副鼻腔炎(蓄膿症)

前回引き続き鼻の病気についてです。

今回は副鼻腔炎。
蓄膿症とも言われますね。

そもそも、副鼻腔炎とは?というところからご説明いたします。

●副鼻腔炎とは?
鼻の中の、副鼻腔と言われる骨の空洞に膿がたまることのことです。

実は、顔の骨(頭の骨)には空洞があり、その空洞は鼻の中につながっています。
これが副鼻腔と呼ばれる空洞です。

副鼻腔は鼻の中と同じく表面が粘膜で覆われており、鼻水をつくっています。
その鼻水は鼻の中に運ばれ、鼻水として鼻をかんだ時に出てきたり、気づかないうちに飲み込んでしまったりしています。

この副鼻腔と鼻のつなぎ目の部分が、小さな穴しか空いていなかったり
入り組んだ骨の迷路の隙間に出入り口があったりします。

そうすると、ちょっとしたこと(風邪をひいたり、アレルギー性鼻炎で鼻が詰まったり)することで塞がってしまうことがあります。

塞がるとどうなるか?
副鼻腔でできた鼻水が、副鼻腔から出られなくなり、だんだん副鼻腔の中に溜まってきてしまいます。
溜まったところに菌がつき、膿となってしまうのです。

これで副鼻腔が膿でいっぱいになってしまうのですね。

さらに、膿があることにより、鼻の粘膜は炎症を起こしてさらに腫れてしまいます。
さらに腫れると、ますます副鼻腔の出口は狭くなってしまいます。

これが副鼻腔炎がいつまで経っても治らない原因となります。

症状としては、臭い膿のような鼻水(黄色〜緑)がでる、頭が痛い、頬が痛い、鼻詰まり、匂いがわからない、といった感じです。

ちなみに、この状況が続いているのが3ヶ月以内だと急性副鼻腔炎、3ヶ月を超えると慢性副鼻腔炎というように言い方が変わります。

●診断はどうするの?
副鼻腔炎の診断のために1番わかりやすいのはCTの検査です。
丸い輪っかに入る、画像検査になります。

副鼻腔はいくつか種類があるので、
どの副鼻腔が詰まっているか?
右と左どちらが詰まっているか?
どうして詰まったのか?

ということがわかります。

後は鼻のファイバーで実際に膿の鼻水が流れ出ているのを観察したり、
培養検査で、今悪さをしている菌は何か?を調べたりします。

●原因は?
先ほども書きましたが、風邪やアレルギー性鼻炎が悪くなって発症する、ということが多いですが、他にも
*虫歯
*腫瘍
*好酸球性副鼻腔炎
*真菌性(カビです)
などが挙げられます。
鼻詰まり以外の原因がある場合には、こちらの原因を治してあげないといつまで経っても治らないということになります。

●治療は?
❶内服
①抗生剤
膿があるということは、バイキンが悪さをしているということですのでこのバイキンをやっつける必要があります。そのために抗生剤を使用します。
②アレルギー薬
鼻の粘膜のはれを抑えて、膿をだしやすくします。
③少量マクロライド療法
マクロライドとは抗生剤の一種なのですが、これを抗生剤としての量の半分で内服すると、繊毛という細胞に生えた毛のようなものがよく動くようになるということがわかっています。この毛が動くと、鼻水を鼻のほうに運んでくれる作用が強まり、膿を早く排出してくれるようになります。

他にも点鼻薬など組み合わせることがあります。(何の薬をどのように使うかは、個々の方の症状や先生の哲学によって異なります)

でも、内服で治らない、長引いている場合には

❷手術
をしないと、改善しない場合があります。

手術は鼻の中から細い棒みたいなカメラと機械を使って行います。
術後、顔の見た目が変わることはありません。

副鼻腔と鼻のつなぎ目を広げてあげて、副鼻腔に溜まっている膿を掃除したり、篩骨洞という小さい副鼻腔は、その壁を壊して広い副鼻腔に作り替えてしまったりします。

こうすることで、副鼻腔炎が治るだけでなく副鼻腔炎になりづらい鼻を作ることができるのです。

鼻がつまるたびに副鼻腔炎になる、ずっと頭が重い…なんて方は物凄いスッキリしてげんきになるかもしれないですね。

また、副鼻腔炎と喘息は合併している方が少なくなく、喘息合併の方は副鼻腔炎の手術をすることで喘息も良くなることがあります。

さらに、副鼻腔炎により嗅覚障害(匂いがわからなくなる)ことがありますが、そのままにしておくと、副鼻腔炎が治った後も嗅覚障害はなおらなかった…となってしまうかもしれません(大体発症してから半年以内で治療した方が治りやすいとされています)

なので、手術と聞くと怖い印象があるかもしれませんが、気になるようでしたら早めに治療するといいかな、と思います。

また嗅覚障害については触れますが、臭いなんてわからなくてもいい、と思われるかもしれませんが意外と嗅覚障害になると辛そうですよ。
さらに治らないとなると結構後悔している方も多く見かけます。
匂いなんて、と馬鹿にしないでまずは耳鼻科で相談してみていただけると嬉しいです。

●繰り返す副鼻腔炎について
風邪のたびに副鼻腔炎になるけど、すぐ治る方。
やっぱり繰り返したくないですよね。
繰り返さないためにできることはないですか?と聞かれることがあるのですが、
まずは

①風邪をひかない。
当たり前ですが、大事なことですね。
手洗い、うがいをしっかりしていただくことが大事です。

また、
②風邪をひいたり、鼻が詰まってしまったときにはすぐに薬を飲んで、なるべく鼻の中が腫れている状況を作らない
ということも大事です。

おそらく、骨格的に詰まりやすい形をしているため、根治となると手術するしかないのですが、「鼻水が出てきたな」と思ったらすぐに薬を飲んであげると副鼻腔炎までならずに食い止められるかもしれません。

市販薬でも十分効果はありますから、家に備えておく、または耳鼻科で鼻の薬をもらうときに少し多めにもらっておいて次に鼻が詰まったときにすぐ内服するといいですね。

また、点鼻薬という鼻にスプレーをするのも効果的です。
即効性はないですが、使い続けると調子が良いのが続いてくれる薬です。
ちなみに薬局で売っている市販の点鼻薬ではなく、処方の点鼻薬でないと鼻炎が悪くなるので絶対に処方してもらってください。

いかがでしょうか。
副鼻腔炎で困っている方に参考になれば嬉しいです✨

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