元想細片/150614

●北湾ハマグリの塩茹で(料理)

 北湾に面する漁港を中心にいくつかの町で見られる郷土料理。単純な家庭料理であるのだが、皆が好むため料理店のメニューでも一般的であり、また、時期になればそれを専門にする屋台などが出ることもある。
 この料理に欠かせない、そして唯一の材料が北湾で取れるハマグリである。この海域でとれるハマグリは貝殻が小さい割に、中にはびっしりと身が詰まっており味も濃い。それを大量に大鍋に入れ、水と一緒にじっくりとトロ火で茹で上げる。しっかりと中まで火が通り貝の口が開く頃には食べごろとなる。
 じっくりと火を通された貝の身は柔らかく、それでもしっかりと歯ごたえがあり食べ応えが充分である。また、鍋に残った茹で汁は貝の旨みが濃縮されたスープとなっており、貝よりも汁の方を楽しみにする者もいるという。
 基本的に味付けとしては塩を少量入れる程度で、あとはハマグリから出る風味だけで味を仕上げるのだが、家庭や店によって少量の隠し味を入れることがある。香草類を入れる家庭も多いのだが、貝が取れた湾で取れる海藻類を鍋に入れて作られたハマグリの塩茹では、磯の風味を強く感じられて滋味深い一品となっている。

※この​「 #元想細片 」は、架空の品物を扱った百科事典風の読み物です。
 詳しい説明はこちらのページをご覧ください。
 (土日はちょっと毛色の変わった項目を紹介したいところです)

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