憂鬱と鬱々

私は統合失調症で、毎月精神科に通っている。1年以上飲んだロナセンという薬を医師の指示で断薬したのが9月17日から。ロナセンの副作用である眼球上転を止めるアキネトンという薬を処方されなくなったのが11月19日から。その日を境に、私にまた眼球上転の症状が出るようになった。

この眼球上転には、もう1年以上悩まされている。もっと早くロナセンを断薬していれば、こんなことにはならなかったのかなぁ、と思う。

眼球上転とは、文字通り眼球が上を向く症状のこと。上を向かないで自分の意志で前を見たらいいじゃないかと思うかもしれないが、なかなかそうはいかない。前を見よう、下を見ようとしても、グルンと眼球が上を向いてしまう。歩いていようが包丁を使っていようが、容赦なく眼球は上を向く。1年以上悩まされて私が独自に開発した解決方法は、ソラナックスという精神安定剤を飲んで横になって1時間以上眠ること。それが唯一の方法。

今のところ、眼球上転は2日か3日に1回の割合でくる。週2日か3日の頻度できていることになる。ただ、眼球上転がいつくるのか分からないという不安で、最近は外出することも億劫になってしまい、常に眼球上転のことを考えて身体が強張っている。毎日が憂鬱で、不安で。正直言って生きるのがしんどい。

最近までは、眼球上転になったとき早く解放されたいという一心でソラナックスを一度に10錠以上飲んでしまっていたが、家族に指摘されてやめることにした。11月いっぱいまで就労継続支援事業所A型に通っていたが自律神経失調症になってクビになり、この度晴れて無職になったので、眼球上転したら好きなだけ寝たらいい!と言われた。そうだよな、寝たらいいんだよな、と思って少しだけ不安はなくなったけど、また違う不安が即座に私を囲む。外出時に眼球上転したら?病院とか、どうしても外せない用事のときに起こったら?映画館のような、薬も取り出せないし眠りたくないところで起こったら?不安がムクムクと私を取り囲む。

そういう不安なときにソラナックスを飲むんだろう、と頭では分かっているけれど。一度ソラナックスをオーバードーズしている過去があると、ソラナックスを飲むことも億劫になってしまい、なかなか手が出ない。

この間、不安が的中したことがあった。午前中ショッピングモールで遊んで夕方から映画館で映画を観るという予定を立てていたのだが、そろそろ映画館に移動して映画を見るぞというタイミングで眼球上転して、歩くこともままならなくなり、泣く泣く映画を諦めて帰るという出来事が起きた。もう映画のチケットも発行していたし、ずっと観るのを楽しみにしていた作品だったので、悲しくて虚しくて、大の大人がベッドの中で丸まって泣いた。

眼球上転で、楽しんでいる目の前のことを邪魔されるということは何回かあったが、予定が全て白紙になることは初めてだった。例えば同じ映画館で眼球上転が起きたとしても、今までは映画の最中か終わった直後に起こっていた。今回のように、映画を観るという予定そのものを奪われることはなかった。

この出来事が決定打になったと思う。私の、今の状態に陥るようになったのは。何をしていても憂鬱で、生きるのがしんどくて。お守りのチャンチョのぬいぐるみを抱きしめていないと不安で仕方なくて、挙句の果てには死にたくて。しんどい。全部がしんどい。

私の場合、こういう、死にたいほど全てがしんどいときほど、旅行の計画を立てるという作業がものすごく早く進む傾向にある。今日も一日中、台湾への旅行計画を立てて過ごしていた。早い話が現実逃避なのだが、旅行に行きたいという気持ちだけが私を生かすので、現実逃避様様である。

こんなに憂鬱にならなくても、今月16日が通院日なのだから、そのとき眼球上転が再発したと相談すればいいじゃないか。またアキネトンを処方されるか、ロナセンを飲んでいないのに起きている眼球上転だからと違う薬を出されるか、まぁ何かしらの対策は取ってもらえるだろう。……と、頭では分かっているし自分に何度も言い聞かせてきたけれど、心が落ち着かない。憂鬱の雲は晴れてくれないし、不安も消えてくれない。こんなことを考えていたらまた眼球上転が起きそうな予感がしてきた。早く寝よう。ソラナックスを飲んで寝よう。

いいなと思ったら応援しよう!