1からBizDev採用を始めるあなたへ【BizDev採用の教科書】
直近2〜3年で、「BizDev(事業開発)」の採用を行なっている企業が多くなっているように思います。スタートアップ/ベンチャー企業の採用支援を行う中で、「BizDevの採用をしたい」というニーズは日々増していると感じています。
「BizDev」という職種自体が直近数年で出てきている言葉ですので、どのように採用するのか、そもそもBizDevは転職市場にいるのか?という疑問が多くの企業で生まれているのでは思います。
そこで今回は、BizDev採用に必要な前提情報や施策、手法について本noteで説明いたします。BizDev採用をゼロから始める方にも、本noteを読んで全体感を理解していただければと思っております。
1. BizDev採用を進める前に把握しておいたほうが良いこと
BizDevを採用するための手法を公開する前に、よりスムーズに採用活動を進めるために事前に把握した方が良いことをお伝えします。
1-1. 「BizDev」という言葉の定義の広さ
突然ですが、皆さんは「BizDev」と聞いてどのような定義を思い浮かべますか?
MECEではないですが、様々な粒度で聞いたことがあるものをいくつか記載しました。上記のように言葉が広く使われているのが現状かと思います。
複数のBizDevに関する記事(参照記事は最後に掲載します)を拝見する中で、BizDevという役割やミッションについて2つ感じたことがあります。それは、「会社や事業の"特徴"によって、BizDevの役割が異なる」「会社や事業の"フェーズ"によって、BizDevの役割が異なる」という点です。
今回はBizDev"採用"に関する話がメインのため、採用にフォーカスして話をすると、「BizDev」という広い定義の言葉を会社や事業の特徴やフェーズに合わせて明瞭にできているか?が非常に重要になります。
なぜ、抽象度の高い職務内容や役割を記載することがいけないのかというと、企業側が求めたい役割と求職者側がやりたい役割がマッチしない可能性が考えられるためです。例えば、求職者側が新規事業の"企画〜推進"をやりたいと思っていて、企業側は既存事業のグロースのための外部事業者を巻き込んだ販路拡大を任せたいと思っていたとしましょう。その際に、職種名が「BizDev」で抽象度の高い職務内容を記載してしまうと、双方「あれ、求めていたことと違う」となってしまいがちです。
そのため、ひとえに「BizDev」という職種名であっても、それぞれの企業ごとに求人票の内容をカスタマイズする必要があることをご理解いただければと思います。
1-2. BizDevに求めることが明瞭にできているか
上述の話とつながりますが、企業や事業の特徴・フェーズによってBizDevの役割が異なることを大前提として理解しましょう。
その次に、現在の企業の状況と照らし合わせた時に、「BizDev」にどのようなことを求めるべきかを明瞭にしましょう。
私はBizDevのプロフェッショナルではないので、BizDevに精通している方々のブログを拝見し、BizDevのフェーズごとにやるべきことがとてもわかりやすくまとまっている資料があったので、下記で引用させていただきます。
上記の資料によると、BizDevのやるべきことは大きく4つに分かれます。簡単に整理すると、、
さらに詳細を見ていくと、今回ご紹介したやるべきこと以外にも存在しますが、大枠はこちらに内包されるかと思いますので、現在の企業の状況と照らし合わせながら、BizDevにどのような役割を求めるのかを定義し、求人票に記載していただけたらと思います。
2. BizDevの採用全施策をまとめてみる
大項目1で説明しましたが、企業や事業の特徴・フェーズによって、BizDevに求める役割が変わってきます。ゆえに、求める人物像も変化し、採用手法も変化します。そのため、今回はBizDevの役割を大きく2つに分けて採用で行うべきことの優先順位、採用手法や魅力設計手法を整理してお伝えできればと思います。
事業の特徴ごとに役割が異なるため、大きく「企画」と「推進」の2つの役割に整理しました。ただ、企画のみ行うケースもあれば、企画も推進も行うケースもありますので、それぞれの役割に強みを持った人材というイメージをしていただければと思います。「企画」型と「推進」型のイメージを明瞭にしていただくために、職務内容を下記で比較します。(職務内容の違いを明瞭にしていただいた上で、下記を読み進めていただくと理解が深まるかと思います。また、求人票を作成する際の参考にしていだけましたら幸いです。)
2-1. 事業「企画」型のBizDev人材
事業「企画」型の職務内容は、上述したPSFフェーズと近しいイメージです。具体的には、役割は各企業次第ではありますが、市場調査や顧客調査、MVP検証等を実施し、新しい事業に勝算があるのか、経営陣へのプレゼンなども実施します。
事業「企画」型のBizDev人材の採用ターゲットになることが多いのは、以下のイメージです。
コンサル出身者もターゲットになる理由は何となくご理解いただけるかと思いますが、調査や戦略を策定する対象は違えど、調査や戦略設計が主な仕事であるため事業の企画と近しいものがあり、ターゲットになることが多いです。
上記のターゲットを採用する上で適切な採用手法は、以下のイメージです。(個人的な所感ですが、コンサル出身者はエージェントに加え、Linkedinに多く存在していると感じているため、以下の手法を選定しております)
ここから「より具体的に採用において何を行えば良いのか?」や、「これらのターゲットの求職者にどのような魅力訴求をするべきなのか?」について説明します。
2-1-1. 事業「企画」型の採用全施策
まずは事業「企画」型のBizDev採用において出来ることを項目別で洗い出してみました。
それがこちら👇
※事業「推進」型との違いは、採用手法の設計/運用の優先度です。
レベル5に近づけば近づくほどBizDev採用において「強者(レベル高)」になるイメージです。(個人的な所感ですが、レベル5まで到達している企業はほとんどないかと思います。)
自社で何ができていて、何ができていないかを整理し、優先順位を決めてアクションに移していただけたらと思います。
2-1-2. 事業「企画」型の魅力設計
魅力設計をする際に重要なことは、「ターゲットから逆算したインサイト/メッセージング設計」です。インサイトとメッセージングとは何かを簡単にご紹介します。(詳細を知りたい方はこちらのブログをご覧ください。)
まずは戦略/経営コンサルタント出身→BizDev魅力設計の例をお伝えします。
今回は一例のため、HR業界のメッセージングを記載しましたが、「事業会社でより深く事業に関わり社会課題を解決したい」というインサイトはコンサル業界で働く中で感じやすいため、参考までにご覧頂ければ幸いです。
次に、事業会社の事業/サービス企画出身→BizDevへの魅力設計の例をお伝えします。
会社の特性上、既存事業にしか携われない場合はあるかと思いますので、職務内容の違いを訴求することが一つの魅力設計だと考えています。また、これまで事業の"推進"をメインに行ってきた方であれば、事業の"企画"にも携われるというのは一定の魅力になり得るため、ターゲットに合わせてメッセージングを変えていただけると良いかと思います。
2-2. 事業「推進」型のBizDev人材
続いて、事業「推進」型の職務内容は、上述したPMFフェーズと近しいイメージです。具体的には、役割は各企業次第ではありますが、すでに携わる予定の事業は走り始めていることが多く、その事業をさらにスケールアップさせるために思考します。そして実際にアクションプランの実行まで行う役割です。
事業「推進」型のBizDev人材の採用ターゲットになることが多いのは、以下のイメージです。
BtoBセールスやアライアンス経験者がターゲットになる理由は、大項目2の冒頭でお伝えした事業「推進」型の職務内容をご覧いただけると納得いただけるかと思います。BizDevは営業推進やアライアンスも業務の一部として考えられることがあるため、ターゲットになることが多いです。
上記のターゲットを採用する上で適切な採用手法は、以下のイメージです。
ここから「より具体的に採用において何を行えば良いのか?」や、「これらのターゲットの求職者にどのような魅力訴求をするべきなのか?」について説明します。
2-2-1. 事業「推進」型の採用全施策
2-1-1同様、事業「推進」型人材のBizDev採用において出来ることを項目別で洗い出してみました。
それがこちら👇
※事業「企画」型との違いは、採用手法の設計/運用の優先度です。
レベル5に近づけば近づくほどBizDev採用において「強者(レベル高)」になるイメージです。(個人的な所感ですが、レベル5まで到達している企業はほとんどないかと思います。)
自社で何ができていて、何ができていないかを整理し、優先順位を決めてアクションに移していただけたらと思います。
2-2-2. 事業「推進」型の魅力設計
※魅力設計の説明は上述した通りのため割愛します。
まずはBtoBセールス経験者→BizDevへの魅力設計の例をお伝えします。
一見、セールスとBizDevでは、役割が異なるように思えますが、捉え方/考え方によっては近しい領域と捉えることも可能です。実際にBizDevの記事を拝見する中でそのような表現をされている方もいらっしゃいました。
企業ごとに「BizDevに対してどのような思想を持っているか」が一つの魅力設計のポイントになると感じる事例のご紹介でした。
次に、BizDev経験者→BizDevへの魅力設計の例をお伝えします。
BizDevからBizDevへの転職はまだあまり聞きませんが、事業が一定フェーズまで成長し、正しい権限移譲ができていないと、上記のようなインサイトが生まれくるかと思います。
BizDevのやりがいや面白さは、社長が考えているフワっとしたビジョンをカタチにしていくことや、これまで誰もチャレンジしたことの無い難題に挑戦できること等がある中で、一定の権限がある状態で自ら意思決定していくことが醍醐味であるため、BizDevの役割を決める際に意識したいポイントですね。
3. BizDev採用の落とし穴
最後に、BizDev採用における落とし穴をご紹介しますので、ご参照いただけたらと思います。
3-1. BizDev経験者に固執した採用を続け、採用に至らない
BizDevは他のポジションと比較しても、事業成長を担う重要な役割を担うため、要件を下げたくないのはとてもわかります。ただ、BizDevを採用できずに、事業を停滞してさせてしまうことを最も避けたいはずです。
急募の状況でなければ、必須要件を変えないという選択もありかと思いますが、急募の場合は「今、採用したい人は本当にBizDev経験者でなければいけないのか?」ということを改めて考えてみても良いのではと思います。例えば、MustとWantでBizDevに任せたいことを分けると、どのような強みを持った人を採用するべきなのかがより明確になるケースがあります。
3-2. 求人票の抽象度が高く、結局何を任せたいのかイメージできず採用に至らない
大項目1でお伝えしましたが、まずは現在の企業の状況と照らし合わせた時に、「BizDev」にどのような役割を求めるべきかを明瞭にする必要があります。
特にベンチャー/スタートアップ企業ですと、事業成長のためにやるべきことが多いかつ、解像度が高くないもの(これから高めていくもの)が多く存在するため、抽象度が高く、多くのことを求めがちになってしまうことがあるかと思いますが、「BizDevを何でも屋扱い」しないことを意識して求人票を記載するようにしましょう。(かといって、領域が狭すぎても面白みがなくなってしまうため、ここはよく考えて要件を整理する必要があります)
また、BizDevに求める役割を明瞭にしていく上で、自社の事業特性から逆算することに加え、自社を客観視して採用市場を見た時に、自社の採用におけるブランディングレベルはどれくらいなのかを鑑みた方が良いでしょう。なぜなら、BizDev人材は採用市場に少ないが、企業が求めている需要が高いためです。
上記の観点を踏まえた上で、適切な求める人物像を設定し、採用活動を進めていただけると良いかと思います。
4. 最後に
いかがでしたしょうか。
ここまでBizDev採用に必要な前提情報や魅力設計、採用手法に触れてきました。BizDev採用をこれから始めようとしている方や、悩んでいる方に読んでいただけたら嬉しいです。
私自身、BizDev採用について勉強中ですし、これからさらにトレンドになっていく領域だと思いますので、引き続きベンチャー/スタートアップの採用活動を行いつつ、情報をアップデートしていきたい思いが強いです。
BizDev採用を主導されている方、BizDevの方、ぜひさまざまな情報交換をさせてください。
▼本ブログを執筆するにあたって拝見したブログ (BizDevの理解が深まるブログになので、興味のある方はぜひご覧ください!)
長文でしたが、最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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