ることがなかったのは最低限よかったなと。さすがに2日続けての大ヒットとはいきませんでしたが、その点はご容赦いただけるとありがたいなと思っています。

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