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中村憲剛選手の引き際に思うこと

ただ、ただ、寂しい。

まだまだやれる。
だからこそ、今なのだろう。
ご本人が決めたことだから、周りがとやかく言うことではないのだけど。
フロンターレを愛し、中村憲剛という選手を応援してきた人間の1人として、「まだまだ見ていたかった」というのが本心だ。

そもそも、フロンターレは中村憲剛と一緒にここまで来たチームだ。
今年はコロナ禍の超過密日程にも関わらず、他を寄せつけない破竹の勢いで勝ち通している。そんな最強チームになったのも、中村憲剛という存在が18年間このチームを引っ張り続けてきたからだ。

私はフロンターレというチームの、超攻撃的サッカーが大好きだし、たまに気の抜けるよう負け方をする所も、「ツメが甘いんだからー!」と笑いながら言えてしまうような、愛おしさすら感じる。
サポーターがとても温かくてほとんどブーイングをしない所も、家族連れや年配の人でも安心して観戦できるスタジアムの雰囲気も、フロント側のユーモア溢れるイベントも、マスコット達がわちゃわちゃしてる所も、全部が大好きだ。

フロンターレがそんな愛に溢れたクラブになったのは、中村憲剛という絶対的なアイコンがあったからだ。
彼はピッチの内外でクラブの象徴だった。
誠実にサッカーと向き合い、人と向き合い、その姿勢は周りの選手やフロント、サポーター、全ての人の見本となり、影響を与え続けた。
試合中、苦しい展開の時でも、彼は「まだいける。だから、もっと声援を!」というように、声が小さくなったサポーターたちを煽っていた。
彼だけはいつも諦めなかった。諦めない姿勢を示し続けていた。
それは、選手生命に関わる大怪我をした時も変わらなかった。
彼はたくさんの人に勇気を与え続けた。
それはまるで、地球を暖め続ける太陽のようだった。

そんな太陽の暖かさは、新しい若い芽を育てたし、フロンターレというチームの土壌を豊かにした。
だから、太陽が常にそこにあるように、中村憲剛という人も、このチームにあり続けるのだと思っていた。
彼がチームからいなくなることを、想像しなかった。

だけど、その時が来たのだ。

ちょっと猫背な姿勢から繰り出される魔法みたいなパス。
幾度もチームを救ったあの輝きが、ピッチの中から消える。
唯一無二の輝きが。

けれど、彼の残した輝きはクラブや私達の真ん中に、永遠に残り続ける。
彼が作り上げたものは、きっとこれからも受け継がれていく。
誠実に向き合うこと、諦めないこと、それが次に繋がっていく。
素晴らしい日々をありがとう。

サッカーに、中村憲剛という選手に、出逢えた幸せに、心からの感謝を。
第2の人生も輝きに満ちたものでありますように。

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