「ヤクザ者の美意識から学ぶ人生の流儀」
『グッド・フェローズ』(1990)
☆監督
マーティン・スコセッシ
☆出演
レイ・リオッタ
ロバート・デ・ニーロ
ジョー・ペシ
☆STORY
幼い頃から“グッドフェローズ”と呼ばれるマフィアの世界に憧れるヘンリーは、ブルックリンを牛耳るボスの下で一人前のギャングとして成長していく。
やがて結婚もして、家庭を築くヘンリー。
だが相棒が起こした大金強奪事件をきっかけに、FBIから組織に関する証言を迫られ・・・。
☆感想
本作の99%が実話。
1955年から1980年にかけてのニューヨーク・マフィア界で生きた、アイルランド系の父とシチリア系の母を持つヘンリー・ヒルという、実在の男を題材とした作品。
一言でいうと『ゴッドファーザー』のドキュメンタリー版というところで、『ゴッドファーザー』(72)はニューヨークのシチリア(イタリア)系マフィア、コルレオーネ一家をめぐる物語で、宿命的な因果関係や普遍的な親子の葛藤などが綴られている。
そんな家族愛や仲間愛とは違い、当時の人間の欲深さ、人間の愚かさ、裏切り、殺人、強盗…がよりリアルに描かれているのがこの『グッドフェローズ』。
ある種、それが人間味があって人間らしいと思いつつ改めて人として"どう在りたいか"を考える。
しかし、そんなに重くわなく、主人公ヘンリーの語りを挟みながら進行する物語は、センスのいい映像とノリのいい音楽により心地よいリズムによって、飽きさせないし嫌味がない。
そして、この映画に『ゴッドファーザー』シリーズのような“やくざ者の美意識”が軸にあるから、そう感じたと言っても過言じゃない。
とは言うものの、気持ち良いくらいに
綺麗事も偽善もないこの映画に、余計な解釈をつけようとするのは難しい。
だって深いメッセージや人生の教訓など、そもそもこのワイズガイたちの世界には存在しないから。
彼らは、彼らの掟の中で生き、その掟に従って殺ったり殺られたりするだけなのだ。
それが"やくざ者の美意識"なんだと。
あえて僕自身の解釈を言うなら、、、
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