夢メモ…Ⅱ…昔+今
赤い赤い夕暮れ
池の回りの通路の先の秘密基地も捨て逃げる。
高い水色のガラス張りの建物の、吹き抜けのホール中央のエレベーターと階段は、空気も床も真っ赤に染まっている。行く仲間が次々に倒れるから。
割れ降り注ぐ大量の、輝く水色の破片が刺さって。
…
…
その場所は見覚えがある。昔来たことがあるような
秋のような黄色・茶色の多い室内。枯れた花束が口を開けている。文字通り口があり、目は無いがアゴを揺らして笑っていた。
広い各部屋に、パソコンとその机。
自分は掃除してまわる。
離れてからよく現れる人物は元気無く怒っているかのようで。
広い各部屋をまわり最初のほうに片した部屋へ戻ると更に広がっていた。ベッドをメイキングしてる間にも奥へ部屋が広がる。
…
…
今日も
人を殺すと殺される。だって残ってるから。
殺した人の隣で、殺した人が殺されるのを待ってる。
ソレが見えた人も死んだ。
だから見えてるのがバレちゃいけない。
たくさんの人、たくさんのアレが居るなかで、今日も医者に呼ばれてしまった。
される男の子を、少し長めに見てただけなのに。
医者はたくさん痛めつけるのに、たくさん殺してるのに、まだ死なない。
たくさん居るから近づきたくないのに
痛くて苦しくて……見てでも良いから終えたくなる。もしかしたらあの医者を…
けど何度も…できなかった。
医者の時間が終わるたびに、談話室のお姉さんを見に行く。あのお姉さんの周りは一人も居ない。お姉さんはいつも笑顔で、見ても話しかけても、すがってる人もいたけど、何の影響もない。いっぱい居るアレより少し薄い。
あの笑顔が好きで
でもアレ達は寄り付かない
好きな居場所。
…
…
職場の人間は羨ましいほど利己的にシフトを決めていた。夕方・夜の短時間ニ枠の総勢が集まり騒がしい、珍しい終業時刻。
帰りの送迎バスは唯一の巨大ショッピングモールに止まる。
荒廃した世界唯一の。
全ての食べ物、全ての衣類、全ての情報が売られる、一つの都市の様な。
その建物のトップの席は長らく埃を蓄えていた。
利己・怠惰・横暴・犯罪・退屈・愛想笑い
目は暗く濁り、希望という概念は歴史に消え、消費のみの世界は終末を待っていた。
輝く瞳は短命。希望の光は世界への大罪。
滅んだ文明のお洒落な髪型・顎髭、渋く見えても20代だろう、一人の青年が溌剌と暗い波をくぐり抜ける。
人の為に世界の為に。全ての生き物が忘れた戯言を宣い怒り、その溢れる光は闇の標的となり破壊を呼び寄せる。
建物の裏、大きな収集用ダストボックスの隙間へ追われ逃げ、
笑顔で躱してきた彼は一つのダストボックスの下部を蹴る。
高く高く跳び、伸ばした腕の機械から古代文明の鉄線が出、ダクトの金網を地上へ落とし、彼を中へ導く。
空いた最上位の部屋で、背を丸め気怠くペンを走らせていた彼は驚き、その瞳は涙を滲ませ光を受け取る。
待ち呆けておりました。お帰りなさいませ。
顔は数歳しか変わらなく見える彼らを、爺と孫程に感じさせる。
…
…
「なんで見送ったんすか」
「………島があいつらを選んだんだ」
…
広大な海にポツンと漂うように、船は通常通り進んでいた。辺りは何もない。雲も島もない。空と水平線と海しかない景色。
朝だからとは言えない急激な霧に船は停まる。
数秒で辺りを真っ白に染めた霧は、またもや数秒で元通りに晴れる。
停めていなかったら大破していただろう、船の目前に島が現れていた。
その
小高い島のふちに、船員が1人立っていた。
霧の出る前は確かに隣で、今日も親友である喜びを楽しみを分かち合ったというのに。
不思議な現象もあって、船員はこの島を探索したいという。
だが船長は船を出せと言う。
親友は怒り問う
船長は、行きたいなら行けば良い、俺は行かない、と。
船員は1人でも探索したがった
親友は迷い………船を捨て親友を選んだ。船の先から跳び、島へ乗り込む。
船長が、お前らなら大丈夫だ、と笑い
船は島から離れる……こんなタイミングで誰かが動かしたのか、波が引き剥がすのか、僅か数メートル離れると、
再び霧が、数秒で島の外を覆い、数秒で晴れた時には船の姿はなかった。
霧が出始めて、もう失いたくないと親友の船員の腕を掴む。霧が晴れるまで、自分たちも島も、霧には包まれなかった。
…
「あの島を知ってるんすか」
「……昔話さ。」
…
…
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