海外でエンジニアとして転職を成功させるためにやったこと、すべて
カナダのバンクーバーでエンジニアとして内定をGETすることに成功したので、就活に関してやったことをまとめました。
(就活の振り返りを音声で聞きたい方はポッドキャスト(ITトリオ)の方もどうぞ!)
その前に: 古い情報に気をつけろ
ネットを検索すると数年前のブログ記事がヒットしますが、それが1年以上前なら鵜呑みにせず、参考程度に留めておくのが良さそうです。
2024年6-9月の就活事情は1年前と比べてもだいぶ事情が違い、2023年冬の市場が悪くなる以前とはかなり就活の難易度が違いました。
先人の知恵や経験談に感謝しつつも、参考程度に留めておいて自分の力でリアルタイムの情報を収集することが大事だと思います。
内定をGETするまでの応募数と実績
日本でのITエンジニア経歴: 5年
2023年12月末にカナダに渡航
2024年6月~9月で本格的に応募。総数は100くらい
2024年4月-6月前半: 様子見がてら適当なレジュメで10-20件程度
6月後半: 5件
7月: 26件
8月: 31件
9月: 16件
合計: ちゃんと対策した応募78件+適当10-20件 = およそ100件
対象にした求人はFrontEnd, FullStack (JavaScript系), React Nativeが職務に含まれるIntermediate~Senior
書類が通ったのはリファラル合わせて9通ほど。周りの話を聞くと結構通過率高い方です
2024年9月末にオファーをもらい、10月から働き始めた
働けるビザの確保
そもそも働ける状態にないと企業は雇ってくれません。
自分はカナダのカレッジ(日本で言う専門学校的なもの)を利用することで1年半、
それにワーホリを足すことで合計2年半の働ける状態を確保していました。
企業との面接では毎回ビザの状態を聞かれるのですが、これくらいの期間があると特に問題にはなりませんでした。
一応、企業がスポンサーをすることで就業ビザを獲得できる仕組みもありますが、企業の手間が増えることは間違いないのでよっぽど大企業か景気が良い時以外は当てにしない方がよさそうです。
ビザの状況は常に変化するので、自分で多少の情報収集はしつつもプロに相談するのが安心だと思います。
北米圏でエンジニア・デザイナーとして働くことに興味がある人は、とりあえずFrogに相談しましょう!
変に海外就職を煽らず現実的なプランを一緒に考えてくれるので、かなり信頼できます。
各種プロフィールの整備
北米での就活やネットワーキングはLinkedInのアカウントがないと話になりませんでした。
アカウントを作るだけではなく、LinkedInのプロフィールを充実させて、
「いい感じの人」
に見えるよう整備しました。
人事の人が0.5秒見ただけでも良い印象を残したかったので、写真や綺麗にしたアプリのデザインなど、パッと見で見栄えが良い投稿などを心がけました。
GitHub
書類通過に効果があったかは正直不明ですが、GitHubのREADMEを綺麗にしてみました。
少なくともミートアップや面接中に話が盛り上がるきっかけにはなりました。
ポートフォリオサイトの作成
自分はジュニアではないのであまり見られないかなと思ったのですが、とりあえず作っておきました。
一応ただのポートフォリオサイトと差別化を図るために、実際に運用しているサービスについては体裁を整えてストーリーを書いておきました。
あんまり効果は実感してないのですが、書類通過した会社の面接で1回だけ個人開発を褒められたことがあったので、無駄ではなかったと思います。
ミートアップの参加
リファラルを求めて行くとあまり成果がなかったですが、
就活全般の情報収集
ネットワーキング(LinkedInの繋がりを増やす
英語の練習
といった諸々の観点でかなり有用でした。
数えたら9月までで大体15回くらい行ってるようです。
1回登壇もしました。
最近のバンクーバーは毎週Tech系イベントが開催されているので、非常にありがたいです。
初めの方はLumaやmeetupでイベントを探しました。
何回か参加すると良い団体が見つかるので、その後は団体ごとにイベントを探すようになりました。
ちなみに、コミュニティのSlackやDiscordでたまに求人が公開されてたりもします。
レジュメ(履歴書)の作成
ATS Friendlyなレジュメを作成しました。
ATS対策サービスが公開しているテンプレートが豊富にあったので、それを使ってGoogle Docsで作り始めました。
ある程度完成させてから、何人かにレビューもしてもらいました。
自分はFrogのコミュニティで仲良く慣れたマブダチsに1回、ミートアップで知り合った人に1回、その他数回見てもらいました。
人によって気になる部分は変わってくるので、複数人にレビューしてもらうことで自分のレジュメを客観的な評価が分かってよかったです。
※ここで作成したレジュメはあくまで最適化する前の原型で、実際に応募するときにはそれぞれのJob Descriptionに最適化してから応募していました。(後述
職探し・応募
LinkedInを使ってとにかく数をこなしました。
が、見つけたものに全て応募するわけではなく、自分の経歴とスキルがフィットするポジションで、ATS対策が一定できそうなものに絞って応募していました。
レジュメの最適化
応募の際は必ずレジュメの最適化(ATS対策)を行いました。
JobScanというサービスの有料プランに課金し、そのスコアが大体60点以上、最低でも50点にはなるようレジュメの中身を変更していました。
具体的には
レジュメとJob descriptionをスキャン
単語の調整や経歴の入れ替え
点数がよくなるまで繰り返し
という具合です。
細かな単語の違い(React → React.js / backend → back-end)などもJob descriptionに合わせて修正しました。
全然楽しくなかったです。
最初は1つのレジュメの最適化に2時間以上かかりましたが、だんだんコツがわかって最終的には40-60分くらいで済むようになったと思います。
量をこなすとよく出てくる単語やよく使う文章が分かってきたので、会社ごとの経歴やアピールポイントはスプレッドシートで管理するようにして、コピペで済むよう効率化を図ったりしました。
どの程度最適化した方がいいのか
最初はATS対策ツールで80%以上を目指してましたが、やっていくうちに
ツールが推奨する単語には意味なさそうなものもチラホラ含まれている
1ページ以内80点以上を目指すと情報0、内容0のわけわからないレジュメができあがってしまう
ということが分かり、高得点を目指す意味がなさそうと感じて辞めました。
前述した通り、最終的には60%前後を目安に最適化を行いました。
また、最適化の点数に関係なくとも、その職種に関係のない技術やライブラリについての記述は削除していました。
最適化はあくまで最初のハードルです。
その次は生きている人間がレジュメを見ることになります。
人事の人は一瞬しかレジュメを見ないことも多いと聞いたので、不要な情報はなるべく消して、そのポジションに関係するアピールポイントが目に留まるように心がけました。
LinkedInの投稿でレジュメ最適化について調べてみると、人事の人の視線誘導まで考えてレジュメを作る例も見ましたが、自分はそこまで本気出せませんでした。
LinkedInの職探し、裏技?
自分のポッドキャストでも度々話しているのですが、
ポジションがオープンしてから数時間以内に応募できると書類通過率が上がる気がしています。
特に効果があるのは小さめの企業だけっぽいですが、
最初の応募になればなるほどレジュメを見てもらいやすい
数時間で応募を締め切る会社がある
という事情がありそうです。
自分の場合、結果的に書類通過した応募の半分くらいはこれに当てはまりそうなケースでした。
数時間以内に応募しようとするとLinkedInの通知などは遅すぎるので、1-2時間に1回は自分で検索するようにしていました。
具体的には
LinkedInでJobを検索
フィルターで24時間以内、並び替えをrecent順にする
1-2時間ごとに調べる。LinkedInの検索は精度が悪いが、関係ないものは✖︎で消しておくと2回目以降見る時に邪魔な情報が入ってこなくて良い
こうして全ての求人をチェックして、自分のレジュメがひっかかる確率高そうなものだけATS対策をしてなるべく早く応募
という感じです。
この方法はわりと効果を感じたのですが、根気がいるのと単純に疲れるので、毎日はできませんでした。
大体月曜~木曜で行って、それ以外はゆるく探す感じで無理しない程度に頑張りました。
カバーレターやビデオ作成など
カバーレターを見る人事は少数派と聞いたので、ほぼ書いていませんでしたが、9月の最後の方は自分の経歴がめちゃくちゃ刺りそうな場合のみ作成して、レジュメと同じPDFファイルに含めて応募したりしました。
なんとなく、スタートアップで自分の経歴や個人の活動が刺さる場合は書いた方が良さそうな気がしています。
カバーレターを見る人はスタートアップの人が多いのかなと(根拠なし)。
自分はカバーレターで個人開発の実績やスタートアップで働いた経験を画像付きでアピールしてました。
また、最近になってビデオを作ると良いかもしれない、という情報を見たのと、自己紹介ビデオが必須な求人をみたので動画も作って送り始めたところでした。
ビデオを送った応募は2通中1通通りましたが、実験数が少なくて有効性は定かではありません。
差をつけるためにビデオの編集をしてYoutubeっぽくした上で送りましたが、時間かかりすぎるのでコスパは良くないかもしれません。
面接準備
全体的な対策
面接の準備はほぼ Technical Interview Handbook を1参考にして行いました。
よくある Behavioral Interview の質問、LeetCodeで押さえておくべきアルゴリズムなど、とりあえず全部書いてあります。
必要な対策の全体像を把握できたので、非常にありがたかったです。
特に、 The 30 most common Software Engineer behavioral interview questions に対して自分が語れることを整理したりしてました。
各社ごとの対策
各社ごとの面接の前には、面接官や会社のことを事前に調べ、面接で聞かれそうなことや自分の経験と紐づいてアピールできそうなことなど、事前に整理しておきました。
こちらから会社側にする質問も事前に考えておきました。
(ほぼここから選んだ)
コーディングテスト・Technical Interview対策
LeetCodeの勉強を少しやったのですが、結局自分は1回も遭遇しませんでした。
自分が出会ったのは
面接の場でReactの簡単な実装とその説明をする形式
HTML/CSS/Vanilla JSを使ってのWebページの実装、
1週間の期間で実務に近い内容を実装する課題
などでした。
振り返ると自分はレジュメ関連の作業やBehaviorol Interviews の対策で手一杯で、正直コーディングテストや技術面接の対策はあまりできていません。
なので、実務から遠い実装や質問についてはうまく答えられず、大体落ちました。
今後のためにもその辺りの勉強を Great FrontEnd で始めたですが、落ちた面接でうまく答えられなかった質問などは大体ここにのってました。ちょい後悔。
ちなみに大きい会社だとLeetCode形式やシステムデザインインタビューも多いようなので、そのあたりも順を追ってきちんと勉強するつもりです。
面接後にはメモを残しておく
また、面接が終わったらその内容や感想を必ずメモに残しておきました。
とりあえずメモを残しておくと、
次のステップの面接で内容を思い出せる
自分の面接の改善点を振り返ることができる
ので、おすすめです。
とくに面接から次の面接までの期間が空くことがあるので、自分の記憶をあまり信用せずに忘れる前提で書いておくことで後からかなり役立ちました。
英語
当然ですが、英語力がないと話になりません。
ただ同時に、「英語が分からなくてもなんとかする力」が大事だと感じました。
もちろん英語の勉強はコツコツ続けるのですが、ちょっと海外に住んで勉強したくらいで全てを完璧に理解するのは無理です。
自分はリスニングが特に弱いので、聞き取れなかった時にうまく聞き直すことや、文脈から意味を読み取れるよう心がけていました。
またマインド面でよく聞く話ですが、相手の言うことが理解できなくてもイチイチ落ち込む必要はないです。
なんならミートアップに参加してみると、他の国から来た人もよく聞き返しているし、それが普通のことです。
最初の方は自分の英語力不足で落ち込むことも多々ありましたが、
「いや、あんたの発音が特殊で早口なので自分は何も悪く無いが?」
くらいのマインドを目指してちょうど良い塩梅になった気がします。
自分の英語力ですが、カナダに渡航して3週間くらいでモックインタビューをしてもらった時点でこんな感じでした。
ちなみに最近はシャドテンを使ってシャドーイングしているのですが結構効果を感じています。
友達紹介リンクあるので、シャドテン気になる方はぜひお声がけください!
日本で身につけた常識とプライドを捨てる(捨てきれない
もちろん人によりますが、日本でそこそこ良い会社にITエンジニアとして勤めると、転職が非常に簡単です。
正直、転職で苦労しない人も多いと思います。
転職サイトに登録すれば企業から勝手にDMが来るし、Xなどでスカウトメールもよく来るし・・・。
自分もそんな状況にいたので、北米市場での就活が日本に比べて難しいという情報は事前に集めつつも、
「言うても、自分はすんなり決まっちゃうんじゃない?技術力もそこそこあるし・・・?」
という気持ちがあり、その考えを捨てるのにめちゃくちゃ苦労しました。
人口減少に伴ってどこも人手不足であった日本の状況と、レイオフや移民で世界中から人が集まる北米の状況は全く違うものでした。
1つの求人に1日で数百通応募が来るのが普通なのが2024年北米のテック市場です。
日本で染み付いた常識やプライドを捨てないと、前述したレジュメの作成や面接対策など、楽しく無いやるべきことにきちんと向き合え無い気がします。
自分のポッドキャストでも度々話しているのですが、テキトーに頑張ってもうまくいかないことを体感する
「淡い希望を打ち砕く1ヶ月」
を経て、そんなプライドを徐々に捨てられました。
長期戦の就活
日本に比べると、とにかく色んなことに時間がかかるのが北米での就活でした。
そもそも書類が通過しない、落ちても連絡が来ない、受かっても連絡が来るまで2-3週間空くのは当たり前・・・。
そんな状況なので、あまり期待をしすぎず、長く戦うつもりで無理しすぎずに頑張らなければいけませんでした。
日本で経験があってこちらに来ると、就活中に何も成果が出ないのが非常に辛かったです。
これについては、色んなことを一旦諦めるしかないかな、と思って過ごしていました。
「すごい」と思われたい気持ちをなるべく減らして、
日本での良い待遇は忘れて、
一旦、何者でもない自分の社会的地位を受け入れるしかないのかなと。
また、金銭面や技術面、待遇面などを日本の会社と比べて1社目からいきなりキャリアアップするのは諦めた方が楽かもしれません。
自分は諦めました。
終わりに
振り返ると「頭1つ抜きん出る意識」を持って改善し続けたのが良かったと思います。
僕の就活中は市場に人が溢れていたので、どのような手段を取るにせよ、烏合の衆の中で印象に残る工夫が必要でした。
自分が見つけて特に有効だったのが
「LinkedInの求人がオープンしてからなるべく早く応募する」
でしたが、それが人と時期によっては
カバーレターを工夫する
リファラルをお願いする
ビデオを作成する
人事の人をカフェに誘う etc…
なのだと思います。
市場は常に変化するので、情報収集をしながら自分にできる最適解を探し続けて、諦めずにコツコツ続けることが大切だと感じました。
また、そのような挑戦をしながら、同時に改善を続けることも大事です。
英語もレジュメも面接対策も、最初から完璧になるのは無理だと思います。
不完全な状態で挑戦することに慣れて、失敗から学んで改善をしていくことで、徐々に色んなことが成功に近づくのだと思います。
最後に言っておきたいのですが、終わってから振り返ると完璧な計画を立てて淡々とやっていた印象になりますが、全然そんなことありません。
ここに書いてあることは自分が時間をかけて積み上げたものの「最終形」です。
就活を続ける中で徐々に確立してきたものを振り返ったものです。
レジュメの調整具合も、面接の対策も、自分の英語力の分析も、最初は何も手応えがありませんでした。
8月は1件も書類通過の連絡がなく、辛かったです。
ネットに上がる振り返り記事を見ると、みんな完璧な計画を立てて成功したように見えますが、絶対そんなことないはず!
就活中のリアルな声が聞きたい?
実は就活中に収録したリアルな感想がポッドキャスト「ITトリオ」で公開されてるので、ぜひ聴いてみてください!