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ミュージカル「弥生、三月」拝見。

先日、岡田奈々さん出演の、ミュージカル「弥生、3月」@サンシャイン劇場 を観劇。
岡田さん中心に感想をちょろっと書いてみますね

ワタクシ、映画版は未見で、ストーリーの予備知識もなくいきなり観たのですが、とてもすっきりと作られており、舞台観劇に慣れておられないアイドルファンの方々も入りやすかったのでは。

とは言え、全てがシンプルな構成の中で、30年余りを、役者4名とダンサー2名、ピアニストの構成で、約2時間で見せ、全編ピアノ伴奏、スタンダードなダンスを挟んでいくという、韓国ミュージカル的な趣きで進行。その分楽曲は難曲もあり、かつ1曲のサイズも長いため、まずは正統派な技量の求められる舞台だったかと思う。


中でも驚いたのが、弥生役の田村芽実さんの怪演で、私はふと、かの保坂知寿さんを彷彿とした。クラシカルさを保持しているが、若い勢いとパワーがある。ふむ、こんな女優さんいるんだなぁと嬉しい出会い。
もう随分前から、今後は王道系ミュージカルが似合う役者も減っていくのかとぼんやり思っていたが、彼女のような人がいるなら、面白い。「上海バンスキング」なんか彼女だったら面白いんじゃないかなーとかなんとか‥今後、さらに注目。

さぁ、そして岡田奈々さん。
薬害HIV感染症により、若くして天に召されるサクラ役。
出演者が舞台上で紡いでいく30年余の長い月日の中、当然ながら彼女は歳を取らない。しかしずっと親友二人の30年の筆頭に存在し続けるキーマンだ。そこには、セルロイド的な不変の要素と、死という終焉を常に抱える不安定な要素の両者が混在するからこそ、この2時間の中でのサクラはより輝くような気がした。元々岡田奈々さんの魅力には、両極性という要素があると思っているが、それはこの難役にぴったりだったのではないだろうか。青春の輝きと希望に満ちた存在でありながら、若き死の絶望という両極の要素を持つ難役だからこそ、サクラが映し出す世界は他者の心に深く残るのかもしれない。それだけのナニカを、限られた出演時間の中でどれだけ映し出せるかでもこの作品の情景深度は大きく変わってくる。とにかく、見た目より遥かに難役なのだ。
岡田さんのサクラは、まず登場からとても綺麗で素敵な女の子だった。ごく普通の高校生の女の子の輝きの中に、その薄命の美ゆえの儚さと残酷さが存在する。つまりこれも二極性の強い要素なので、繰り返しになってしまうが、岡田さんの持ち前の魅力と重なり、より映えていると感じました。

ミュージカル舞台としての歌唱は、これまでの歌唱と比較するに、もちろんまだ発展途中なのであろうと思うが、今回はこれまでの歌唱とは違うスタンダードな発声法を試みておられるのがよく分かった。そもそも耳を惹きつけるものを放てるということは、彼女の大きな強みであり魅力と思う。これにはきっと天性のものもあるでしょうから、ここはぜひ存分に伸ばしていってほしい。物理的な鍛錬(特に下半身)とハートケアが伴うことで、きっと彼女独自の歌の魅力が、今後無限に花開けることと思います。ぜひ期待したいです。


元々、私は岡田さんお芝居がすごく好きなので、舞台に出演と聞くと楽しみに観に行くようにしている。いつも勝手に「北島マヤと姫川亜弓が混在する役者」と思っているのですが、その分、役柄による情緒が、リアルな心に響いてしまうような事ももしやあるのかもしれない。勿論、それ故に怪演を生み出す人でもあると思うので、体を心とエネルギーを大切にしながら、ぜひ彼女により合った‥というか、更に楽しく没頭できるような作品、脚本に巡り合ったらよいなーと思っているし、願っている(もちろん勝手に)

そういえば、AKB作品で「ADS77」というのがあり、その中で彼女が演じたアンドロイド役もまさに怪演だったと記憶しているが、もともと品のある方なので、そういうクラシカルなSFやファンタジー作品、または重厚な文学作品なんかも似合うのではないか、と。

先程も書いた通り、「両極性と、その振れ幅の大きさ」と「真摯さ」が、岡田奈々の舞台の魅力、持ち味であり切り札でもあると思うので、それが発揮できる作品、多様性のある役などを、ぜひぜひ演じてほしいなと熱望している。これからも岡田さんの舞台を心から楽しみにしたいと思います。(というか、実はぜひ演ってもらいたい脚本があるんですよ‥笑)


ちなみに、エイベックスさんは昨今の「舞台厳冬の時」にも意欲的に作品を製作してくださり大変ありがたいです。

更に余談なのですが、今作品の歌唱指導には横ちん先輩こと、横田裕市さんが入られている。実はですね、彼は私のリアル高校の同じ芸能コースの一つ上の先輩なのです。先日も、開演前に会場で声をかけてくださって久々にお会いできまして、とても嬉しかった。舞台業界、狭いようで広いので、こういうご縁と機会はとても嬉しい。私達もちょうどこの舞台と同じような年月を辿っているので(笑 歌詞で歌われる後半の年齢を聴きながら、縁とはやはり不思議なものよと感慨深いものがありました。横ちんさん、これからもお互い舞台頑張りましょうねー!劇場のあかりを灯し続けていきましょうー!

というわけで「弥生、三月」の岡田奈々さん中心の感想でしたー。


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