見出し画像

格安ネット通販自転車の、ここがダメだ

皆様、こんにちは!!
ラッコ店長です。

画像引用 Amazon.co.jp

格安自転車

辛辣な記事を書きます。
自転車店にいると、こういう商品を売っていいの!?と思うことがあります。
今回は、インターネット等で購入できる、格安の自転車について記します。

本稿でいう、「格安」とは配送料も含めて¥25,000以下で購入できる車体、と定義します。

配送コスト

まず、送料を含めて¥25,000以下、というお値段は驚異的です。

そもそも、自転車の配送は専用の箱、輸送手段が必要で、通常の荷物より遥かにコストがかかります。
どれだけ節約しても¥5,000-¥10,000は費用がかかるでしょう。
これ以下で、ということになれば、荷物を粗雑に扱う、低賃金で配送スタッフさんを働かせる、といった無理をする必要があるでしょう。

そういうわけで、車体にかけられるコストは最大で¥20,000、ということになります。

材料費、パーツ代をケチる

低コストにするためには、まず、材料費、パーツ代をケチることです。
ここで、「ケチ」る、いう下品な言葉を使いましたが、良心的な自転車メーカーであれば採用しないような、低品質なパーツをかき集める、ということです。
すぐに摩耗、折れる、錆びるといった症状に悩まされることになります。

人件費をケチる

次に、現代の工業製品でコストがかかるのは、人件費です。
この人件費を徹底的にケチるのです。
具体的には、組み立てを適当に、粗雑に、手抜きします。
経験のある自転車整備工さんを使うと人件費が馬鹿になりません。
そこで、経験の浅い、あるいは素人同然の人に組み上げさせます。

その結果、およそ自転車と言えないような品質、安全度の自転車が量産されるのです。

安全確認、組み上げコストをケチる

さらに、車体も経験のある整備工に完成車状態まで仕上げて、安全確認をさせていると、人件費がもったいないです。
また、完成車では車体サイズが大きくなって輸送コストが増してしまいます。
そこで、購入者に組み立てさせ、自己責任という責任転嫁ができるようにしてあるのです。

これが実に凶悪です。
多くの方は自転車の組み立ての経験は無いでしょう。

自己責任という名の、強烈な地雷

付属してきたネジを適当に組み上げるだけでは不十分です。
ネジには適切なトルク、というものがあります。
残念ながら、アマチュアの方は、このトルクが足りないことがほとんどです。
緩すぎるのです。
また、極稀に、強すぎる、オーバートルクという方もいます。
これまた、ネジ、車体を壊します。

さらに、車体をコンパクトにさせるために、ハンドルバーの取付を購入者にさせる車体がほとんどです。
このハンドルバーも取付はそれなりに難しいです。
当店でよく見るのは、ハンドルバーを反対に、逆さまに装着してある車体です。
ある程度の経験がある人であれば、すぐに、ん!?となるものですが、それが分からない方も多いのです。
ハンドルバーを強引に反対、逆さまに取り付けた場合、何が起きると思いますか。

ワイヤーのルーティングが通常ではあり得ない経路になるため、内部でワイヤーが常にひかれている状態になります。
ブレーキがかかっている、という状態になります。

さらに不運が重なると、ブレーキがほんの少しかかっているだけで、なんとか走れてしまう、という車体もあります。
この場合、ハンドルバーを左右に切ると、限界を超えたワイヤーが一気にブレーキを作動させ、フロントホイールをロックさせることになります。

よろしいですか。
ハンドルバーをきっただけで、フロントホイールがロックしたときの恐怖は、例えようがないでしょう。
速度が低ければ良くて転倒、下り坂などで速度が出ていたのであれば、前方に放り出されて、何が起きたかわからないまま、アスファルトに叩きつけられるでしょう。
そして、高い確率で後続車、対向車にはねられます。

あゝ無情。
少し自転車代を節約!?しただけでこの仕打ち。
人間界のなんと酷なことでありましょう。

ブレーキの調整がひどい、という自転車もザラにあります。
ブレーキの取付け、シューの位置が誤っているのです。
まともに制動できず、極めて危険な自転車といえましょう。

結論

ハンドルバー、ブレーキはあくまでも一例で、格安ネット通販自転車には、このような危険が多々潜んでいます。
どのようなお買い物をなさるかは、それぞれの方の自由でありますから、私があれこれと指導めいたことを申し上げるのは、おこがましいというものです。

しかし、店頭で販売されている商品よりも、合理的に判断して遥かにお安い値段の商品は、何らかの理由があってその値段になっているのだ、と考えるべきです。
格安自転車の場合は、安全上、本来必要な品質、耐久度、経験のある人間の整備といったコストを削っているため、表面上はお安く見えるのです。

店頭で業務していると、「ネットで買った自転車なのですが」という方がたくさんおいでになります。
拝見をお断りすることはありませんが、そもそもの組み上げ品質、車体パーツの品質が極めて低いため、安全に乗れる(と専門家が判断する)基準にするまでに、¥5,000-¥20,000といったコストがかかります。
そんなに修理費がかかるの!?とびっくりなさる方もいますが、それがこの日本の人件費というものです。

ご購入になったその日にお持ち込まれた車体に対して、すぐにでも廃車にしたほうが安全ですよ、と申し上げたこともあります。

いずれにせよ、安いものには理由がある、ということです。

本日はこのあたりで宜しいと存じます。
それでは、皆様、次回お会いするときまで、ごきげんようです!!
以上、ラッコ店長こと、奈須野でした。

いいなと思ったら応援しよう!