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遊戯王MD 数値計算で見るマスター1へ行くために必要な勝率

こんにちは

 はじめまして。
 最近天盃龍がマスターデュエルに実装され、久しぶりにマスターデュエルを楽しんでいます。紙でやっていた時の知識を活かして、初心者天盃龍をボコボコにすることを生業としているのですが、あることに気づいたんです。全然ランクが上がらないことに。いや、正確に言えばランクはずっと上がり続けているのですが、ランクが上がったと思えばとんでもない番長デッキに殺されたり、地獄の手札事故などがあったりで、あっという間に3連敗を決め込み、ランクダウンして萎えてその日はやめる、みたいなことがしばしばです。実は、筆者は去年冬にドラゴンリンクでマスター1に登頂して以来ほとんどマスターデュエルをまじめにプレイしていないので、マスター1まで何試合ほどかかるのか、その感覚を忘れてしまいました。
 そこで、プログラムを使ってマスターデュエルのランクマッチのモデルを作成し、どの程度の試合回数でマスター1に登頂することができるのかを調べたいと思いまして、この度結果がまとまりましたので、ご報告いたします。
 なお、筆者は機械工学系の大学院生ですが、統計に関することは全くの専門外ですので、ここの結果や考察はあんまり鵜吞みにしないでいただきたく存じます。

計算モデルを作ろう!

MDのランクマッチの仕組み

 マスターデュエルのランクマッチでは、勝ち越しが一定数以上になるとランクが上がるシステムを採用しています。だいたいこんな感じのルールです。

  1. ランクはルーキー、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ、ダイヤ、マスターで区分され、それぞれで1から5ティアに分かれる。数字が小さいほどランクが高い。シーズン開始時には、前回シーズンのランクの区分がひとつ低いランクのティア5に配属される。

  2. 一定数勝ち越すと昇格する。例えば、ダイヤでは4回勝ち越せば昇格するため、勝・負・勝・勝・負・勝・勝の状態で次の試合に勝てば昇格できる。マスターでは5回勝ち越す必要がある。

  3. 逆も然りで、勝ち越し回数が0の時点で3連敗すると降格する。つまり、ランクが上がったと思えば運悪く3連敗すると即座に降格する。降格するとまた一定数勝ち越さなければランクが戻らない。(降格した先で勝ち越し0回としてスタートする。)各ランク区分のティア5では、どれだけ負けても降格しない。一度でもマスター1になれば、そこから降格しない。

 今回は前シーズンマスター1だった人が新シーズンになりダイヤ5からスタートしたことを想定して計算を行いました。もし勝率が100%なら、試合は40回で済みます。

計算モデルの概略

 次のような計算をコンピューターにさせました。

  1. 勝率を設定する。実際、ランク帯によって勝率は変化しそうだが、そんなモデルを作るようなデータは持っていないので、いつでも一定であると仮定しておく。

  2. 勝敗を決する。0から1の一様乱数を生成し、勝率以下の数値が出れば勝ちと判定し、以上の数値が出れば負けと判定する。

  3. 勝ち越し点を記録する。勝ちならば+1点、負けならば-1点。もし勝ち越し点がマイナスの状態で勝ったなら勝ち越し点は1点に、負けたなら-1点する。

  4. 勝ち越し点がダイヤなら+4、マスターなら+5になったとき、勝ち越し点を0にしてランクを一つ上げる。‐3になったら、勝ち越し点を0にしてランクを一つ下げる。ダイヤ5、マスター5の状態では勝ち越し点が0を下回らない。

  5. マスター1に到達した時点で終了。試合数や軌跡を記録する。

 この1から5の操作を1000000回行い、データを算出します。いつも研究で使用しているfortran90を使いました。(専攻がバレちゃうかも)

計算結果

マスター1到達までの試合回数

 各勝率ごとにマスター1まで何試合かかるかを算出しました。

マスター1到達までの試合数の分布

 見た目がガウス分布みたいで、慣れてる人はぱっと見で分かると思いますが、説明しておきます。
 横軸が試合数で、縦軸がその試合数でマスター1に到達できる起こりやすさ(確率)を示しています。色は勝率ごとに分けてあり、図右上を参照してください。
 ものすごく雑な見方をするなら、グラフのピークになっている部分くらいの回数だけ試合をすればマスター1に到達できることを示しています。例えば、勝率60%の人(図の水色の線)はだいたい130回くらい試合すればダイヤ5からマスター1まで上がることが分かります。
 丁寧な見方をすれば、この曲線で囲まれた部分の面積は丁度1になることを利用して、左端から所定の試合数までのグラフで囲まれた部分の面積が、その試合数までにマスター1に到達できる確率を示すことになります。

正規分布の見方(図は勝手に拝借)

図のようなグラフだったとしたら、試合数がa以上b以下でマスター1に到達できる人は、斜線部分の面積だけの割合で存在することを示しています。面積が0.4なら、100人中40人がそれに該当するわけです。
 さて、話を最初のグラフに戻しましょう。例えば、勝率60%の人(図の水色の線)は、ピークの部分でざっくり面積が半分くらいなので、130回も試合してれば50%でマスター1になってます、ということです。また、300回ほど試合をすれば、面積がほぼ1になりますから(グラフから確率がほぼ0に収束しているあたりだから)下振れしててもマスター1にはなれるということです。
 残念なことを言うと、勝率50%の人は300試合強すれば半々くらいの確率でマスター1になれますが、最悪900試合近くやることになります。下振れるといつまでたっても到達しません。つらいですね。

平均と下振れを考慮した試合回数

 もう少し詳細に見たいので、各勝率ごとにマスター1到達にかかる平均(50%の確率で到達できる)試合数と、これだけ試合すればほぼ確実に到達できる(99%の確率で到達できる、いわゆる下振れ)試合回数をまとめました。なお、1000回以上試合することを考えていないものとします。(そうプログラムを書いてなかったし直すのも面倒だからですね。)

マスター1に50%、99%到達できる試合数

 横軸が勝率、縦軸がマスター1到達にかかる試合数であり、青のプロットが50%、緑が99%の場合を示しています。緑は一部途切れていますが、1000試合を超えたため、プログラムが値を出力していませんし、たぶんとんでもない値なので、現実味がないです。
 勝率が45%から60%にかけて、勝率の増加とともに一気に試合数が減ることが分かります。そこから試合数の減少具合も大人しくなり、最終的にはほとんど変化しなくなります。
 現実的な試合数でマスター1に到達できそうな勝率はやはり50%が境目になりそうです。この場合、360試合行えば50%でマスター1に到達します。流石に時間がかかりすぎるので、この勝率で到達するには相当の時間と気力が必要になります。しかし一方で勝率が50%を切っていてもランク自体は上がることも、このグラフから説明がつきそうです。
 勝率が50%から60%にかけて、必要な試合数がかなり変化しています。勝率50%でマスター1に到達するには360試合必要ですが、60%では138試合で済みます。この変化の具合から、この勝率帯では自分の上達具合を実感しやすいと思われます。
 勝率が60%を超えたあたりで、マスター1に到達するために必要な試合数が下振れても対した数ではないため、すぐに到達したように実感すると思います。ランクがスタックしたという経験が減ってくるのはここあたりだと思われます。

 高勝率に絞ったグラフも載せておきます。

マスター1に50%、99%到達できる試合数 高勝率ver

 勝率が7割もあれば十分で、シーズン開幕すぐにマスター1到達を狙える現実的な試合数に収まります。(それでも平均84試合、下振れて138試合です。筆者はよっぽど暇でも一日でこれだけ遊んだら飽きてしまいます。)超ざっくり言えば、開幕マスター1ってたぶんかなり遊戯王うまいってことになります。(これは必要十分ではないですが。)

ランク平均降格回数

 筆者がプレイしていて一番つまらないと感じるのが、ランク昇格後の下振れ3連敗から降格コンボです。ダイヤ5からマスター1になる間にどの程度降格するのか(平均降格回数)を調べました。

勝率別平均降格回数

 横軸が勝率、縦軸が降格回数です。
 降格回数も必要試合回数と同じような傾向を示しています。しかし、特筆すべきは勝率50%だと平均7.2回も降格してしまうことでしょう。そんなに降格したら萎えて別のゲームをしてしまうと思います。一方で勝率6割くらいでも降格と無縁ではなく、1,2回ほどは降格してしまうことが示唆されています。7割を超すとほとんど降格しません。

まとめ

 一生遊戯王やってます!みたいな遊戯王星人でもない限り、低勝率でマスター1に到達することは結構困難であることが分かりました。無難な回数でマスター1に到達するにはやはり勝率6割は欲しいといったところでしょうか?しかし、マイナーデッキや出力の低いデッキで高勝率が叩き出せないデッキでも、勝率が5割を超えていれば、努力次第でマスター1に到達できることも分かります。推しテーマがあるなら、時間をそこにオールインしてみるのもまた一興。それでは、楽しいまゆえるライフを。


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