ロードバイクが恐ろしいほど売れない / しかし自転車は大好きな自分 / 新規出店の方針
皆様、こんにちは!!
ラッコ店長です。 本稿は自転車業界の今、将来について、愚にもつかないことを書き連ねたものです。
恐ろしいほど売れない
ラッコ店長が2025年1月現在、勤めている自転車店は、東京都新宿区にありますが、ロードバイクが恐ろしいほど売れません。
自転車業界に入って10年近く、これほどロードバイクが売れない時期はありませんでした。
都内を見ておりましても、Bianchiさん、TREKさん、Cannondaleさんなど、閉店、撤退ラッシュです。
何事も盛り上がりがあれば、盛り下がりもあるわけでして、今はその下降期に来ているのでしょう。
そもそも売れていない地域だらけ
しかし、日本全国を走っておりますと、そもそもロードバイクブーム、なるものが都市部の、ごく限られエリアだけでしか起こっていなかった、ということがよく分かります。
東北、日本海側、四国南部、九州南部など、500km走ってもロードバイク1台ともすれ違わない、ということなど、しょっちゅうでありました。
先日は東北の三陸沿いを800km走って、ただの1台もロードバイクを拝見しなかったことがありました。
この日本で、ロードバイクが散見されるのは
北海道であれば札幌市周辺、宗谷岬、納沙布岬などの極地周辺
東北であれば、唯一、仙台市中心部
関東であれば、東京都、神奈川県南部、千葉県南部
近畿であれば琵琶湖周辺、京都市、大阪市
四国であれば、ぎりぎり松山市、高松市周辺
九州であれば福岡市周辺 だけです。
お分かり頂けるでしょうか。
露骨に大都市部、その地域の中核都市にしかロードバイク乗りは棲息していません。
ロードバイクが都市部で流行る理由
長いこと、私は不思議に思っておりました。
都市部は信号だらけ、車だらけで、全くといっていいほどロードバイクでは 走りにくいのに、なにゆえ都市部にしかロードバイク乗りが棲息していないのかと。
私の勝手な推測では、昨今のロードバイクブームというものが、ロードバイクに乗って走るためではなく、それ以外の要因で過熱したからです。
ロードバイクは乗り物でありますが、走る以外の目的とは何でしょうか。
1つは、見せびらかすためです。
ロードバイクが高価なものである、最近流行っているという共通認識ができあがれば、そのロードバイクを所有している、乗っているということで自己の資力の高さ、流行に敏感であるというセンスの高さを誇示できるからです。
そして、見せびらかすためには、見てくれる人がいなければ意味がありません。
都市部、都内であれば街行く人、すれ違うロードバイク乗りも多くなります。
たくさんの人々に見せつけて、自己の偉大さを誇示したい、そういう欲求が、都市部でのロードバイクブームを支えていると推察します。
2つ目はロードバイクに限りませんが、健康志向ブームです。
健康に気を使っている、こんなに頑張っている、ということを周囲にアピールすることが重要なのです。
これまた全国を走っておりますと、マラソンブーム、ウォーキングブームというのは、明らかに都市部中心の流行であることが分かります。
都心部であれば、深夜0時でも、マラソンをしている人がちらほらおります。
しかし、地方では、このような光景は皆無でしょう。
頑張っていることを見せびらかすためのツールとして、ロードバイクが選択されている、と推察します。
このように、ロードバイクは見せびらかすためのアイテムでありますから、そもそも都市部は走りづらいいった問題は些末(さまつ)なことなのです。
3つ目の理由として、高価なロードバイクを購入、維持するためには、それなりに費用がかかります。
ロードバイクは必ずしも生活必需品ではありませんから、生活必需品以外のものに支出する余力、露骨に言えば可処分所得の高い人間が多い地域、つまり都市部にロードバイク乗りが棲息するのです。
ブームの終焉
ブームの終焉を迎えた理由は、都市部でのロードバイクの目新しさが減った、ロードバイクに乗っているというだけでは威張れなくなってきた、ということが大きいでしょう。
また、SHIMANOさん含め、業界全体が推し進めている高機能、高性能化が、自転車屋さんであるラッコ店長にすら、過剰では!?と思える領域になっていて、車体価格がうなぎのぼりになっていることも影響しているでしょう。
(フル内装化、Di2化が当然という風潮)
さらに歴史的な円安も追い打ちをかけました。
(ロードバイクはほぼすべての部品、アイテムが海外輸入品であるため、国内価格は為替変動の影響を強く受けます)
入門用として、最低限の性能、耐久度を備えたロードバイクが2025年は¥200,000から、という世界になっています。
街なかで威張れる!?ロードバイクは2025年であれば、最低でも¥500,000以上という感じでしょうか。
これでは、さすがに都市部の人間であっても、購入をためらってしまう領域に来ている、と推察します。
新しいブーム
しかし、都市部でのブームというのは、何度も繰り返すものですから、ロードバイク以外のアイテム、車体で威張れるようにして、価格も今よりはお安く、扱いやすい車体であれば、新たなブームを巻き起こすことができるかもしれません。
このようなニーズにヒットしたのが、20x4.0インチといった極太タイヤを履いた電動自転車でしょう。
違法な車体も多いため、風当たりが強い車種でありますが、ロードバイクの次を支える(あるいは支えた)車種でありました。
しかし、一部の男性にしかヒットしない外観で、ロードバイクほどのうねりとはならなかったと推察します。
北米、欧州では、e-bike、つまり電動のスポーツバイクを熱心に推しています。
これがロードバイク業界、最後のフロンティアとでもいいましょうか、成長の余地がある領域でしょう。
高価なので威張れますし、まだ物珍しいです。
ヒルクライムで圧倒的に楽であるため、ご高齢の方でも安心、可処分所得の高い層に食い込むことが可能です。
素晴らしい。
それほど悲観することもない
とはいえ、長期的な視野で見てみますと、ラッコ店長が少年の頃に比べれば、自転車、ロードバイクというものは、物凄く裾野が広がりました。
ロードバイク乗りに出会うことは少ないものの、地方でもサイクルラックが置かれていたり、サイクリングロードが(表面上だけでも)明記されていたりと、日本全土を巨視的に俯瞰すれば、この国は長期の自転車ブームにある、と思われます。
ラッコ店長は中学生のころからスポーツバイクに乗っておりましたが、流行っているか流行っていないか、などというのはどうでも良いことです。
自転車で移動、旅行することが好きであるため、昨今のロードバイクブームで激増した、ブランドやうんちくを披瀝する方々に辟易しているくらいでありました。
今後の展開
もっとも、新しく自転車店を開業するにあたって、世の中の動き、需要を推察することは重要です。
今後の展開として勝手に妄想しているのは、
都市部のロードバイク専業店はほとんど壊滅する(それほど悲観的でもなく、20年くらい前の状態に戻るだけです)
ごく一部の高級店、マニア店がほそぼそと営業する ロードバイクを欲しがるのはマニア、オタク層だけになり、車体を購入するため、地方に住んでいるマニアは、わざわざ都市部の店舗で購入せざるを得なくなる
しかし、乗っていると車体は摩耗、壊れていくものであるから、メンテナンスが必要になる 修理するために都市部に車体を持っていくことが不可能、困難で、困り果てる人が山積みになる
ここだ!! ここに商機がありそうですね。
都市部周辺の中型都市に、販売は諦めて、修理中心のスポーツバイク店を開けば良い。 距離は都市部の周辺40kmくらいと勝手に推察します。
しかし、スポーツバイクの修理はそれほど件数も無いし、利益率もそれほど高くない(作業の難易度が高く、高価な工具を使うにもかかわらず、法外な料金を請求しづらいため)ので、ママチャリ修理も兼ねていくのが良いでしょう。
いや、本音を言えばママチャリ修理が利益の源泉で、スポーツバイクの修理はおまけ、という感じになるでしょう。
ラッコ店長が目指す新店舗の未来図が見えてきました。
スポーツバイクの修理はする。
周囲にスポーツバイクを修理できるお店がない場合、作業費は割高に設定させてもう
(工具の減価償却費だけでもママチャリより遥かに割高にせざるを得ない)
ロードバイクは店頭には置かない(置いても無駄。売れない)
北海道で開店するのであれば、ツーリング車体が売れるのか実験をしてみたい (しかし、これも売れないか。北海道を走る旅行者はほとんど北海道外から集まってきた人たちばかりで、北海道で車体を用意する人は少ないでしょう)。
ママチャリの修理をメインにする。
修理がメインであるため、店舗面積はそれほど広くなくて良い。
店舗にアイテムを並べて売れる時代は終わりました。
(アイテム販売で、Amazonにはどのようにしても勝つことはできません。) 勝機がぎりぎりあるのは、通販を禁じている対面販売限定のアイテム類くらい。
しかしこれも、同種のアイテムがAmazonで安価に、膨大な数が存在するため、競争力は強くありません。
うむうむ。
とりとめも無く、あれこれと書き連ねました。
本日はこのあたりで宜しいと存じます。
それでは、皆様、次回お会いするときまで、ごきげんようです!!
以上、ラッコ店長こと、奈須野でした。