いぬよ、君は幸せなのか?もししあわせじゃないのなら…。
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このnoteを記す前日。
心が少しだけぐぐぐっっと来る出来事があったので、記録していきたいと思う。
--プロローグ--
帰り道。
とてもよく晴れた日の夕方。
空は青く、西日が照らす夕方5時。
涼しげな風が吹いてとても心地よい。
公園の横を通りかかった。
高校生のメンズグループが円になってボールを蹴っている。
100円ショップに行くと売っている、やわらかめなボール。
その様子を少し離れたところから見守りつつ、話をするガールズグループ。
ー ああ、青春だな。こういう時が一番楽しいんだよな…
ー この子たち、どんな関係なんだろうな…
余計なお節介すぎる妄想を膨らませながら歩く。
この高校生グループたちの青春(アオハル)を演出している人がいた。
ー あれ…?なんで、しゃぼん玉?…あ!
それは子どもたちが飛ばすしゃぼん玉だった。
青い空。
公園を照らす西日。
涼しげな風。
風が揺らす若葉。
子どもたちが飛ばすしゃぼん玉。
色々な出来事が組み合わさって
高校生たちの青春を演出しているようだった。
これこそ、少し前にブームを起こした「エモい」なんだろうと感じた。
高校生の男女グループや子どもたちのほかにも
(おそらく)孫が遊ぶ姿を見守るおじいちゃんがいたり
子どもが遊ぶ近くで談笑するママ友がいたり
仲良く並んでウォーキングをする夫婦…
人それぞれ、さまざまなストーリーがあるはずだ。
人だけでない。
生きているものすべてにおいて、それぞれのストーリーがあって
それぞれのストーリーが偶然の確率でいくつも組み合わさって。
思いがけないような一コマを生み出している。
その瞬間に遭遇できた自分。
その瞬間に気づけた自分。
もしかしたら他の人は感じることがなかった瞬間を
自分だけ体感した、そんなちょっとだけ優越感を感じながらその公園を後にしようとした。
--本題--
さらに家に向かって進み始めた時、公園からいぬとその飼い主が出てきた。
そのいぬは、他のいぬと少しだけ歩き方が違っていた。
自分には軽快にステップしているような足取りに見えた。
ー そうかそうか、散歩がそんなに好きなんだな。
そう思いながらそのいぬと飼い主の裏をついていった。
自分は通りすがる動物たちに名前をつけることがある。(自分勝手すぎる)
彼、彼女たちは1度しか会わないかもしれないから
そのいぬやねこ、とりたちに名前をつけてもいいだろう?っていう
非常に勝手な考え方なのである。
ボキャブラリーのない自分の脳内から候補としてピックアップされる名前は
ジョンソン
ジャシー
ジュディー
ぐらいだ。
”J”からはじまる
外国っぽい響き
だけど、その3パターンが基準で」派生している感じだ。
公園から出てきたいぬは、ジョイとよばせてもらおう。
ジョイは数歩歩いてはすぐに立ち止まる。
ジョイの飼い主は少し立ち止まり。
しばらくすると、グイっっっっとリードを引っ張る。
ジョイの首輪がグイッと顔のほうに上がってまた歩き出す。
ー おお。
自分は少しだけ驚いた。
まあ、ジョイの飼い主は何かやらなければいけないことがあって急いでいるのかもしれない。こんなところで立ち止まっている暇はない、という気持ちの表れだろうか。
ジョイは数歩歩いて、また立ち止まった。
ジョイの飼い主もまた足を止める。
ジョイの目線を見ると、別のいぬが散歩の休憩をしていた。
ジョイが遭遇したいぬを、ジュリーとよばせてもらおう。
ジュリーの飼い主がジョイの飼い主に向かってぺこっと頭を下げてにっこり微笑んだ。
しかし、ジョイの飼い主は無反応、無関心で、またジョイのリードをグイっっっっと引っ張った。
ジョイの首輪がまたグイッと顔のほうに上がり、ジョイは歩き出した。
自分はその時、ようやくジョイの異変に気がついた。
ジョイは軽快な足取りで散歩をしているのではなかった。
後ろ足をかばいながら歩いていたのだった。
足をけがしているのか、痛いのか。
ジョイは飼い主の後ろを歩いているから
もちろん、飼い主は気づかないだろう。
横断歩道を渡る時に、別のいぬに遭遇した。
さっき遭遇したジュリーと同じ犬種。
ジュリーと同じ犬種のいぬを、ジャクソンとよばせてもらおう。
ジョンソンの飼い主とジュリーの飼い主は目を合わせた。
おそらく、ジャクソンとジュリーの飼い主は夫婦で、ジョンソンとジュリーもおそらく夫婦だと勝手に認識した。
そして飼い主たちは
「さっきのワンちゃん…」
という感じの会話が聞こえた。
そのあとは聞こえなかったが、なにかしらの異変に気付いたのだろう。
さらに、ジョイにはもうひとつ異変があった。
それは毛が一部分抜けてしまっていたのだった。
人間で例えるなら円形脱毛症みたいな感じだ。
ずっと気づかなかったが、毛の色とは全く違う黒色の地肌が見えていた。
自分はジョイのことが気になってしまった。
もう少しだけ、もう少しだけとジョイとその飼い主の裏をついていった。
通りすがる若い女性たちジョイを2度、3度振り返る。
自分もジョイの横を通りすがったら、振りかえってしまうだろう。
なぜ、自分はジョイを見つけてすぐに彼の異変に気づかなかったのかわからないが、明らかに何か様子が違うように見えた。
ジョイの飼い主は十字路を右へ曲がった。
ジョイも右へ曲がった。
ついていきたい気持ちもあったが、尾行というか、ストーカーになってしまうので自分は十字路を左へ曲がり、ジョイと別れた。
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ジョイと別れて踏切を渡ると、心が痛くなった。
ジョイはいつもどんな生活をしているのだろうか…
ジョイの飼い主は病院につれていってくれるのか…
いくつかの疑問が浮かび上がって
ジョイはしあわせなのかな…
というとても大きな疑問が出てしまった。
自分はジョイの日頃の様子を知らない。
ただ、あの公園から出てきて十字路を右に曲がるほんの5分ぐらいしかみていない。
それこそ、ジョイの今までのストーリーを知らないくせに「幸せじゃなさそう、かわいそう」とか口出しするなと言われてたらそりゃあそうだ。
ましてや、いぬやねこを飼ったことない自分みたいな人から言われるのはそりゃあ部外者め!ってなる。
でもあの5分間の出来事で色んなことを考えてしまった。
ジョイはしあわせではない。
足が痛そうなのに飼い主は全然気付いてなさそうだし
リードは強引に引っ張っている感じだったし
円形脱毛症みたいに毛は抜けていて
ジョイのしっぽは明らかに下に垂れ下がっていた。
第三者の自分から見れば、ジョイはしあわせではように見えてしまった。
でも、もしかしたら(これは空想でしかないが)
ジョイはしあわせなのかもしれない
誰かに飼ってもらえていること
散歩に連れていってもらえること
少しかもしれないけどご飯と水が出てくること
Youtubeを見ると、保護猫や保護犬の動画が出てくる。
私たち人間の感情ひとつでかわいがられ、
私たち人間の感情ひとつで暴力を受けたり、放置されてしまったり。
その結果、保健所に送られて最悪、命がなくなってしまう。
命があるだけ
住む場所があるだけ
食べるものがあるだけ良い
という考え方もあるかもしれない。
ジョイの飼い主はおそらく、無口で怖そうでちょっと頑固で。
そんな雰囲気が出ていた。
でもそれだって、性格かもしれないし。
もしかしたら、もしかしたら
家ではジョイのことをすごく愛でているかもしれないし。
たまたま仕事や家庭のことで息が詰まっていてジョイに当たったのかもしれない。
一時的かもしれない。
そういう性格なのかもしれない。
ある事象には良い面も悪い面もあるから
一概にこれが悪い!ということはなかなかできない。
もちろん、犯罪や法律に反することはいけないと思うが。
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色々考えてきて
色々自分勝手にここまで述べてきたけど
「じゃあ、自分、ジョイを引き取りますか?」
「保健所にいるいぬやねこ、引き取りますか?」
といわれたら、自分は引き取ることはできないだろう。
ここまで散々えらそうなことを言ってきて
結局、自分は傍観者になるのだ。
--エピローグ--
ジョイ、君はしあわせなのか。
もししあわせなら、それでいいんだ。
もししあわせじゃないのなら、来世では十分にしあわせになってほしい。
傍観者でごめん、ジョイ。
ジョイはまだまだ生きていくと思うけど
もしジョイが空へ旅立った時は、きっと天国にいく。
天国に行ったらジョイがしあわせと感じられたらいい。
そんな生活が送れますように。
さあ、自分も頑張ろう、負けるな、自分。