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福岡・中洲大洋映画劇場 | シネマある記1

シネマ歩き、シネマある記。
映画館好きな元映画館スタッフが過去に訪れた映画館の思い出を整理するための記録です。

訪問日:2016年8月~2024年3月
閉館:2024年3月31日

映画館の思い出を語るうえで、最初に書くべきは
2024年3月31日をもって78年の歴史に幕を下ろした、
福岡を代表する映画館「中洲大洋映画劇場」。

福岡の繁華街・中洲にたたずむレトロな外観・内観の映画館。
建物の老朽化による取り壊しのため、やむを得ず閉館。
素敵な正面玄関の写真を残していなかった。残念。

内観・シアター

シアターは4つ。メインである1番シアターは真っ赤な椅子に真っ赤な床。
ちなみに、ここのシアターの椅子はフランスのキネットという会社のもの。
この椅子がとてつもなく大好きだった。
ふかふかで大きくて、身体を預けて観ることの満足感たるや。

中洲大洋シアター1

そして、シアター1の広さが好きだった。前後の座席の列の間隔が他の映画館と段違いに広いのである。
「前の座席を蹴らないでください」とアナウンスをされても「大丈夫、届きませんから笑」と、どんなに脚を伸ばしても前の座席の背もたれに当たらないのである。(私の脚が短いという説は置いておこう)
ふとした拍子につま先が前の座席に触れるほど限られたスペースに椅子を詰め込んだシアターも多い中、この”劇場の余白”による幸福感はめったに味わえないのではないか。


シアター2 ~ 4 ロビー

シアター2 ~ 4は先ほどのシアター1とは別棟にある。シアター1のあるチケット売り場から一度外に出て、隣のパチンコ屋が入る棟をエレベーターで4階まで上がる。
残念ながらシアター2 ~ 4の中の写真は撮っておらず、ロビーや扉の写真だけ。なぜだ、あの時の自分よ。
天井は引くめだが、フィルムや星月などの絵が施されたロビーは秘密基地のような安心感がある。ちなみに、売店はドリンクの自動販売機と袋入りのポップコーンやスナック菓子のみ(各150円~300円)。ここでミニオレオやビスコを買ってから観るのが定番になった。

シアター3の扉。私が通っていた間に一度改装された記憶がある。

シアター1に比べればスクリーンの大きさも席数もこじんまりしていたが、奥行きが広かったり、各シアターで椅子が違ったり、個性があるところがよかった。
すべてが愛おしかった。薄情だが、閉館したからそう思うのかもしれない。

鑑賞した映画 ※記憶に基づく


シアター1に上がる階段の踊り場にある上映案内

多すぎるので、印象強かった映画や劇場の雰囲気とマッチした映画などをリストに残しておく。鑑賞した映画はメモに残すのだが、劇場までは書いていないのであやふやなものもあるかも。

  • 『帰ってきたヒトラー』大洋での初鑑賞

  • 『みかんの丘』『とうもろこしの島』その年のベスト10に入れた衝撃的なジョージア映画。忘れもしない、博多駅前陥没事故の日、バイトが休みになったから観に行けた映画。

  • 『ゲット・アウト』これを観た理由で『NOPE』も大洋にて鑑賞

  • 『ムーンライト』

  • 『エヴォリューション』

  • 『レディ・バード』

  • 『女王陛下のお気に入り』シアター1の雰囲気とドはまり

  • 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

  • 『ジョジョ・ラビット』

  • 『ミッドサマー』まだ自由席だったころ、母と二人で最前列で鑑賞

  • 『WAVES/ウェイブス』

  • 『マティアス&マキシム』

  • 『ラスト・ブラックマン・イン・サンフランシスコ』大洋と最高にマッチする、”街とひとの映画”

  • 『燃ゆる女の肖像』

  • 『ベター・ウォッチ・アウト クリスマスの侵略者』新年早々鑑賞

  • 『ビバリウム』

  • 『ストップ・メイキング・センス』

  • 『MINAMATA』

  • 『ダンサー・イン・ザ・ダーク デジタルリマスター版』日本最終上映

  • 『フレンチ・ディスパッチ リバティ、カンザス・イブニング・サン別冊』

  • 『カモンカモン』一時期、A24作品といえば大洋みたいな時期あったなあ

  • 『エルヴィス』

  • 『イニシェリン島の精霊』SEARCHLIGHT作品と大洋はマッチ度が高い

  • 『フェイブルマンズ』偶然にも二つ隣で観ていたお客さんが母

  • 『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』デートで爆笑しながら観た

  • 『ミッション・イン・ポッシブル:デッド・レコニング パート1』シアター1にて

  • 『哀れなるものたち』2回鑑賞。これが大洋での最後の鑑賞作品だった

  • 「午前十時の映画祭」ひたすら通い詰めた。旧作との相性がいい劇場だった

まとめ

こんな感じで記憶を辿り、”不完全な映画館案内”をする記録を始めてみました。文体も構成も今後ブラッシュアップしていきたい。

中洲大洋の閉館は「買い物は投票」という意味とはこういうことかと感じた出来事だった。もちろん、今回の閉館は経営不振ではないから関係ないのだが、どの映画館でも配信でも同じ作品が観れる時代に「いつ・どこで」映画を観るか?のチケット一枚の購入がその劇場の今後に関係すると思う。
ひとつの劇場がエリア内の動員数1位であれば、配給会社からまた作品をもらいやすくなる。常連客の客層や、劇場の強みになる作品のジャンルがあれば継続して上映できる。もちろん、映画館の経営はそう単純ではないのであくまで持論です。
ただ、ひとりお客さんにも微力ながらできることはあるんだよなと思いながら映画館を応援する気持ちでこれからも映画館に通いたいです。



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