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君の隣⑦君を離さない

その日の夜、僕は彰人くんの家にみんなを集めて店であった事を全て話した。
「それって霧島って人が犯人って事?」
「逃げて行ったのは怪しいよね。」
「花に詳しいんでしょ、その人。」
みんなが一斉に話している中隣で不機嫌そうにしているのは彰人くん。
「彰人くん、なんか怒ってる?」
小さな声で聴くと、
「怒ってる。なんで俺を呼ばなかった。」
「だって…」
「だってじゃ無いだろ、何かあったらどうするんだ!」
「怖くて声が出なかったんだよっ」
ついつい大きな声が出てしまって、自分でも驚いた。
「……、ごめん。」
「まあまあ、2人とも、落ち着いて。海都さんがいて良かったわね。」
「うん、ほっとしたよ。」
「俺の役目だったのに…」
ぶつぶつ隣で言っている彰人くん。
「とりあえず、霧島って奴の事は警察と、うちの警備に伝えておくよ。水樹安心して、俺たちがついてるから。」
そう言って社長達は帰って行った。
社長達が帰った後、部屋の中は静かになった。
無言の彰人くんほど怖いものはない。
僕は恐る恐る近づいて、
「あの…彰人くん、起こさなくてごめんね。でも、あまりに気持ちよさそうに寝てたから。」
「もういいよ。俺も怒鳴ってごめん。水樹が無事で良かった。」

次の日の朝、彰人くんに社長から電話があり、霧島くんが捕まったと報告された。僕達は事務所で話し合う事になり、急いで事務所に向かった。
事務所に着くと、警察と警備から一通りの報告を受け、会社としてどう対処すべきか話し合った。
「これで安心ね。」
「ほんと良かったよ。」
「水樹も怖かったな、これで安心して過ごせるな。」
「うん、みんなありがとう。」
やっぱりこの人達と一緒が1番落ち着く。
その後、メンバーと社長達と一緒にデリバリーを頼んで楽しく食事をした。

午後8時を過ぎ、解散となった後、彰人くんと部屋で飲むワインを選んで帰宅すると、部屋の電気は点いていて、一瞬びっくりしたが、リビングは何も変わった形跡がなかったのでホッとした。
お風呂を入れてゆっくり浸かり、2人で一杯だけワインを飲んだ。
「今日は色々あって疲れたね。彰人くん、色々ありがとう。今日は1人で眠れそうだから、僕こっちのベッドで寝るね。」
そう言いながら僕は彰人くんの家のゲストルームの
扉を開けた。

でもそこには僕が見たくなかったものが置かれていた。
「ううっ」

彰人はその時キッチンでワイングラスを洗っていた。
枕を持った水樹が今日はゲストルームで眠ると廊下を歩いていった後、何か鈍い音が聞こえた気がして急いでゲストルームに向かった。

「水樹っ」
扉を開けると水樹が気を失って倒れていた。

ベッドの上はイカリ草で飾られ、中央には24本の黄色い薔薇が置かれていた。
そしてその花束にはカードが添えられていた。

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水樹

僕は君を離さない

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