がん温熱療法「ハイパーサーミア」をどう考えるか
8回までは保険が適用されるけれど、それ以降は自費診療となる不思議に思える治療法です。
更に、この治療ができる病院が限られているだけではなく、ほとんどのがん専門病院で治療が行なわれていない不思議さがあります。
有効性はどの程度、実証されているのでしょうか。有効性に関しては、多施設共同無作為第III相試験などを含む多数の論文や学会報告がありますが、現在のところガイドラインでの高い推奨や標準治療としては確立しておらず、オプション/治療の選択肢の一つとなっているようです。
ハイパーサーミアを受けるべきか否かについては、2023年に初版が発行された「ハイパーサーミア診療ガイドライン」が今のところ、一番参考になりそうです。各がん種への治療推奨度や科学的データが示されています。
これとは別に、ガイドライン作成委員会委員長の高橋 健夫氏(埼玉医科大学総合医療センター放射線腫瘍科)へのインタビュー記事がケアネットから出ています。
それによると、
頭頸部がんや放射線治療に抵抗性である肉腫などでハイパーサーミアの効果が期待できる。
一方、肺は空気を含み他臓器に比べ温まりにくい問題があるとハイパーサーミア治療が効果的な臓器、効果が得にくい臓器があることを示しています。
「ハイパーサーミア診療ガイドライン」には、以下の内容(目次CQ1-11)が含まれています。では、実際に各癌へのエビデンスレベルや推奨度はどうなっているのでしょうか。
エビデンスレベルとして4つに分けています。
A(強):効果の推定値に強く確信がある
B(中): 〃 中等度の確信がある
C(弱):効果の推定値に対する確信は限定的である
D(とても弱い):効果の推定値がほとんど確信できない。
CQ1 頭頸部癌に対してハイパーサーミアは推奨されるか?
放射線治療において、ハイパーサーミアを併用することで局所・領域制御率、生存率の改善が期待でき、考慮してもよい。
【エビデンスの強さ:C(弱)、弱く推奨】
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