#120 企画部門はアンヘルプフル・ヘルプな仕事に用心する【2/2】24/3/25
みなさん、こんにちは。
前回に続き、自分たちが取り組んでいる活動が、本当に必要な人に届いているか、を考えてみます。
前回のおさらいです。
人事部門をはじめ、間接貢献部門は、法改正対応など全社視点でやらなくてはならない場合や、事業推進の企画部門から、事業全体や時間軸をやや長くとってメタ認知してみると、「今、これに手を打ち始めたほうがよい」と感じることが多々あります。
一方、事業責任者をはじめ、人は「ものごとが上手くいっているときには、人は変えたがらない」だと考えます。
その中で合意形成していくには、第1段階に、間接部門が問題だ、と感じていることを共有し、問題だと思ってもらう、前提条件を揃えることです。
さて、今日は第2段階のステップからです。
それは、前提条件をそろえた上で、論理的に納得してもらうことです。
いわゆる問題解決のフレームワークを使うなどして、まず論理的に、理解と共感を得ていくことが必要と考えます。
なぜなら、企業のトップは別として、事業責任者層でいうと、ビジネス左脳が強く、合理的な人が多い特徴があると考えます。ですから、まず合理的に、論理的に、理屈が理解でき、自分たちの事業成長に「確かに」必要と、アタマで理解してもらうことがまず先に来ます。
なお、それが良い悪いではなく、相手の傾向が左脳型、ビジネス・アタマがよい人が多いから、この戦略を取ります。
戻りまして、問題解決のフレームワークです。
AsIs-ToBeを示し、そのギャップが問題です。そのギャップ≒レイヤー1の問題から、それはさらになぜ問題か、問題定義をします。
それを解消・解決するための課題化が課題設定であり、具体の課題解決策になります。
これを、ファクトとロジック、そしてシンプルな言葉にして情報整理することです。そうでないと、合理的な事業責任者たちには、理解を得られないからです。
なお、ToBeを設定すること自体が、企画部門スタッフには結構な障壁であることも事実です。事業責任者がToBeを明確に持っていれば楽なのですが、企画部門からネタを提案する際は、やはり自分たちが事業を理解し、ToBeにこれが必要だよね、実現したいよね、と「この指とまれ」を事業責任者に共感してもらうことが求められます。
ここで、何回か手戻りが発生することが多いと考えます。わたし自身も、事業企画、営業企画、人事・採用とミドルスタッフ部門を長く経験していますが、スムーズに進んだ経験は、ほとんどありません。
これを超えるのと並行して、あるいはその前でも構いませんが、第3段階です。
これは、その事業あるいは企業単位でいえばトップ、事業部制なら管掌役員や事業部長、会社でいえば社長や取締役レベルと、取り組みについて合意しておくことです。
トップオブトップとは、全体の合意形成プロセスとは別軸で、1対1(部門)の関係で、握っておく、共犯関係をつくっておくことです。
そうすると、各ラインの事業責任者層との合意形成プロセスで、当事者としてあるいは企画部門の支援者として、その企画や主張を後押ししてくれる強力な協力者として立ち回ってくれます。
もとより、トップとその企画内容を握り、共犯関係を作っておかなければ、まったくその企画は進みませんから、当然のことと言えば当然です。
ですが、適切にトップとその合意プロセスを経ている企画部門もまた実はそんなに多くない印象です。
これは、俗にいう根回し、です。
根回しというと一昔前の方法で、正統的でないと誤解を受けている意見も見られますが、私はそうは思いません。
コンセンサス・ビルティングを、真のトップリーダーと事前にしておくことは、企画部門としての必須スキルであり、必須プロセスだと考えます。
以上が、第2段階、第3段階のステップです。
第2段階は、事業責任者層に、問題解決フレームワークを使いなどして論理的に合意してもらうこと、です。
そして第3段階、もしくは第2と並行または事前に、トップリーダー(事業管掌役員や事業部長、会社なら社長や取締役)と、握り、共犯関係を作る、コンセンサスビルディングを築いておくこと、です。
そうでないと、企画部門を主語にした取り組みになりかねません。
事業部門にとって、必要とされていない、アンヘルプフル・ヘルプになってしまうからです。
さて、企画部門のみなさんは、アンヘルプフル・ヘルプに陥らない仕組みをどのように整えていらっしゃいますか。
それではまた。