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読書感想文

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2020年から記録中。読んだ本の感想を書きます。
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2020年3月の記事一覧

No.5『そこにいるのに』

No.5『そこにいるのに』

思い出してはいけないモノ、撮ってはいけない写真、曲がってはいけないY字路、見てはいけないURL、剥がしてはいけないシール……読み進めるほど後悔する、13の恐怖と怪異の物語。
(河出書房新社HPより)

 13のホラー短編集で、共通点は「クママリ」というクマのキャラクター。見えなくても確実に何かが「そこにいる」という圧迫感が読んでいてじわじわ迫ってきて良かった。嫌な気持ち悪さがあって、それがとても楽

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No.4『ボトルネック』

No.4『ボトルネック』

亡くなった恋人を追悼するため東尋坊を訪れていたぼくは、何かに誘われるように断崖から墜落した……はずだった。ところが気がつくと見慣れた金沢の街にいる。不可解な思いで自宅へ戻ったぼくを迎えたのは、見知らぬ「姉」。もしやここでは、ぼくは「生まれなかった」人間なのか。世界のすべてと折り合えず、自分に対して臆病。そんな「若さ」の影を描き切る、青春ミステリの金字塔。
(新潮社HPより)

 米澤穂信さんの作品

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No.3『玩具修理者』

No.3『玩具修理者』

玩具修理者は何でも直してくれる。独楽でも、凧でも、ラジコンカーでも……死んだ猫だって。壊れたものを一旦すべてバラバラにして、一瞬の掛け声とともに。ある日、私は弟を過って死なせてしまう。親に知られぬうちにどうにかしなければ。私は弟を玩具修理者の所へ持って行くのだが……。
現実なのか妄想なのか――。
全選考委員の圧倒的支持を得た第2回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作品。
(裏表紙より)

 小林泰三さん

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No.2『石黒くんに春は来ない』

No.2『石黒くんに春は来ない』

学校の女王・京香に告白し振られた石黒くんが意識不明の重体で発見された。クラス全員に失恋をバラされたショックによる自殺未遂かと思われたが、学校は知らん顔。しかし半年後、名ばかりの偽善グループライン「石黒くんを待つ会」に、病院で眠り続けているはずの本人が参加し大混乱に。“復活”は復讐の合図⁉弱肉強食だった教室の生態系が崩れ出す。
(裏表紙より)

 完全にジャケ買いした。表紙の絵があまりにも美しくて、

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No.1『聖なるズー』

No.1『聖なるズー』

犬や馬をパートナーとする動物性愛者「ズー」。
性暴力に苦しんだ経験を持つ著者は、彼らと寝食をともにしながら、
人間にとって愛とは何か、暴力とは何か、考察を重ねる。
そして、戸惑いつつ、希望のかけらを見出していく――。
(集英社HPより)

 ズーとは、ズーファイル(動物性愛者)の略称である。彼らは、自分たちのことをズーと呼ぶ。ズーフィリアではなく、ズーファイルだ。そんなことをいきなり言われても、当

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