元想細片/150731
●老人の爪(月)
三日月よりもほそい月なのだが、その上下で色あいが異なり、上のほうは白く輝き、下のほうはやや鈍い赤色の光を放っているその姿は美しいのだが、どこか見るものを不安な気持ちにさせる。
非常に珍しい月で何年かに一度しか見られないとされているのだが、老人の爪が浮かんでいる夜には、なるべく外に出ない方が良いとされている。なぜならば、この月を見た夜には老人や子供などが行方不明になる事が多く、老人の爪が見えた晩に3人の行方不明者が同時に出た村があったという記録も残っているという。
一説にはこの老人の爪は祖先の霊であり、子孫を死後の世界へ誘っているのだと信じているものもいるが、それを迷信だとして気にしない者もいる。そして、迷信だと断じてこの月の夜に出歩いたものが行方不明になることもよくある話なのだという。
※この「 #元想細片 」は、架空の品物を扱った百科事典風の読み物です。
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さて。これで元想細片の第4シリーズも無事に終わりました。8月の間は少しお休みをいただいて、9月から改めて元想細片シリーズを再開したいと思います。
8月の間は……何か、きまぐれに違うことをやりたいとおもっておりますので、よろしければそちらにもお付き合いいただけますよう、お願いいたします。