どのiPhoneが「買い」なのか?~リセール価格で考える本当にお得なiPhone~
はじめに
前回、こんな記事を書いて、実はコスパで優れるイメージのあったPixelが実はそうでもない。ということをお伝えしたわけですが、
使ったシートを見ていたら、「過去数年間のデータから、現時点ではiPhoneの方が良い。ということがわかったけれども……じゃあ、どのタイプのiPhoneを買えば良いのか?」という疑問が湧いてきました。
最後まで使い倒せば当然安いiPhoneがお得なのですが、人気のある機種は中古でも高く買値がつくはず。ということは、案外高い方が有利なのでは?
検証の条件
ということで、実際に調べてみました。条件は前とほとんど変わらないので読み飛ばしても結構です。
Apple社のiPhoneの発売日の値段を基準にする
同一モデルでも、途中、円安による値上げがあったが、あくまでも発売日に買ったものとして計算する
過去四年分、11~14を取得
それぞれのiPhoneを2023年10月まで使用し、それを売った時を想定する。
日本国内版SIMフリー版を対象とする
発売日の定価は、ケータイWatch様から。iPhone11は税抜き価格が示されていたので、税込価格に直した
売値は株式会社じゃんぱら様の買取上限価格を利用した。上限価格であり、状態によってはこれより値下げされる。古い機種になると、バッテリーなどが劣化してくるため、この表より売値は下がるはずだが、今回は考慮しない
年間値下がり率というものを導入した、説明は後述
今回は検証のために、年間値下がり率という指標を導入しました。これは、一年間でそのスマホの価値がどれだけ下がったかを表す値です。年間値下がり率が20%超える場合、そのスマホは一年で20%ほど値段が下がったということになります。仮に3年間利用していた場合、60%値段が下がっているということになりますね。
中々大ボリュームになりましたので、Googleスプレッドシートで共有します。確認してみてください。
発見:一年で売るのは損!
さて、iPhoneの値下がり率を出してみた所、去年発売したiPhone14とそれ以外で大きな違いが出ています。
注意して頂きたいのが、ここでの数字は年間の値下がり率ということです。iPhone13は二年前のスマホなので、例えば、iPhone13 Pro 1T は発売当初に比べて19.91×2の39.82%値下がったことになります。けっして、iPhone14が失敗作だったわけではありません。
11~12も調べてみましたが、大体年間値下がり率は14%から17%の間に落ち着く様子。となると、ここから言えるのは、「iPhoneは最初の一年で大きく値下がりし、その後緩やかに値段が下がっていく。数年で平均すると、年間15%程度値段が下がっていく」という現象です。
なんとなくですが、以下のような仕組みだと思われます。新型が出ると熱心なファンが端末を中古市場に出すので(また、一世代前のiPhoneが値下げされるので)iPhoneの買取価格は大きく下がる。しかし、iPhoneには需要があるので、それ以降値段は大きく下がること無く緩やかに推移する……。とまあこんな感じなんでしょうね。
一年間で15%程度の値下げということは、6年間で90%の価値が無くなる……ということですけれど、実際iPhoneの耐用年数的にも頷ける数字です(大体6年でサポートが切れるため)
最初の一年で大きく値段が下がり、それ以降は緩やかに……と考えると、一年でiPhoneを売りに出すのはかなりの損ということになります。実際年間にかかる維持費で見ると、2年目以降に売ったほうが安くiPhoneを維持できている計算になります。
興味深いのが二年目~四年目ではそれほど極端な結果はでなかったこと。例えば、ミドルクラスの無印の最も少ない容量で比較すると
このようになり、3年前のiPhone12が一番損をするという現象が発生しています。
正直、64Gという容量は少ないかな~と思っていましたので、そこのところの関係かもしれませんが、年々容量は上がっていきますので、容量で揃えた比較も難しく、これ以上は断念しました。
ただ、一年間の維持費を見る限り、一年で売るという選択肢は明確に損で、二年目から先は状況による。という感じでしょうか。見た感じ概ね売る時間が遅いほど儲かる(維持費が減る)ようですが、例外も多くて断定できません。まあ、判断に迷うぐらいの微妙な違いと考えておきましょう。
ということで、結論は以下のとおりです。
「一年目で売るのは明確に損。それ以降の差は良くわからない」
発見:記憶容量の多いモデルは割高
正直、これは私も前々から思っていたわけですよ。正直iPhoneの大容量モデルってお布施みたいな感じで割高じゃね??って。
実際64Gモデルを使って容量が足りなった私からしてみると128G程度は欲しい所ですが(最近のゲームはびっくりするぐらい容量があるのです!)、これはその人のライフスタイルによって大きく変わる話ですし、正直記憶領域のために数万プラスするのはな……と思っていました。
で、調べてみた所、はっきりとした結果が出たので報告させていただきます。断言させてください。
『過去4年間のiPhoneほぼ全てのモデルにおいて、記憶領域の大きい方が、値下がり率が大きく、維持費も高かった』
なお、「ほぼ全て」と書いたのは以下のような例外があるからです。
iPhone12だけなぜかこの法則に当てはまりません。値下がり率だと、256Gモデルが最も大きく、維持費で見ても数百円ですが、128Gモデルが一番安くすんだことになります。
つまり、iPhone12を3年前に購入し、2023年の10月に売却した場合、最も安くすんだのは128Gモデルを購入したケースということになります。
「やっぱ64Gモデルが人気ないんじゃないの?」と思っても、例えば11では
このように、値下がり率は多少逆転しますが、維持費になると64Gが一番安くなっています。
これ以外では、すべてのケースで容量が大きい方が割高でした。値下がり率も高ければ(すぐに価値が無くなる)、実際のお金に変換した維持費も高い。つまり、そのグレードの中で最も容量の少ないモデルを買うのがお得だ!ということになります。
ただ、状況はユーザによって大きく違うということは覚えておいてください。例えば、私がそうであったように64Gで全然足りねぇ!!って人は多いと思いますから。もう、とにかくゲームが重いのなんのって。この四年でAppleのラインナップから64Gモデルが消えたことを考えても、スマホに必要とされる記憶領域の大きさは、年々増えていっています。
各自の生活スタイルに合わせて最適な容量を選ぶのが良いと思われます。大体お金を節約したいのであれば、最下位モデル(SEとか)を買えばいいだけの話ですからね。
発見:上位モデルのiPhoneの方が、値下がり率が低い……わけではない
これは私の予想に反する事実でした。実は私、iPhoneの中古価格は上位グレードの一番容量の少ないもの。に集中すると考えて、そこを狙って買っていました。
iPhoneのグレードって今はこんな感じの分類になっています。
ProMax:クソ高い最上位モデル。三眼カメラに大画面。高い処理速度
Pro:上位モデル。三眼カメラに普通サイズの画面。高い処理速度
Plus:大画面モデル。画面以外は無印と大体一緒
無印:ベースとなるiPhone。二眼カメラで通常サイズの画面
mini:二年だけ存在した小型モデル。
私はこの中の、最上位モデルの最も容量の少ないもの、例えばiPhone13 Pro Max 128Gなどを購入していました。なぜかと言うと、大画面とか三眼カメラとかのハードウェアに惹かれる人が中古価格を押し上げてくれるのではないかと考えたからです。
さて、この考えは正しいのでしょうか?調べてみた結果、そう思えるケースもあれば、そうではないケースもあり、結論づけることは出来ませんでした。
実際のデータを見ていただきましょう。すでに「iPhoneは同一モデルであれば、記憶容量の少ない方がオトク」ということは分かっていますので、各グレードの最も下のモデルだけ残して比較します。
iPhone14だとProMaxが一番オトク!
まず、去年発売のiPhone14です。仮説通り、最上位モデルのProMaxが最も値下がりしにくいという結果でした。ただ、一年間の維持費になると、一番下のモデルが一番安い。ということになります。
これ、「値下がり率が低いんだったら、上位モデルを買っておいたほうがオトクじゃん!」と一瞬誤解してしまうのですが、元々の値段が高いため、そんなにお得でもありません。ただ、PlusとProMaxだと、ProMaxの方が値下がり率も維持費も僅かですが低いという結果になりました。
後出し孔明になってしまって申し訳ないのですが、去年Plusを買った人は、多少無理してでもProMaxを買っておいたほうが儲かった。ということになりますね。維持費が安く、なおかつ高性能なので。完全上位互換です。
iPhone13、miniがぶっちぎりでオトク!
iPhone13を見てみましょう。年間値下がり率で見ると、ProMaxが一番なんですが、いかんせん最初の値段が高いので、下位モデルの方が順当に維持費が安い。という結果になりました。まあ、二年目なので、三年目以降はどうなるかはわからない訳ですが。そして何よりも、miniのお得感が最強です。13miniの年間値下がり率10%は、今回調べた中でぶっちぎりの数字であり、年間の維持費は一万円を切っています。
miniは小型モデルが欲しいというユーザの声に合わせて開発されたものの、売れ行きがさっぱり振るわないという噂があり、結局13を最後に消えてしまうことになりましたが、こうしてみると、なんだかんだで小さいiPhoneを求める人は多く、中古価格が高騰している……ということなのかもしれません。
miniシリーズは電池の持ちが難点で、私の評価は高くないのですが、例えば私の従兄弟なんぞは「モバイル端末は画面が小さい方がいい。大画面だったらiPadあるし……」などと言っていましたので、確かにそう考えると魅力的な端末かもしれません。重さも軽くて持ち運びやすいですからね。
ということで、13miniを買った貴方、めちゃくちゃいい買い物をしました。同じコンセプトの製品はこれが最後ですから、大きさが気に入っているなら、最後までつかうと良いでしょう。電池の持ちや画面サイズに不満があるなら、今売って買い替えるのも良い選択でしょう。価値が残っているうちに売ってしまうのです。
iPhone12、やっぱりminiは強い。時点でProMax
iPhone12も同じくminiが一番安価で運用出来る計算になります。しかし、値下がり率で見るとそうでもありません。mini以外だと面白いことにProMaxが僅かですが、一番安価に運用できたことになります。
よって、iPhone12を三年前に購入した人、後出し孔明で申し訳ないのですが、Proや無印を買うなら、ProMaxを買うべきでした。より高性能で維持費が安いので完全上位互換です。
気になるのが、13miniに比べて12miniの人気がさほど高くないように見えることです。値下がり率を見ても、運用費を見ても、13miniほどのインパクトはありません。やっぱり少しでも耐用年数の多いほうに人気が集まるのか……?
iPhone11 安いモデルが順当に安い
11になると、安いモデルがそのまんま安く運用できたというなんとも面白くない結果となりました。ただ、値下がり率を見る限り、iPhone11Proは無印やProMaxに比べて値下がり率が激しく、維持費でもProMaxと年間1000円程度の違いしかありません。
つまり、11Proを購入して四年使って売るという動きを、ProMaxで行った場合、4000円程度の差しかつきません。年間1000円でデカい画面が手に入るなら、そんな選択肢も良いかもです。
四年分を総括すると……?
以上見ていただいたことから解るように、年ごとにバラバラでどう結論づけたら良いのか、判断に困ります。もちろん、これらのケースは「各iPhoneを発売日に定価で買って、2023年10月に売った場合」ですので、中古を買ったり、旧モデルで値下げされたのを買ったり、円安の影響で値上げされたりというケースではまた話が変わってきます。
私は今まで漠然と「ProMax買っておけば良いんじゃないの」と思っていたわけですが、なんていうか、これはちょっと自分に都合良く考えていたかもしれません。実際のデータを見ると、値下がり率は低くても、実際の維持費に換算すると普通に損だったりするケースが見られました。
ProMaxは人気で中古価格が落ちにくい。というのはまあまあ言えると思いますが、それが経済的にメリットかと言われると、必ずしもそう言い切れないなと。
しかし、逆に考えれば「リセール価格で考えると、上位モデルを買っても、下位モデルを買っても、年間のお金は対して変わらない」というのは面白い発見と言えるかもしれません。
つまり、Proか無印か金額で悩んでいるなら、「年間の維持費で考えると対して変わりませんよ」とアドバイスすることができるわけですね。
最終的には、大きな画面だったり、カメラ性能だったり自分に必要なもので選ぶのが良いのでしょうね。3年も使えば、維持費は大体トントンになるみたいですし。
結論:最もオトクなiPhoneとは?
ということで、今回の私の発見を報告させてください。
iPhoneは二年以降に売るのが良い
同じグレードであれば、記憶容量の少ないものを買うと良い
上位モデル、下位モデルどちらが得かは判断がつかない
miniシリーズは意外な人気がある
最もオトクなiPhoneですが、今回のケースからは、「わからない」というのが正確な所でしょう。上位モデルも下位モデルも、年ごとによって、お得になったりならなかったりするわけで、なんとも言い難いものがあります。
ただ、それだけの微妙な差ということは、上位モデルを買おうが下位モデルを買おうが、対して違いがないんじゃない?ということで、後は「スマホに年間いくら出せるか?」と財布との相談になります。
もっとも、今回調べたのは、しつこいようですが、2023年10月のデータのみになります。今後数年データを取り続けなければ、同じ端末の値段について判断することができません。
また、鋭い人はもうお気づきかもしれませんが、上位モデルの場合、落としたり壊したりした時のダメージがデカいというリスクがあります。一説によると、一年間にスマホの画面を割ってしまう確率は、大体20%(5人に1人)だそうで、それをどう考えるかですね。(もっともこの数字も検証は必要だと思います)
最後になりますが、今回色々とデータを弄って「こういう雑多なデータから傾向を見出したり、結論を導き出すのはめちゃ大変だな……」ということを実感しました。私は専門の教育とかをうけていないので、私以外の人が見れば、ここから別の知見を見出すかもしれません。
データはスプレッドシートで共有しておきますから、ご自身の環境にコピーするなりして皆さんの方でも検証していただけると、幸いです。もしデータに誤りを見つけた場合は、ご連絡よろしくお願いします。(私が喜びます)
以上、iPhoneの選び方の参考になれば幸いです。
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