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【EDH】レベル7のラインを考察する

概要

統率者戦は闘争である。4人入り乱れての闘争である。闘争は楽しい。
闘争の楽しい統率者戦だが、古今東西のカードの使用できるが故に、古来よりデッキパワーの擦り合わせは度々問題となってきた。

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悲しいかな、争いは同じレベルの者同士でしか発生しない。
レベル差の大きなデッキが同じ卓を囲むと一方的な虐殺が始まる。
虐殺は闘争ほどは楽しくない。虐殺は回避する方が好ましい。

この問題に一石を投じるべく公式からレベル表が提示されている。
しかしこれがまた曖昧で、しばしば議論の対象となる。
本稿では公式に提示されているレベル5-6のデッキ群を手掛かりに、レベル6とレベル7の境界について考察する。筆者の独自考察なので何の裏付けもないが、「このように考えている人もいる」程度の参考になれば幸いである。

公式のレベル表

公式から提示されているレベル表。
共有されている基準だが、とても曖昧で解釈が安定しない。

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公式記事

公式で掲載されているEDH記事。
ここでレベル5-6帯として紹介されているデッキ郡をレベル判断の基準としたい。サンプル数もあり、公式記事ということで共通認識にしやすい。

仮説 - ゲームプランの強度

公式デッキを見た上で筆者は「ゲームプランの強度が低い」と感じた。この感想を出発点にして基準点を提示してみる。

・レベル5-6帯のデッキには統率者戦で勝利するためのゲームプランがある
・ゲームプランの実行コストが膨大であるため実行が容易でない
・実行コストとは必要なマナ必要なカード枚数である
・キーカードへのアクセスが不足しているため実行が容易ではない

対比するためにレベル7-8帯で要求される基準を提示する。

・レベル7-8帯のデッキには勝利するための強度十分のゲームプランがある
・強度十分のゲームプランとは、現実的なマナカード枚数で統率者戦に勝利することが可能なプランを指す
キーカードへの十分なアクセスがあり、ゲームプランの実行に必要なマナとカードを毎ゲーム揃えることができる

この視点をもって公式デッキを2つ分析してみたい。

第7回《鋼の魂、ワイレス》

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https://mtg-jp.com/reading/clotakacommander/0034682/

・統率者戦で勝利するためのゲームプラン
「《ワイレス》を強化して殴り倒す」が提示されている。
※無限ライフでは勝利しないのでここではカウントしない

・ゲームプランの実行コスト
致死量の打点に到達するには複数の重たい装備品を装備する必要がある。一枚で致死量の打点を稼ぐ例外は《浄火の板金鎧》と《きらきらするすべて》の2つ。前者は大量の手札を、後者は大量のアーティファクト又はエンチャントを要求する。どのパターンでも打点を十分稼ぐには大量のカードカウントが必要で、実現するためには複数ターン《ワイレス》を維持してリソースを稼ぐ必要がある。

・キーカードへのアクセス
《ワイレス》を維持すれば継続的に手札を獲得できるが、装備品とオーラのコストが大きすぎるので十分枚数のリソース獲得には相応のターン数が必要となる。巨大な修正を与える装備品へのアクセスは安定しない。

第10回《エルフの刃、ラスリル》

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https://mtg-jp.com/reading/clotakacommander/0034856/

・統率者戦で勝利するためのゲームプラン
「エルフを展開」→「全体強化して殴る」or「《ラスリル》起動で勝つ」というプランが提示されている。《背教の主導者、エズーリ》《破滅の終焉》《ジョラーガの戦呼び》に大量マナを注ぎ込むか、大量にエルフを並べて《旗印》を設置すれば十分打点でアタックすることが可能。またはエルフを10体並べて3-4ターンかければ《ラスリル》起動で削りきることが可能。

・ゲームプランの実行コスト
《背教の主導者、エズーリ》《破滅の終焉》《ジョラーガの戦呼び》で3人倒すに十分な打点を出すには10マナ以上は必要だ。《ティタニアの僧侶》《エルフの大ドルイド》を用意した上で大量のエルフを並べる必要がある。《ラスリル》が多少エルフを展開できるとはいえ容易ではない。
《旗印》《ラスリル》も大量のエルフを要求する。

・キーカードへのアクセス
大量マナを供給する《ティタニアの僧侶》《エルフの大ドルイド》へのアクセスが重要だが、サーチはほぼ採用されていない。ドローソースはあるので探すことはできるが、安定して十分量のマナを確保することは困難だ。
サーチの不足により全体強化パーツに安定して辿り着くことも難しい。

分析 - 全体除去の採用

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公式のデッキリストからも読み取れるが、公式5-6のデッキは全体除去を過剰に好む傾向がある。この理由を考察する。

公式5-6には1ターンで決着する現実的なプランが搭載されていない。
そのようなデッキ同士であれば、ソーサリータイミングの妨害が間に合う。インスタントタイミングでの干渉が不要であれば、より重たく効果の大きいものを求めるのはある種必然なのかもしれない。

十分量のカウンターが存在しない(ことが多い)のもこの傾向を後押しする。多人数戦でカウンターやハンデスはアドバンテージ損なので、ソーサリータイミングの干渉で間に合うという前提であればカウンターを積極採用しないのはある程度合理的な選択である。そのために打ち消し呪文が卓から減り、打ち消しが卓から減るので「重くて派手な」呪文の応酬が増えるという循環になると推測できる。

この前提から「派手だが勝たない」呪文が複数枚投入されているデッキリストも説明しやすい。カウンターがなくインスタントタイミングの攻防が不要ならば、重く派手な呪文を複数積むのはむしろ自然だ。このようにして派手な呪文の応酬を楽しむプロレス卓が醸成されると推測できる。

虐殺者になる要件

ここまで見てきた特徴から、公式5-6デッキに勝ちすぎるための要件を提示する。まずは最重要項目。

現実的な量のマナカード枚数で勝利するプランを搭載する
・キーカードに毎ゲームアクセスするためのサーチとドローを確保する

現実的に勝ち筋を実行できるか否かが最大の分かれ目。公式5-6で10ターン以内にフィニッシュすることはほぼ不可能なので、毎ゲームそれより早くフィニッシュできるのであればそれだけで明確に有利が付く。

加えて以下の要素があるとさらに勝ちやすくなる。

ソーサリータイミングで妨害できない勝ち筋を採用する
上記で考察した通り、公式5-6の干渉手段はソーサリーに寄っている。
勝ち筋の実行を1ターンで完結すればその手の妨害を無視することが可能。

・特別な事前準備を必要としない勝ち筋を採用する
フィニッシュ自体は1ターンで完結するとしても、事前に何ターンもかけてパーマネントを展開する必要があればソーサリータイミングの妨害が容易になる。事前のパーマネントが不要だとパーフェクトだが、要求が統率者だけであったり少数の汎用カードのみであれば十分この要件を満たす。

コンバットへの耐性をつける
3人から全力で殴られても勝ち筋の始動まで立っていられると5-6帯に負ける要素が一つなくなる。ブロッカーの展開や除去を十分採用するのも一つの手だが、単純にコンボ始動が早いだけでもコンボ始動前に沈められる展開は自然と減る。

楽しく5-6卓で遊ぶには

上記項目の逆を行けば、公式5-6と噛み合うゲーム展開を狙える。

早すぎるフィニッシュを避ける
公式5-6は10ターン以内の決着を想定していない。同卓するならば速度感をある程度合わせておくのが無難だ。

メインプランを干渉可能にする
ソーサリータイミングの干渉が可能にしておくとさらに良い。一撃で沈めようとするスパイク的思考を捨て、反撃の余地が残るものを選ぶと良い。

・必殺技に事前準備が必要なものを選択する
事前準備があればソーサリータイミングでも干渉しやすい。不意打ちで仕留めようとするスパイク的思考を捨て、予告ホームランを放つと良い。

パーマネントとライフのやりとりでゲームを進める
公式5-6と同じレベル帯は無限の差し合いには向いていない。パーマネントのやり取りをしてライフを詰めていくゲームが無難だ。

デッキ全体で判断する

ここまで見てきた通り、フィニッシュ手段の性能だけが問題ではない。強力なフィニッシュプランは加点要素だが、アクセスが不十分であればそれほど大きな意味を持たない。極端な例になるが構築済みに《タッサの神託者》《汚れた契約》《Demonic Consultation》だけを入れてもレベル6に勝ちまくるようにはならないはずだ。

同様に高額カードの有無だけでレベルを判定するのもナンセンスだ。これも極端な例ではあるが、レベル10デッキのデュアルランドを数枚基本土地に変えただけのデッキを「妥協があるからレベル6」と評価しても卓分けは上手くいかないだろう。

同卓する際のレベルミスマッチを避けるのが目的なのだから、カード単体ではなくデッキ全体で評価する必要がある。とはいえ数枚でもレベル感の合わないカードがあると評価がバグりやすくなるのは事実。
「価格で区切ってなんとなく温度感を合わせろ」という公式のざっくりしたレベル表にも一定の理があるのかもしれない。

結び

レベル6とレベル7の境界について筆者が普段考えていることを言語化した。冒頭でも述べたが、これは筆者の独自考察なので「このように考えている人もいる」以上の意味を持たない。しかし「このように考えている人もいる」が累積することには意味があると考えて本稿を執筆した。

この記事を読んで「それは違うだろう」と考える人もきっと大勢いることと思う。そのように考えたなら、是非とも言語化して共有してほしい。不幸な同卓を回避して統率者戦という闘争をより一層楽しむために。

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