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高濃度ビタミンC点滴療法は、がんに効果がないことが実証済み!?


ビタミンC点滴療法は詐欺療法!?

ビタミンC点滴療法について検索すると、サイトの上位の方でビタミンCは詐欺療法だと解説している記事があります。

その内容で興味深いのは、「高用量ビタミンC療法が比較試験で否定された」の記載です。

しかし、高濃度ビタミンC点滴を提供している病院(岩田クリニック)のサイトをみると、上記の比較試験は十分でないと述べています。

要約すると「アメリカのメイヨー医科大学のクレーガン博士によってビタミンCの有効性を否定した発表が医学誌でなされたものの、アメリカで初めて有効性があると発表したノーベル化学賞受賞者のボーリング博士らが行った臨床試験方法(高濃度ビタミンCの点滴と経口投与)とは異なり、メイヨーのグループが行ったのは経口投与のみ」「ビタミンCの錠剤を、口からたくさん摂取しても、がん細胞を破壊する程度まで血中濃度が十分上がる以前に、そのほとんどが体外に排出される。」

つまり、アメリカのメイヨー医科大学は、点滴ではなく錠剤のビタミンCを使ったので効果が出なかったと述べています。

ですので、高濃度ビタミンC点滴が否定されるエビデンスはないことになります。

高用量ビタミンC点滴のランダム化比較試験の結果

しかし、2022年に転移性大腸癌患者の治療として、高用量ビタミンC点滴静注+FOLFOX±Bevacizumab療法とFOLFOX±Bevacizumab療法の有効性と安全性を比較する無作為化多施設共同第III相臨床試験が実施されました。

ここで、外科医 佐藤のりひろ先生が、Youtubeにおいて「がんに対する「高濃度ビタミンC療法」の最新情報:抗がん剤の効果を高める効果は?」と題して、解説した内容を紹介します。

要約すると、
2年前は人を対象として、高濃度ビタミンC点滴効くというエビデンスがない状態であったが、2022年8月に、信頼度の高いランダム化比較試験が行われた。試験内容は、抗がん剤との併用効果を評価した試験。
対象者は、ステージ4(転移あり)の大腸がん患者442人。
ビタミンCの量は、体重1㎏あたり1.5g

試験の結果、抗がん剤のみのグループと比較して全生存率(生存期間)は差がなかった
しかし、KRAS遺伝子変異が陽性(RAS変異)の患者に限ると、ビタミンC併用だと効果が出ている結果となっています。
ちなみに効果の出た、無憎悪生存期間とは、がんが進行せず安定した状態である期間のことで、これが長くなったからと言って、生存期間が長くなるとは限りません。


先生は、今後はさらなる大規模な臨床試験でKRAS遺伝子変異が陽性(RAS変異)の患者に対する効果が証明されることを期待するとしています。

ちなみにKRAS遺伝子変異は大腸がんの45-50%に認められるので、統計に使う患者数が少なくなりすぎるということはなさそうです。

ただし、治療を受けるとなると自費診療になるのが痛いですね。ざっと調べた限り、1回の治療で2万円程度になってしまいます。週2回が標準と記載されているウェブサイトもあり、月々20万円ぐらいになってしまいそうです。(ちなみに臨床試験では、投与の仕方が異なる)

また現時点では、高濃度ビタミンCを使った治験はなさそうです。
(臨床試験の情報はこのサイトで調べられます)

なお、アメリカの政府機関である米国食品医薬品局(FDA)は、がん患者に対して、ビタミンC療法を行っている施設は違法であると注意喚起をしています。(「最高のがん治療」から抜粋)

大腸がん肺転移、肝転移(KRAS遺伝子変異)で高濃度ビタミンC点滴をする価値はあるのか

宮崎大学医学部附属病院 臨床腫瘍科の細川先生の記事も考慮すると、
RAS変異を有する患者はビタミンC群でPFS(無増悪生存期間)が有意に改善はしているものの、違いをみるとビタミンCなしの7.8ヵ月に対して9.2ヵ月 と効果の程度が低いこと、コース毎に3日間の静注が必要なため負担が金銭以外も多いので、試す価値は低いと考えられます。

ちなみにRAS遺伝子野生型の場合はPFS(無増悪生存期間)は、ビタミンC群8.3ヵ月、対照群9.7ヵ月と、ビタミンC点滴をしたほうが良くないのは気になります。






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