元彼Y⑬何もしないと誓うよ
彼はそれ以上何も言わないし
私も何も言えなくて
ただ黙ってお互いの身体を感じてた。
えっと何を考えなきゃいけないんだっけ?
悲しい顔のこと?
あ、興味?
興味が無いって言うか嫌いだったんだもん私
気付いて無かったのかな?
いや、それよりも、
私のこと見透かしたよね?
どういう事なのか説明して貰いたいんだけど
いま聞く空気じゃないよな
私のこと想ってるって好きってことなのかな
だとしたら、いつから?
最初からって言ってたな、、、
じゃそれで採用したってことか
なるほどね、ふーん
で、今この感じはなんだっけ?
どうして私は抱きしめられることになったんだっけ?
あーなんか色々渋滞してる
ややこしいな
どうしよう
“あぁちゃん”
“嫌だったら嫌って言って”
『なに?』
“キスしてもいい?”
うんって言った
私も私だ笑
なんで“NO“って言わなかったんだろう
決してノリでは無いし
やけくそでも無かったし
嫌というのもなんかしっくり来なかった
“した方が片付く気がした“
これが正解かもしれない
モヤるこの感じを何とかしないと
っていう浅はかな選択
だけど途中から胸騒ぎがして
これってやっぱ違うよな
方向間違えてるなって思えて来た
彼も男だし、若いしね、
情況的に私がキスを許している訳だから
このまま流れで押し倒されてもおかしくない雰囲気になってしまって少し焦った
もし止まらなかったらちゃんと言おう
だって、この間と今日は空気が違うからさ
“あっちの部屋戻ろっか”
彼が笑って空気を変えた。
“ちょっと待ってね”
“いま鎮めてるから笑”
その言葉に2人で爆笑して
私の緊張はどこかに飛んでいった。
『もう一回する?笑』
“したいけどマジ限界笑”
私の冗談に乗ってくれた彼に救われた。
結局それから話を掘り下げることは無く
危うい雰囲気にもならずに済んだので
朝方近くまでいつもの感じで喋り続けた。
数時間後には出勤。
私は休みだったけど
彼は午前に会議の予定が入っていた。
『寝不足大丈夫なの?』
“こんなの日常茶飯事だから余裕”
“あぁちゃん寝てく?”
“一緒に寝てよ”
『ううん、帰るよ』
『私いない方が爆睡出来るでしょ笑』
なるべく笑いに繋がる様なテンションで返していたけど、この時の私は何だか落ち着かなくて早く帰りたいと思っていた。
“あぁちゃん”
“また逢ってくれる?”
『会社で会うじゃん笑』
“そうじゃなくて”
“俺の気持ち知った上で、また逢ってくれるかってこと”
“俺、あぁちゃんが俺のこと好きになってくれるまで何にもしないから”
“我慢するし、耐えるし、誓うよ“
“だから俺のこと好きになったら教えて”
“悲しい顔させない様にするからさ”
返事はしなかった。
笑って誤魔化したと思う。
彼が私の腕を引っ張ってキスして来た。
『何もしないって言ってなかった?笑』
“いや、キスだけはする笑”
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