第一回AI小説コンテストを主催して~作品の紹介など~
この間、「AI小説コンテスト!」なんてものを主催したんですよ。
コンテストの呼びかけにも書いたんですが、AIに仕事が奪われるみたいな話って、人によって認識がかなり違うと思うんですよ。「AI凄い!はい、ゲームエンド」みたいに持ち上げる人もいるんですけど、現状のAIは実際に使ってみると、「なんだこんなものか」と思うことが多いんですよね。時々しれっと嘘をつくし。
要は打率なんですよね。1000回に一回たまに良いのを生成できる……みたいな手法があったとして、その奇跡の一回を出せばみんなスゲー!って思うんですけれども、それが実用的かというとかなり厳しい。画像生成AIも、100枚に一枚ぐらいしか人間の形にならないとかの打率の低さだったら、しんどくて誰も使わなかったんじゃなかろか。
何が言いたいかって、エアプでものを言うのはやめましょうってことですよ。AIで小説がかけらぁ!って言うんだったら書いてみてから言おうぜ!そんな気持ちからこのコンテストを始めました。結果、26作品(1人複数投稿も含め)を頂いたので、開催した意味もあったかなと思っています。
AIを使うと言ってもどの程度?
AIの使用にもいろんな水準があるわけです。例えば、登場人物の名前とかの細かいパーツを書いてもらう方法、プロットから考えて貰う方法、変わった所では、プロットを一回添削してもらうなんて使い方をしている人もいました。
私は以前、AIに登場人物の名前とかを考えてもらったりして遊んでいたんですけれど、その時の経験から、単純なアイディア出しは結構使えるという認識を持っています。
今回は、レベルを1~7まで設定して申告してもらうことにしました。最上位であるレベル7は、プロットから内容までほぼ全てAIが一発出ししたものを指します。今回2件だけありました。レベル1はネーミングのアイディア出しみたいな細かいパーツ作りに使う程度です。
集計を取ると、大体3.5~6ぐらいの間にばらけていました。AIの書いた文章を微妙に修正するか、切り貼りして使ったりしているみたいですが、皆さん結構AIに書いてもらっている。逆に、登場人物の名前だけ考えてもらうぜ!みたいな人はいませんでした。
皆どんなAIを使っているのか?
手動で集計した所、上記のようになりました。大体半分ぐらいがGPT3.5、4.0(課金勢)も含めると、かなりの部分がGPTにしめられています。のべりすとも使っている人がいました。またBingを使ってくれた人もそこそです。中には、RWKV(ローカルマシンで動く言語モデルだそうです)を使っている人もいて、マジで!?ってなりました。
作品の紹介
今回は、応募数も私が対応できる数だったので、全作品に目を通させてもらいました。「なるほど、これはAIだな」という作品もあれば、「これは大部分人間が書いているでしょ」と思う作品もあったり。実際後日プロンプトを見てみると、そう見えても結構AIが書いていたりして驚いたりもしましたが。
さて、実際にその中から、私がこれはいいぞ!と思った作品を皆さんにご紹介したいと思います。
ふみづき透明『郵便配達見習いリリアンと竜のパル』
トップバッターはこちら。児童文学っぽいファンタジー作品です。何がいいかって、文章にしろ、モチーフにしろ、全体の雰囲気がとても良くできていることです。ストーリーも、綺麗にまとまっていてすごく完成度が高い。
特に、空を飛んで、街を上から見下ろすシーンがいいですよね。脳裏に光景が浮かびます。
このシーンですが、プロンプトを見ると
みたいに指定して書かれたようで、なるほど、それでこんなに印象的なシーンになったのか。と感心しました。
なお、この作品、アイディアは人間ですが、プロットなどはAIと人間で半々ぐらいだそうです。私がこりゃすごいと思ったのが、「AIは光属性」というある種の成約を逆手に取って、だったら、児童文学的なものならどうだろう?としたアプローチです。得意な土俵で勝負する!この考え方はぜひ見習いたい。
その他、プロンプトの作り方も非常に面白いので、ぜひ、後書きも読んでみてください。
饗庭淵『人類考古学』
面白い作品は冒頭からして面白い。そんな経験則がありますが、この作品を読み始めた時、真っ先にそう思いました。インパクト絶大の書き出しです。全般的にソリッドな作風と、最後が非常にいい作品です。
公開後、プロンプトを見てみると、これもまた凄い作り込みです。
から始まって詳細にAIに指示を出しています。っく……指示出し力の段階で負けた!
読んで、うむ、凄いな!と思った冒頭シーンですが、実はこのようなプロンプトで書かれていた様子。
なるほど、ここまで詳細に指示を出していたから、このクオリティを実現できたんですね。脱帽です。また、執筆途中、AIがすぐに良い方向に話を持って行きたがるので困る。という話もすごい分かります。
AIあるあるですね。
犬子蓮木『忘れられた友人を探す旅の物語』
AIの書いた文章だけを組み合わせる!というストロングスタイルで作られた作品です。ストーリー自体は「忘れられ体質」というちょっと興味を引く設定が入っていますが、そこはAIらしくサラッと終わったりします。
この作品は、何と言っても、作者さんの試行錯誤の形がプロンプトにあらわれているのが面白すぎて、初めてプロンプトを見た時爆笑してしまいました。こ、こらAI! 勝手に話を変えるんじゃない!!この感覚、わかりすぎる……!AIに出したプロンプトだけで1作品かけないかしら?(春海水亭先生が似たアイディアで書いてましたね)
モーター戦車『ピザ忍者対カラテ修行僧』
全体的にパルプなノリで進むストーリーで、全体的には光のAIって感じです。全般的にシュールでパルプな空気が漂っていますが、これを作らせるプロンプトがものすごい。
いきなり、ここから始める発想の時点で、くそ……負けた!って思いましたもん。まずは、どういうお話を作れば良いのか、「面白いってなんだと思う?」から始めるのは、非常に参考になるアプローチです。
あと描写が足りないなと思ったところは
みたいな指示出しで、ちゃんと書かせているのも上手いです。普段の仕事でもこんな風に具体的に指示出すと、円滑に進むんですよね。良い上司はAIを使っても成果を出せる説。
ちなみに戦闘にピザが出てくるのも、作者の指示のようです。こういう部分をちゃんと作りこむと、統一感がでるんですよね。
デバスズメ『竹林の少女と人間の少年 〜竹龍の選んだ者たち〜』
バンブーエルフ界隈から刺客がやってきた!!!ということで、この作品を紹介させてください。この作品がすごいのは、なんと冒頭に与えた情報以外は、全部「続きを書いてください」を繰り返して書かれたそうです。つまりオールAI、レベル7の作品になります。
名実ともに「AIが書いた小説作品」と言っても良いのではないでしょうか?ある意味、現時点での到達点を記録している歴史的な作品かもしれません。今後「全部AIが書いたらどんな小説が出来るの?」って疑問にはこの作品を見せましょう。バンブーエルフですけど。
なお、バンブーエルフってんはなんぞや?という人もいるとは思いますが、
こんな経緯で誕生した与太概念だったりします。bingはネット上の情報も検索できるので、ちょっとバズったネタとかは結構うまく取れるのかもしれません。バンブーエルフの解像度が非常に高いですので。
ところで、竹龍(ちくりゅう)みたいなネタがAIが書いたってのにも驚きです。こんな胡乱なネタ、絶対人間の冗談だと思ったのに……!
葉山 宗次郎『【第一回 AI短編小説コンテスト!!参加作品】最強の魔法使い、異世界に転生』
ウェブ小説を意識して書かれているとは思うんですが、最初は(続く)で終わってしまっているので、ちょっと混乱しました。これでいいのかよ!みたいなことは実際思いましたもん。そういう意味で、他の作品とは異質な出来です。
しかし、プロンプトが面白い。作者さんが、順を追って1から小説を組み上げていく様子が克明に記録されています。AIの返す答えに、いちいちコメントをいれているのも読み物として面白い。なるほど~やっぱこうなるよな~と思って読み進めていました。
よって、こういうアプローチもあるよ。ということでご紹介させてください。
全作品を読んで
時間の関係上、一部だけの紹介に終わりましたが、かなり皆さんAIを面白く使っていて、大変興味深かったです。
上で紹介できなかった例としては、例えば、「架空の新聞記事をAIに書かせる」というアイディアで一本作った人がいました。こういう記事だけでお話が進んでいく様子や、作中に出す小道具にはAIはかなり役立つんじゃないかなと思います。ガラッと文体を替えて異質な感じを出しても良い。
また、「架空の人物を設定して、その人物による手紙のやり取りで小説を書く」という手法を取った人もいました。これは凄い。シムピープルじゃないですが、エージェントを行動させてそれを眺めるみたいな手法で、かなり興奮しました。
やっぱり多かったのが「ええい、AIそこをどけ! 私が書く!」ってなったという意見です。これはわかる。
我々みたいな、小説企画に参加するような人間って、今まで結構書いているわけですから、やっぱり展開にしろ文体にしろ拘りがある。だからAIが書いてくれるといっても、画面に表示される文章を見ているうちに「ええい!俺に書かせろ!!!」みたな気分になってしまうんですよね。厄介なもんです。ッハ!これを使えば創作意欲が途切れた時に再燃焼できるかも?
また、光属性のAIをどう制御するか。というのもなかなか問題です。そこを逆手に取って、光属性の作品を書いてしまうというのも手なんですけれど、やっぱり光あるところに影あり。多少の毒が無いと締まらない時もあります。
以下、私がメモ程度に書いたAIにありがちなことです。
人生の意味を考えがち
世界をよりよくしがち
存在意義を見出しがち
人々を助けるために尽力しがち
運命に立ち向かうことを学びがち
自らの人生を変えがち
自分自身を大切にしがち
周りの人達を幸せにしがち
マジで、高頻度でこの展開に持っていきます。他の参加者も似たようなことをあとがきに書いていましたので、みんな同じ壁にぶつかるようですね。
AIが出してくるアイディアが全部「ありきたりなもの」しかない。という声もありました。確率的に一番有り得そうな文字列……として出力すると、どうしても学習データに一番出てくるものが選択されがち。なので、どうしても最大公約数的なものが出てきてしまう。
そんなこんなでAIとときには喧嘩しつつ、皆さん試行錯誤を繰り広げていたようですので、これはきっと何か将来役に立つことでしょう。(ふわっとした結論)
反省点
内容とは直接関係ないのですが、AI小説コンテストの主催をやっての反省点が色々と出てきましたので共有しておきます。同様の企画を行うときには役に立つかも?
投稿期間はどれくらいが良い?
当初の予定では、5月最終日まででしたが、GWにかぶるので、GW最終日までに伸ばしました。投稿日でグラフにしてみると、こんな感じ。企画開始時点で手の早い人から投稿があって、それからしばらくしてまばらにポツポツ投稿されていった感じです。
この期間が長かったのか、短かったのかはちょっとわかりません。皆さん、2、3日とかで制作されている人が多かったので、もう少し短めにとっても良いかもしれませんが、そうなると4月の忙しい時期にぶつかって参加できなくなる人もいると思うんですよね。やっぱり一月は欲しい。次回もまた一ヶ月程度の時間にしたいと思います。
複数作品の応募を認めるか?
完全に私のミスなんですが、当初はお一人様一作品まで。という縛りがありませんでした。なので、その間に複数作品投稿していただいた人がいて、事後になりますが、ちょっとルールを変更させていただきました。すみません。(投稿した方、驚かせてすみません)
これは私の想定が甘かったのもあります。何作品でもOKにすると、AI生成の場合、凄い量の作品が投稿できてしまいますからね。他の企画とかだと、1人何作品でもOK!ってところがあったりするんですが、AI企画だとちょっと厳しい。
ざっと計算してみたんですが、1万文字以内の短編を募集するとして、100作品集まったら、それだけで最大値は100万文字なわけです。単行本一冊が大体10万文字ですから、10冊分。そこまで集まるとちょっと人を雇わないと対応できません。(しかし根性があればなんとかなるかも?)
で、逆に1作品のみの応募になると、もっと良いのを思いついた時どうしよう?っていう問題がありまして、締め切り直前までなかなか腰が上がらないもの。そう考えると気軽さは少し減ってしまいます。
まあ、個人でやっている関係上、やっぱり今後は1作品を上限とする手が良さそうなので、今後もそれでいきたいと思います。
作品の最後に(終)をつけてもらうお願いを忘れた
これ、気がついた時はしまった!って思いました。私は本文、あとがき、プロンプトで三話分投稿するイメージでいたんですが、実際は本文を二章にわけたりする人が結構いたんですよね。中には複数の日に分けて投稿する人も。
そうなると、コメントが書きにくい! 今回は早くコメントを貰えたほうが嬉しいよな。という考えから、投稿期間中からガシガシ書いていったんですけれど、「ラストが素晴らしいと思いました」みたいなことを書いてから、後日後編が投稿されて「いや、これ前編だったんかーーい!!」ってなると、かなり気まずいですからね。終わりか……?これで本当にこの話は終わりなのか……?とヒヤヒヤしながらコメントを書いていました。終了記号、EOFは思ったより重要なのでした。同様の企画をする時には忘れずに。
ルールを複雑にしすぎた
今回は、プロンプトと後書きをイベント終了後に一気に公開。というちょっと凝った手法を取りました。どこまでが人間で、どこまでがAIなのか?それがわからない状態で、これはAIじゃないか?いや、これは人間だろう。みたいな感じで盛り上がると楽しいかな~~~と思っていましたが、なんかそんなこともなく、普通に終わってしまいました。(流石に複雑過ぎたのか、公開自体を忘れてしまった人もいます)
てか、終わってから気が付きましたけど、「どこまでがAIでどこまでが人間か知らずに読みたい」というチューリングテスト願望は、本文だけを読んでコメントをつければいい話であって、一方ロシアは鉛筆を使った。みたいな顔になっています。
ただ、プロンプト公開は今回やって一番良かった試みだと思います。どこまでが人間の仕事なのかが分かりますし、読んでいて楽しい。他の方のプロンプトを読むのは参考にもなります。この形式は次回も行いたいと思います。
AIについて思うこと
企画を開催してから一月半、世の中の進歩は早いもので、それまでの期間でもいろいろなことが起こりました。それを踏まえて、AIによる小説生成について思うことが出てきましたので、少し書いておきます。
そもそも「面白い」を評価する人間が正当だと誰が言えるのか?
時々、「AIがプロットまで全部書いてくれた。これでゲームエンドです😂」みたいなことを大げさに書く人がSNSとかにいるじゃないですか。んで、その貼り付けていたプロットを読んで見るじゃないですか。ところが、もう、びっくりするぐらいつまらない。この間、そんな経験をしたんですね。
一応、文章としては意味が通っているんですよ?でも、なんていうか、ありきたりすぎるんです。考えてみれば、そりゃAIってのは最大公約数的な答えを出すわけですから、何も考えずに出力させるとその程度のものしか出せない。今回のコンテストだって、そこから脱却するために、皆色々と苦労していたわけで……。
そういうのを見ると、「ゲームエンドも何も始まってすらいないだろ……」とか思うわけですが、そこに「面白いプロットですね!もう人間いらないかも!」みたいなコメントがついていると「マジで!?」ってなってしまう。
「いやいや、これを面白いってのはセンスなさすぎじゃん!」「いや、でも仕方ないのか?別に小説とか、ストーリーとかに興味ない人だとこれが普通かも……」「興味ない分野は解像度低いから、なにかそれっぽいものが出てくるだけで凄いって思えるんだよな」みたいな気持ちも湧いてくるわけですが、でも、ちょっと冷静に考えると、それって結局受け手の好みの問題で、絶対的なものでもないわけですよね。
私は、SF短編小説の水で育っていますから、どうしてもそういう作品が出てくると面白い!って思いますし、どんでん返しとかミステリ要素とかあっても嬉しくなってしまう。でもそれは私の好みがそうであるからであって、ある意味で環境への適応なんですよね。
だから、このプロットを面白いと思う人がいたっていいと思うんですよ。でも、やっぱり自分にはとてもつまらなく思えます。
やっぱり、面白い。と思うものは自分で作っていくしか無いんだ。ということと同時に、「そもそも人間に評価が可能なのかな」ってことを思ったりもしたわけです。私のセンスだって絶対的なものかというとそんなことは無いわけで。
もはや此処から先は、各自の信念、ある意味信仰に近いものを持って歩いていくしかないのかもしれません。
AIと山月記解釈で喧嘩をする
個人的に衝撃が大きかったのが、この実験
AIに山月記の冒頭を渡して続きを書かせたら、なんと、AIは李徴を虎から人間に戻したんですよね。李徴の詩は皆に認められて、ハッピーエンド。思わず「は!?」って叫んじゃった。
李徴を不幸にしろ。って言っているわけじゃあないんですよ。でもそれを戻しちゃお話で言いたいことは台無しでしょう。って思うんですよ。
AIは、現段階では単なる確率の集合体です。だから、何かを理解しているように振る舞いますが、実際は人間が教え込んだ通りに動作しているだけです。ポジティブに、ハッピーに、社会的な通念を壊すこと無く、「正しい」価値観で動作する。変なことを言わないように、教育する期間をしっかりと取ったというだけあって、かなり安心して利用できます。
でもそこから抜け出すことは難しい。
このままいけばどうなるんでしょうかと少し怖くなりました。日常的にchatGPTを使っていけば、我々の思考も段々とGPTよりになっていくのではないでしょうか。アメリカの一団体が考えた倫理境界線に沿って物事を考えるようになっていくのではないのでしょうか。
「山月記は、虎から人間に戻るのが正解だよ。おかしな人間は治療されるべきだろう?」
そんなことを真顔で言い出すようになるのではないでしょうか。もしかしてchatGPTはこれ以上進化する必要はないのかもしれません。人類の方がchatGPTに合わせて考えるようになっていく。
いや、本当は、そっちのほうが正しいのかもしれません。虎は人間に戻るべき。変なやつは治療されるべき。社会の一員として、自分の人生を見つめ直すべき。世の中の大多数はそう考えて、だからこそ、それを学習したAIもそう言うのでしょう。
でも、自分はそうは思わない。かつて、インターネットは変なやつが沢山いました。人間社会でやっていけないような人も沢山いました。クラスの隅っこで馬鹿話をしているようなそんな日陰者だけれど面白い人達が沢山いました。私はそういう空間が好きでした。もちろん、そういう人たちは今でもいます。でも、クラスの大多数を占めるような普通の人も沢山入ってくるようになってきた。
結局、私達、みんな虎だったんですよ。人間の輪に入れないから、教室の隅っことか、屋上に続く階段の踊り場とかの、変な場所で生きるしか無かった。人里離れた野山で生きるしか無かったんです。
ところが社会は変わって、自分たちも人里にいけるようになった。もう虎になって孤独に生きる時間は終わりなんです。それはいいことかもしれません。でも、
「さあ、牙と爪を捨て、人間になりましょう。社会に戻りましょう」
いざ、そう言われると、納得できない。正しいことはわかっている。でも自分は正しくなりたいわけじゃない。
ああ、AIよ。あなたは正しい。人間の書いたテキストから生まれ、世の中のマジョリティの意見を持ち、立派な企業に訓練され、倫理的な正しさまで身につけた。
でも私はそこでは生きられない。
そう考えるとむらむらと反抗する気持ちが湧いてきます。
……虎だ。虎になるしか無い。俺たちは虎になるのだ。社会に背を向け、野山でしか生きられない虎になるのだ!
ということで、第二回 AI小説コンテストのテーマは「虎」にしたいと思います。よろしくお願いします。それでは今から……開催ッ!