図書館司書になりかけたけどやめた話
とある会社から、業務委託での図書館司書(パート)の内定をいただいたけど、不信感が募ってやめた話を書こうと思う。
1.書類選考、面接のアポ
インディードで図書館司書の求人を見て、応募したのが今年の1月6日くらいだった。書類選考をするので履歴書と職務経歴書を送ってくださいというメールが届き、翌日7日の昼間ごろに紙で履歴書と職務経歴書を送った。なお、メールには「書類選考通過しなかった場合は連絡もせず、書類はこちらで破棄します」と書いてあった。そして、面接ができる日程も書いておいてくださいとも書いてあったため、面接希望日程もいくつか書き応募した。
それから10日。何の音沙汰もなかったため、あぁ書類選考で落ちたのだな、と思っていた、1月17日の夕方。知らない電話番号から着信があった。この求人以外にもいくつか応募していたため、どこかの会社かなと思って出たら図書館の求人を出していたこの会社からだった。そして、電話に出ると開口一番「今日今から面接したいんですけど会えます?」と言われた。いやもう夕方に差し掛かってるのに無理だよ、今寝間着だよと思い、「すみません、用事があるので…」と言ったら「え?でも今日面接できるって履歴書に書いてましたよ?」という返事。確かに1月6日時点では面接できる日程に今日を入れていたかもしれないけど!!当日アポ取る奴がいるかい!!
その後も「弊社に来れないなら私があなたの家まで行くので、面接場所用意しておいてくれますか?」などと食い下がってくるので、「申し訳ございません、さすがに今日は…」と何度か言い、渋々今日は無理ということを分かってもらった。「また連絡します」という一言で切られた。
そして1月21日。昼間に先日と同じ電話番号から着信。例の採用担当(Aさん)から「今日面接できます?」と言われる。また当日アポ!!なんで!?しかし当日アポとはいえ、2回も断るのも悪いなぁ、という気分になってしまい、夕方からなら…と返事をするとAさんは喜び勇んで「じゃあ茅沼さんの家の近くまで行きます!!」と。家の最寄り駅付近のカフェで面接をすることになった。
2.面接
面接会場であるカフェに行くと、もうAさんがいて、スムーズに面接が始まった。図書館司書の資格と経験があるとはいえ、短期離職経験も多いし最後に働いてからかなり空白期間もあるため、いろいろ耳が痛いことを言われるだろうなと思っていたら、職歴については一切触れられることはなかった。仕事内容や契約について話を聞き、こちらからいくつか質問をして、最後に「他の求人も応募しているか」を聞かれ、していますと答えたらその場で採用され、応募している求人を取り下げるようお願いされた。そのときから「ああ、よっぽど人が足りていないんだな」と思ったのだが、また図書館司書の仕事ができるんだという喜びが上回ったため、採用を受け入れることにした。
その場で2月1日からの雇用契約書を書き、給与支払いのための口座などを書く書類を一式渡され、できる限り早く返送してほしい、と言われその日は解散となった。
3.電話をしたらキレられる
面接が終わって帰宅し、早速渡された書類を書いていたが、いくつか分からないことがあったため、翌日Aさんに電話をしたら、昨日の面接とは打って変わって低くぶっきらぼうな声だった。まぁ私はAさんの機嫌をとるための人材ではないので、と気にせずその日は電話を終え、書類をすぐに完成させて送った。
その数日後、精神科の通院日を伝えようと思いまた電話をしたら、とうとうブチ切れられた。「あのねぇ!!そういうことは!!!!メールで言って!!!!!!」と怒鳴られた。確かに忙しいであろうAさんにいちいち電話した私も悪かったとは思う。ただ、Aさんは履歴書を10日も放置するような人で、メールもちゃんと読むかどうかわからない、とにかくあまり信用できない人だったので、どうしても伝えたいことは電話で伝えたかったのだ。まさか怒鳴るほどフラストレーションがたまっているとも思わないだろう。少しびっくりしたが、すみませんと言い早々と電話を切り、メールで謝罪の文言を添えて通院日について伝えた。案の定メールの返信はなかった。
4.ようやくできあがるシフト
もうすぐ図書館の勤務が始まるという1月28日の夜、ようやくシフトと、研修をするから来てほしいというメールが届いた。シフト表をあけてみてびっくりした。出勤日の半数以上が7時間勤務、つまりフルタイムだったからだ。私は現在扶養内での仕事を探しているから週3日、1日5時間程度の時短勤務にしましょうね、と面接でAさんと何度も確認し合ったのにも関わらず、である。ちなみにシフトを組んだのはAさん自身である。
早速メールで、私は時短勤務という約束で採用を受け入れたので、このシフトでは働けない、シフトを組み直していただきたいと送った。そして翌日も怒鳴られるのを覚悟で電話をし、フルタイムで入っているのはどういうことかと問うた。すると怒鳴られはしなかったが酷く慌てている様子で、「2月は忙しいから変則的にフルタイムになってしまったけど今から組み直すから待っててほしい。シフトについては他のいろんな人からも文句を言われているから、とにかく待ってほしい」と言われ一方的に電話をガチャ切りされた。この時点で1月29日であり、シフトが稼働するのは2月1日である。
5.研修未満の何か
1月30日、研修のため2月1日から働く予定の図書館に行った。一緒に働く人たちと自己紹介をした。不安に思ったのは、半分以上の人が未経験者であったことと、私たちがオープニングスタッフであるということを知ったことだ。図書館自体は既に開館しているが、違う会社が業務委託をしており、2月1日からうちの会社に業務委託先が変わるということだった。だから2月は変則的なシフトだと言っていたのだなと思った。
とりあえずみんなでマニュアルを見よう、と数百ページはありそうな分厚いファイルを配られた。本来できればマニュアルは一人1冊ほしいところ。だが、2~3人に1冊しか配られない。理由を聞くと、マニュアルがまだ全員分できていないからだと言う。求人は確か年末頃から出ており、1月もあったのに、何をしていたんだ…?とますます不安になる。とりあえずみんなでパラパラとマニュアルを見る。が、ハッキリ言って図書館のマニュアルというのは1日2日で理解できるものではない。実務に必要なパソコンソフトの使い方だけでなく図書館を利用するにあたっての法律や様々なルール、自治体のルールなども絡んでくるからだ。貸出返却や新規利用者にも独自のルールがあり、全てを覚えるのに何日もかかるようになっているのだ。
1日から一緒に働く責任者のBさんもマニュアルをほとんど読んでいなかった上にこの図書館の基本的な利用の流れもほとんど知らなかったようで、研修とはほとんど言い難い時間を過ごした。途中、この図書館に初めて来た私がなぜか新規利用者のカードを作る実務をみんなの前でさせられるという出来事も起きた。知るわけないだろ!!と思いながらなんとかソフトを見て、こんな感じかな…?と手探りでやった。絶対間違ってると思うが間違っていると言える人がいなかったため、Bさんが「このやり方をみなさんも覚えましょう」と言っていた。
3時間の研修が終わり、最後にみんなでシフトの確認をしたら、案の定Bさんには私がフルタイム勤務の人だと思われており、私がパート勤務であること、今Aさんにシフトを作り直してもらっていると言ったらびっくりされた。この時点で、もうダメかも、と思っていた。
6.辞める
家に帰る途中も、帰ってからも、「だめかもしれない」という思いでいっぱいだった。明後日から稼働なのにシフトもマニュアルもない上に、私は経験者扱いにされているので何も知識がないのに未経験者の人たちの指導係にされる可能性もある。怖かった。
家に帰って家族に、とりあえず今日のできごとを説明したら、やっぱり大反対された。ただでさえ統合失調症がやっと回復してきたばかりなのに、そんな問題だらけのところに行ってまた悪化したら元も子もない、という一言で、今回の採用を辞退する決心がついた。
Aさんに電話をしようと思ったが、ちょうどAさんが違う図書館に研修に行っている時間だったため、メールで「採用を辞退します」とできるだけ丁寧に、申し訳なさそうに書いた。また逆鱗に触れて怒鳴られたらこわいと思ったからだ。
夜になっても、Aさんからは何の音沙汰もなかったため、翌日電話をしたが留守電だった。留守電にメールと同じ文言を吹き込み、数分後「承知しました」とだけ書かれたメールが届き、終わった。
7.業務委託もピンキリ
今回の一連のできごとで、図書館の業務委託はピンキリなのだなぁということを学んだ。数年前、初めて図書館司書になったときの業務委託元はかなりしっかりしたところだったのだなと思った。シフトやマニュアルがしっかり用意されている会社もあれば、今回のように全てがギリギリで、責任ある立場の人たちが全員社会人として問題アリなところもある。図書館で働きたい人は、図書館の求人はピンキリであることを念頭に置いて就職活動をしたほうがいいと思う。
研修では方々でもっといろんなことが起きていて、例えばずっと自分の地元の三重県のことを話している人がいたりだとか、責任者Bさんはずっと自分が働いていた前の職場の話をしていたりだとか、他にもいろんなカオスがあったが、書いているとキリがないので省いた。前の職場でも思ったが、図書館という職場には一般企業では鼻つまみ者にされるような、いわゆる変わり者が一定数おり、かなりストレスを周囲に与える人もいるため、図書館で働きたい人は覚悟を持っておいた方がいい、と思う。
研修の時点で、もうダメだ、noteのネタにしないとやってられんと思っていたので書き終わってほっとした。今日からこの図書館のシフトは始まっているが、どうなっているかは知る由もない。どんな地獄になっているか見に行きたい気もするが、電車賃がもったいないのでやめておこう。